脱衣


「おい、ハボック。野球拳って知ってるか?」
「は?なんスか、いきなり」
 それぞれにソファーで寛いで本なぞ読んでいれば、突然そんな事を言い出したロイにハボックが目を丸くする。
「知ってますけど、なんで?」
 極自然な疑問を投げかければロイが答えた。
「今読んでる小説に出てくるんだ。なにやら遊びの一種のようだがよく判らなくてな」
 一体どんな小説を読んでいるのか気になったが、とりあえずそれは置いておいてハボックは答えた。
「要するにジャンケンゲームっスよ」
「ジャンケンゲーム?」
 そんな答えではさっぱり判らんとロイが視線でちゃんと説明しろと促す。ハボックは手にしていた雑誌を横に置いて言った。
「んじゃやってみます?口で説明するより早いっスよ」
「ふむ……」
 確かに百聞は一見にしかずだ。ロイが頷けばハボックは立ち上がってリビングの中央へと移動した。それに習ってロイも本を置いて立ち上がる。ロイが近くに寄ってくるのを待ってハボックが言った。
「まずは手拍子しながら歌うんス」
「歌う?」
 正直あまり歌は得意でないが仕方ない。ロイはハボックに合わせて手拍子しながらハボックが歌い出すのを待った。
「ええとね、こうっス。“野球すぅるなら、こういう具合にしやしゃんせ”、はい、大佐も歌って!」
「えっ?ええと…“野球すぅるなら、こういう具合に…しやしゃんせ”?」
「そうそう、いい感じっス」
 たった今聞いたメロディーを何とか繰り返せばハボックが笑って頷く。真剣な表情を浮かべるロイにハボックは続けた。
「次は動作が入るっスからね。まずオレがこうやって」
 と、ハボックは親指を突き立てた手を高く上げる。
「アウト!って言うっスから、大佐はそれ聞いたらこうやって」
 と、今度は両腕を腹の前で左右に開いて言った。
「セーフ!って言って下さい」
「こうやって“セーフ!”だな」
ロイは言われた通り両腕を開いてみる。するとハボックがチッチと指を振って言
った。
「それじゃあ勢いがないっスよ。こう、片足を前に踏み出さないと」
 そう言ってやって見せるハボックの真似をしてロイが「セーフ!」と繰り返す。何度目かにオッケーを出してハボックが言った。
「それをやったら次は一緒にこうっス。“よよいのよい!”」
 よよいののところでハボックは両腕を腹の前で上下にぐるぐると回す。よい!でパーの手を出して言った。「よい!でジャンケンして勝った方が負けた方の服を脱がせるんです」
「は?」
 ハボックの説明にロイはぐるぐると回していた腕を止めてポカンとハボックを見る。時間にして五秒くらいだろうか、ハボックをまじまじと見つめていたロイは腕を下ろして言った。
「服を脱がせる?馬鹿馬鹿しいゲームだな」
 ロイは心底呆れたというように言ってソファーに戻ってしまう。置いてあった本を広げて読み始めるロイにハボックは苦笑して言った。
「宴会の席でのゲームっスからね。酒が入ってるのが前提だから」
 そう言ってハボックは首を傾げて続ける。
「やらないんスか?」
「酒も飲んでないのに出来るか、そんなゲーム」
 アホらしいと眉間に皺を寄せながら本を読むロイにハボックは言った。
「勝つ自信ないんだ」
「なに?」
「自信ないからやめちゃうんっしょ?大佐、ジャンケン弱いから仕方ないっスね」
 ハボックはそう言ってソファーに座ると雑誌を広げる。正面に座るハボックをじっと睨んでロイは言った。
「おい、待て。聞き捨てならんな、それは」
「はい?」
「私が勝負を投げ出して逃げたかのような言い方は赦せん」
「だって実際そうだし」
 ハボックはまるでなんでもない事のように答える。雑誌から顔を上げようともしないハボックにロイは乱暴な仕草で立ち上がった。
「このロイ・マスタングが逃げる訳ないだろう!大体私はジャンケンが弱くない!勝負だ、ハボック!」
 言ってドスドスとリビングの中央に移動するロイにハボックは目を丸くする。ニヤリと笑うと雑誌を置いて言った。
「いいっスよ、そこまで言うなら勝負しましょう。その代わり途中でやめたはなしっスからね」
「当然だ」
 ハボックの言葉にムッとしてロイが答える。ハボックはリビングの中央でロイと向かい合って立つと言った。
「じゃあ一回戦っス。せぇの」
 ハボックが言って歌い出せばロイもそれに合わせる。アウト!セーフ!と互いに声を張り上げ、ぐるぐると腕を回すとよい!のかけ声と同時に手を出した。
「……私の勝ちだな」
 チョキを出した手をVサインのように突き出してロイがフンと鼻で笑う。ハボックは肩を竦めて言った。
「んじゃオレの服、一枚脱がして下さい」
「そうだったな」
 つい勝った事ばかりに気がいっていたロイは言われて眉間に皺を寄せる。近づいてきたものの尋ねるように見上げてくる黒曜石にハボックは言った。
「何でもいいんスよ、服じゃなくてベルトとか靴下でも」
「そうか」
 その言葉に幾分ホッとしたようにロイが頷く。ハボックの脚を上げさせ靴を脱がして言った。
「よし、第二回戦だ」
 そう言って手拍子を始めるロイにハボックがクスリと笑う。一回目と同じようにかけ声を掛け合って手を出せば、今度もロイの勝ちだった。
「悪いな」
 フフンと得意そうに言って今度はハボックの靴下を脱がせる。そうやって何度も勝負を繰り返して二人は互いの服を脱がして言った。
「服は脱がせづらい、自分で脱げ」
 Tシャツを脱がせる段になってそう言い出すロイにハボックが首を振る。「駄目っスよ、ルールなんスから大佐が脱がしてくれないと」
 ほら、とTシャツの裾を掴まされてロイは仕方なしにシャツを上に引き上げる。自分より上背のある相手のシャツを苦労して脱がせればハボックが体を寄せてニコッと笑った。
「どうも」
「……ッ」
 シャツを脱げば当然逞しい体がむき出しになる。思わずドキリとして顔が赤らむのを誤魔化すようにロイは声を張り上げた。
「この調子なら私の勝ちだなっ」
「まだまだこれからっスよ」
 言い合う二人の姿を見れば、ハボックは後ジーンズとボクサーパンツだけなのに対してロイはシャツにスラックス、靴下をはきベルトまでしている。
「よし、次いくぞ。ストレートで終わらせてやる」
 自信あり気に言って歌い出すロイにハボックは薄く笑みを浮かべる。かけ声に続いてジャンケンすればハボックの勝ちだった。
「んじゃ、ベルト貰うっスよ」
 ハボックは言ってロイの腰からベルトを引き抜く。抜いたベルトを首にかけ、ニヤリと笑って言った。
「ほらね、判らないっしょ?」
「まだ、私の方が有利だっ」
 ロイはフンと顎を突き出して言うと次の勝負を促す。だが次も勝ったハボックがスラックスに手をかけると慌てた様子で言った。
「ここはシャツが先だろうっ?」
「どれから脱がそうとオレの買ってっスから」
 ハボックはそう言うとロイに抵抗の隙を与えずスラックスを脱がしてしまう。シャツの裾から靴下を履いた白い脚が伸びているのを見て、ハボックが言った。
「なんかヤラシイ眺めっスね」
「脱がせたのはお前だろうッ」
 ハボックの言葉にロイが赤くなって目を吊り上げる。ハボックはまあまあとロイを宥めて言った。
「これでだいぶ判らなくなったっスね」
「フン、この後は私の連勝だ」
 そう言って歌ったものの、次の勝負もハボックの勝ちだった。
「くっ、くそっ」
 負けたグーの手を睨みつけてロイが呻く。ハボックは悔しそうなロイに向かって言った。
「じゃ、パンツ」
「……は?」
「勝ったからパンツください」
 爽やかに笑って言うハボックにロイは目を見開く。今自分が身につけているものを見下ろしたロイはキッと目を吊り上げて怒鳴った。
「なんでパンツなんだっ!靴下が残ってるだろうが、靴下がッ!」
「どこから脱がそうがオレの勝手っつったっしょ?」
「だ、だからって…ッ」
 幾らシャツを着ているとは言え、下着を脱ぐのは恥ずかしい。靴下か、せめてシャツにするようにと必死に言い募るロイをハボックはグイと引き寄せて言った。
「勝負なんスから四の五の言わない」
「ハボっ、ちょ…っ、わわッ!」
 ハボックはロイの抵抗などものともせずに下着を剥ぎ取ってしまう。スルリと双丘を撫でられて、ロイは飛び上がってハボックから離れた。
「これで残り二枚ずつっスね」
「も、もう負けんからなッ」
 同じ二枚と言っても自分の方が相当に恥ずかしい格好のような気がする。とにかく一刻も早く勝負にケリをつけてとられた服を取り返そうと、シャツの裾を引っ張りながら構えるロイにハボックが言った。
「大佐、ちゃんと両手でやってくださいね」
「な…っ」
「だってでないとセーフになんないっしょ?」
「だったら私がアウトに―――」
「はい、さっさとやりますよ!“野球すぅるなら”」
 ロイの言うことになど耳を貸さずハボックは歌い出す。「アウト!」とやられてヤケクソで「セーフ!」と脚を踏み出せば、ひらりと舞い上がったシャツを押さえながらロイは慌てて手を突き出した。
「ッ!!」
「……オレの勝ちっスね」
 出し合った手を見てハボックがニヤリと笑う。
「シャツ」
 と手を出してくるハボックにロイは靴下を脱いで投げつけた。
「こっちだ、こっち!」
 脱げるか、馬鹿ッ!と真っ赤になって怒鳴るロイにハボックが呆れたように言う。
「それはルール違反っしょ、大佐」
「煩いッ!こんな趣味の悪いゲームやってられるかッ!服返せッッ!」
 あまりの恥ずかしさにロイがシャツの裾を引っ張って怒鳴ればハボックがスッと目を細めた。
「途中でやめたはナシって約束だったのに……約束守れない子はお仕置きが必要っスよね」
「え?」
 ハボックは言うなり腕を伸ばすとロイの細い腰を引き寄せる。気がついた時にはロイはリビングのラグの上に押し倒されていた。
「ハボックっ?!」
「自分が負けそうだから逃げるなんて駄目っスよ?」
 ハボックはにっこり笑って言うとロイの白い尻をスルリと撫でる。ビクリと震えるロイに笑みを深めて割れ目をなぞれば、ロイは圧し掛かる男を必死に押し返した。
「やだっ、やめろっ、ハボ!」
 ハボックは自分の下でもがくロイを楽しそうに見下ろしていたが、押し返してくる手を二つ纏めて掴むと苦もなく頭上に押さえ込んでしまう。細い脚の間に体をねじ込んで閉じられないようにして、ハボックは言った。
「約束破りはきっちりお仕置きしないと」
 ハボックはそう言って双丘の狭間に指を滑らせて、奥まった蕾を指の腹で撫でる。グッと指先を押し込めばロイの体が硬直した。
「いっ…ッ!」
 指先だけとは言え潤いのないそこにねじ込まれればひきつるような痛みが走る。痛いと訴えればハボックが首を傾げて言った。
「でも、大佐のココ、気持ちよさそうに涎垂らしてるっスよ?」
「ッ?!」
 言われて視線を落とせば、確かにロイの楔は高々とそそり立ち、シャツの裾を押し分けて涎を垂れ流していた。
「痛いの、好きっスもんね、大佐」
「違っ…!」
 ニヤニヤと笑って言うハボックにロイは真っ赤になって否定する。だがハボックはクスリと笑うと更に指をねじ込んで言った。
「嘘は駄目っスよ?ほらもう、後ろまで垂れてぐちょぐちょじゃないっスか」
「言うなっ!」
 確かに今ではハボックが掻き回す蕾からぐちょぐちょとイヤラシい水音が響いている。そそり立った楔からわざわざ濡らす必要もないほどの蜜が零れてきているのだった。
「アッ、あんっ!」
 いつの間にか増やされた指がロイの秘所を思うまま掻き回す。しどけなく脚を開いてビクビクと震えるロイにハボックが囁いた。
「すげぇ、もうぐっちょりっスよ?そんなに気持ちイイ?」
「あっ、馬鹿ァ…ッ!」
 露骨な言葉にロイは真っ赤になってハボックを睨む。クンと沈めた指で前立腺を突かれて、ロイは高い悲鳴をあげて身を仰け反らせた。
「アアッ!」
「大佐、ここ好きっスよね」
「やっ、ヤアッ!」
 グニグニと容赦なく押し潰されてロイの体が大きく跳ねる。
「アッ、やっ、……イくッ!」
 弱いところを徹底的に攻められて、瞬く間に追い上げられたロイが身を仰け反らせて達しようとした時。
「…ッ?!」
 突然指が引き抜かれてロイはすんでのところで放り出された体をどうすることも出来ずに目を見開く。縋るようにハボックをみれば、ハボックは楽しそうに笑って言った。
「このままイかせてあげたらお仕置きにならないっしょ?」
 そう言ってハボックはロイから身を離してラグの上に座り込んだ。
「イきたかったら自分で挿れて下さい。そしたらイかせてあげます」
「なっ…?そんな事出来る訳ッ」
「出来ないならそのままっスよ?」
「…ッ!」
 ハボックと付き合うようになって抱かれることで快楽を得る事を覚え込まされた体はハボックの楔で貫かれる事を望んでいる。ロイはラグの上でモジモジと脚を擦り合わせていたが、やがてゆっくりと体を起こしてハボックに腕を伸ばした。
「……後で燃やしてやるっ」
「そんな余裕ないと思うっスけど」
 赤い顔でハボックの腰を跨ぐロイにハボックは答える。ロイはハボックを睨むと、ヒクつく蕾をそそり立つ楔の先に押し当てた。
「それじゃいつまでたっても入らないっスよ?」
「うるさい…ッ」
 なかなか腰を下ろそうとしないロイにハボックが楔の先でクチクチと蕾をつついて言う。ロイは火が吹き出そうなほど顔を赤らめて言うと、ハボックの肩に手を起きフゥと息を吐き出した。それから楔の上にゆっくりと腰を落としていく。巨大な楔がロイの蕾を押し開きぬぷぬぷと中に入っていけば、ロイは目を見開いて背を仰け反らせた。
「あ、あ、あ」
 エラの張った楔が熱い秘肉を押し開いていく感触が堪らない。
「ア―――ッッ!!」
 一気に根元までくわえ込んでロイは高い悲鳴を上げた。
「あっ、うんッ、ハボ…ッ」
 ぞわぞわと背筋をはい上る快感にすぐには動けないまでもきゅうきゅうと締め付けてくるロイにハボックは笑みを浮かべる。
「よく出来たっスね、大佐」
 ハボックはそう言ってロイの頬に音を立てて口づけると細い腰を抱えなおした。
「頑張った大佐にご褒美あげるっスね」
 ハボックは言うと同時にガツンと突き上げる。キツい衝撃にロイは身を仰け反らせて悲鳴を上げた。
「ヒヤアアアッッ!!」
 無意識に逃げようとする体を引き戻す動きに合わせてハボックは狭い肉筒に思い切り突き挿れる。深々と抉られて、ロイは目を見開いてガクガクと体を震わせた。
「アヒィッ!」
 乱暴に突き上げられる度脳天を快感が突き抜ける。快楽の嵐の中でロイは最早何も考える事が出来なかった。
「アアッ!ハボ…ッ!ハボック!」
「イイの?大佐」
「イイっ!もっと…ッ!」
 ハボックに揺さぶられるままロイは高い嬌声を上げ続ける。
「あんっ、アッ、ああッッ!!」
「すっげ…きゅうきゅう」
 搾り取るような勢いで締め付けてくる蕾にハボックが苦笑する。
「あっ、んふッ、んっ、ンンッ!」
「野球拳、またやりましょうね」
 ハボックが楽しそうにそう囁いた事にも気づかず、ロイは自ら腰を振り立て続けていたのだった。


2010/10/19


お題「11.脱衣」です。ハボロイでは初ですね。最近ハボロイエロが書けないのでリハビリがてら書いてみましたが、いまいちぬるいような……。野球拳、普通自分で脱ぐのかなと思いましたが、やはりここは「勝った方が脱がす」のが楽しいかとv
またお題挑戦して濃いエロ目指したいと思いますー。