| 豆騎士 続・身長編 |
| 「じゃあ、俺ちょっと図書館行って調べものしてくるから」 と、大声で年上の恋人の可愛さを力説していた少年が部屋を出ていくと、司令室を気まずい沈黙が支配する。まるで煙で煙幕を張ろうととでもしているようにスパスパと煙草を吸うハボックに、最初に沈黙を破って話しかけたのはブレダだった。 「お前さ、もう少しちゃんと躾ろよ。甘やかし過ぎだろう、アレ」 酒が入っている時ならともかく、素面で友人の恋愛事情―――それも男同士の、を聞かされるのは正直勘弁して欲しい。人前で話させるなとブレダがげんなりして言えば、ハボックが視線をさまよわせながら答えた。 「言ってるよ、オレだって。恥ずかしいからみんなの前でそう言う話するのやめてくれって。でも、大将ってば“虫よけだ”って言ってやめてくれないんだもん」 弟のアルと旅を続けるエドワードはなかなかイーストシティには帰ってこられない。その間大事な恋人を一人残しておくのがエドワードは心配で仕方ないのだ。 「虫よけねぇ……」 確かにハボックはモテる。ハボックに限って心変わりなどするはずないと判っていても心配する気持ちも判らないではなかった。 ブレダは空色の目元を薄紅に染めるハボックをじっと見つめる。そうすればエドワードの話を聞かされ続ける間に浮かんだ疑問を黙っていることが出来なくなった。 「なあ、ホントにお前の方が抱かれてるわけ?」 「ッッ!!」 突然の言葉にハボックは煙草を吸い損ねて激しく咳込む。体を二つに折って激しく咳込んだハボックは真っ赤な顔でブレダを睨んだ。 「聞くか?普通っ、そんなことッ!!」 「だって気になるじゃん。お前とアイツと、身長差どれだけあるんだよ」 長身のハボックが受け入れるとしたら、とあまりしたくはないがつい考えてしまう。好奇心丸だしで見つめてくる友人に言い返そうとしたハボックが視線を感じて見れば、ファルマンとフュリーまでが自分を見つめていることに気づいて、ハボックは赤らめていた顔を更に真っ赤に染めた。 「信じらんねぇッ!!ファルマンとフュリーまでッ!!」 「ですが……ねぇ?」 「ええ、あそこまで聞かされると気になるっていうか」 「気にしなくていいってばッ!!」 ハボックがあまりの恥ずかしさに顔を上げていられず机に突っ伏した時。 「そんなに気になるならもっと詳しく話してやろうか?」 「ッ?!大将ッ?!」 聞こえた声にハボックがガバッと顔を上げる。声が聞こえた方を見やれば出かけたはずのエドワードが扉に寄りかかるようにして立っていた。 「図書館行ったんじゃなかったのか?」 「いや、ちょっと忘れ物してさ、戻ってきたんだけど」 エドワードはそう言って満面の笑みを浮かべて部屋の中を見回す。 「みんなすっげぇ気にしてるみたいだから詳しく話してやるよ」 「ワーッッ!!頼むからやめてッ、大将ッッ!!」 「でも、ここでちゃんと話さないと実は俺の方がヤられてるって誤解されたら嫌だし」 「誤解しないッ!!みんな誤解なんてしないってばッ!!な?ブレダっ、ファルマンっ、フュリーっ!!」 これ以上話されてはかなわないとハボックは必死に言い募る。だが、エドワードはそんなハボックの気持ちなどお構いなしに話し始めた。 「まあ、さっきから言ってるように俺と少尉じゃちょっとだけ身長差があるからさ、突っ込みながらキスするのは少しばかり大変な訳よ。でもやっぱりキスしたいし、少尉のカワイイ顔間近に見ながらヤりたいじゃん。ブレダ少尉達だってそうだろ?」 「……まあな」 同意を求められてブレダは仕方なしに頷く。そうすればエドワードは「だろ?」と言って続けた。 「だから、まず少尉の長い脚をこう、太股の辺り持ってグーッと上に押し上げてー」 と、エドワードはゼスチャー付きで説明する。ハボックが必死にその腕を引いてやめさせようとするのに構わず、エドワードは言った。 「胸に着くくらいまで押し上げると、少尉ちょっと苦しそうな顔すんだよ。でも、俺に挿れて欲しいからって我慢するその顔がまたそそるっていうか!」 「大将ッ!!」 「押し上げた脚を左右に開くと少尉のアソコが挿れてって強請るみたいにヒクつくのが見えて、そこに少尉のビンビンに勃ったナニからアレが垂れてきたりすると、もーすっげぇイヤラシイ眺めでさ!」 「もうやめてってばッ!!」 「そこにこう、俺のを押し当てると、少尉、一瞬すっごい不安そうな顔すんだよね。だから“挿れるのやめる?”って聞くと“平気だから挿れて……大将の挿れて欲しい”ってさーーッッ!!」 「ワーーーーッッッ!!」 その後。羞恥に耐えきれなくなったハボックが半泣きで飛び出して行ったのをエドワードが追いかけて出ていくまでの十分間。こってりたっぷりベッドの上での秘め事を聞かされたブレダ達は、つまらない好奇心を抱いてしまったことを心の底から思い切り後悔したのだった。 2011/11/14 |