豆騎士 身長編


「なあ、少尉。少尉ってガキの頃からそんなにデカかったの?」
 エドワードは前後逆に腰掛けた椅子の背を抱え込んでハボックに尋ねる。ハボックは書類を書く手を止め、久しぶりにイーストシティに立ち寄った少年の顔を見て答えた。
「オレもその年頃の時は大将とそんなに変わらなかったぜ」
「うそっ、マジ?!」
 長身のハボックの言葉にエドワードはガバッと身を起こす。キラキラと期待に目を輝かせて、エドワードはハボックを見つめて尋ねた。
「じゃあ、どうやってそんなにデカくなったんだよ。やっぱぶら下がり健康法?!」
「……それって体より腕が伸びそうじゃねぇ?」
 身を乗り出して聞いてくるエドワードにハボックは眉を顰めて答える。プカリと煙草の煙を吐き出して、ハボックは言った。
「そうだなぁ、運動はしてたけど。バスケとかバレーとか。後は牛乳飲んでたな、一日に一リットルのボトル一本とか」
「ぎゅううにゅうう〜〜??」
 ハボックの言葉にエドワードは思い切り嫌そうな声を上げる。そのあまりのしかめっ面にハボックはプッと吹き出した。
「そんなに嫌がることないのに」
「だって牛の乳だぜっ?なんでそんなもん飲んで人間がデカくなれるんだよ」
 おかしいだろッ、と喚くエドワードをハボックはクスクスと笑いながら見つめる。手を伸ばしてその金髪を優しく撫でて言った。
「別に急いでデカくならなくてもいいだろ?大将は今のままでも十分カッコイイんだからさ」
 な?と笑う空色をエドワードはじっと見つめる。それからニヤリと笑って言った。
「そうだよな、別に背が小さくたって少尉のこと可愛がってあげるのには支障ないし」
「な……ッ?!」
 エドワードの言葉にハボックはボフッと煙草の煙を吐き出す。ゴホゴホと妙なところに入り込んでしまった煙に噎せながら、ハボックは真っ赤な顔でエドワードを睨んだ。
「なに言い出すんだよッ、大将!」
「昨日だって少尉、すっげぇ善がりまくってたし」
「大将ッ!!」
 バンッと机を叩いて立ち上がるハボックの真っ赤に染まった顔をエドワードは楽しそうに見上げる。その長身を見上げてニヤニヤと笑いながら言った。
「実はさ、デカい自分が背の小さい俺にヤられるってのに興奮してるとかない?“苦しい”とか言いながら、すっげぇ感じまくってるよね、少尉」
「たっ、たい……ッ」
「少尉のあんな顔見られるなら別に俺、デカくならなくてもいいや。体は小さくてもナニは少尉をアンアン啼かせるだけのデカさはあるわけだしっ。むしろ今よりデカくなったら、少尉シンドイだろ?今日もちょっと辛そうだもんな」
「ッッッ!!!」
 真っ赤になって悶死しそうになっているハボックを楽しそうに見上げていたエドワードは、視線を横に移動させる。
「なぁ、やっぱ体がデカくなったらナニもデカくなるんだろ?ブレダ少尉」
「……だろうな」
「そっかぁ。じゃあやっぱり少尉のためにもデカくなるのはもう少し先にしておいてやるよ」
 俺ってば少尉思いっ、と楽しそうに言うエドワードの声を聞きながら、自分たちのことも少しは思って欲しいと思うブレダ達だった。


2011/11/11