12. 指先


 彼の髪に触れる。存外に柔らかい髪を指先で梳いて、悪戯に引っ張って。
 彼の頬に触れる。頬に残る涙の跡を指先で拭って、もっと濡れさせたくて。
 彼の指に触れる。拒もうと
振り払おうとする指を指先で絡め取って唇を寄せて。
 彼の肌に触れる。抵抗する躯を押さえ込んで白い肌に指先を這わせて。
 己の想いなどこれっぽっちも気づかずに、皆に向ける笑顔と同じそれを向けてくる彼が赦せなくて。
 己の欲望など微塵も疑わず警戒心の欠片も抱かない彼が可笑しくて。
 だから指先で触れてみる、その身の自由を奪って、髪に頬に指に肌に。乳首に臍に楔に―――― そして慎ましやかな蕾に。
 指先が触れる度灯る熱が信じられないと目を見開くのを見れば、もっともっと触れたくなる。刺激に堅くなった乳首を指先で摘んでは押し潰す。逃れようと身を捩る様を楽しむように指先て臍を擽る。叢に身を潜めようとする楔を引き出して、その先端を指先で押し開く。そして。
 双丘の狭間で息づく蕾を指先で柔々と撫でれば強張る躯。涙の滲む瞳がやめてくれと訴えるのに構わず指先をねじ挿れ、拒むようにキュンと窄まる蕾を強引に押し開いて指先を沈めていけば絡みつく熱い肉襞。グチグチと動かす度切れ切れに上がる悲鳴。
 この指先が彼の躯に触れる度様々に応えてくれるのが嬉しくてやめられない、やめてやれない。
 指先で。
 この指先で。

 愛しい彼の全てを支配する為に、今夜も指先を伸ばした。


2012/08/02