下着5


「ああ、さっぱりした。ロイ、お前も浴びてきちまえよ」
「んー。ああ、もう少しで読み終わるからそうしたらって、ヒューズ!お前、なんて格好してるんだっ」
 ヒューズの言葉に読んでいた本から顔を上げたロイはギョッとしてそう叫ぶ。ヒューズはタオルで髪を拭きながら答えた。
「なんて、って、別に士官学校の時だって風呂上りにこんな格好しょっちゅうだったろ?何今更んなこと言ってんだよ」
 平然と言うヒューズは手に持ったタオル以外は下着1枚きりだ。
 ロイは今、出張でセントラルに滞在中だったが、ヒューズと飲みに出かけた後、もう少し飲もうとロイのホテルにやってきたところだった。帰るのが面倒だというヒューズにそれじゃあ泊まっていけと、腰を据えて飲み始める前に交代でシャワーを浴びる事にしたのだが、ロイは下着1枚姿のヒューズをマジマジと見つめて眉を顰める。
「お前、いつもそんな下着着てるのか?」
 ヒューズがつけているのはフロントが編み上げになった豹柄のTバックショーツだ。妙にもっこりとして見えるのはわざとそう見える様にしたデザインなのだろう。
「んー?ああ、これ。いいだろう?」
 ヒューズはそう言うと両手を頭の後ろに上げ、腰を突き出してシナを作ってみせる。ロイは露骨に嫌そうな顔をすると言った。
「お前がそういう趣味だとは知らなかったぞ」
「何言ってんだよ、セクシーだろ?セクシー!グレイシアだって喜ぶ」
「グレイシアが?」
 ロイはヒューズの美しい奥方を思い出して目を丸くする。彼女がこういった下着が趣味とは思えず、恐らくは慈愛に満ちた表情で温かく見守ってくれているのだろうと思った。
「そういうお前だってワンコがこういう下着着てたら燃えるだろう?」
「えっ?!」
 突然そんな事を聞かれてロイはパッと顔を紅くする。ついこの間見せっこしようと言われて結局はそれだけでは終わらず狂態を晒した事が頭に浮かんで、ロイは慌ててその考えを追い払った。
「ハボックはそんな趣味の悪い下着はつけてないぞっ」
「へぇ、それじゃどんな?」
 そう言われてロイはウッと言葉に詰まる。益々顔を赤らめるロイにヒューズはスッと目を細めた。
「ふぅん、もっとスゲェの穿いてんだ。やっぱ若いと違うねぇ」
「誰もそんな事言ってないだろうッ」
「俺とどっちがセクシー?」
「知るかっ、馬鹿ッ!!」
 腰に手を当ててセクシーポーズを取ればロイが真っ赤な顔でクッションやら枕やらを投げつけてくる。それを腰を振ってよけながら一度ハボックの下着姿を見に行こうと思うヒューズだった。


2008/10/09