シッポ3


ゴールデンレトリバーを見たロイは、その大きな体と人懐こい様にその犬の姿を自分の愛しい部下と
重ね合わせる。ふさふさのシッポが生えたハボックはさぞ可愛いだろうと思ったら、もうどうしても見たくて
仕方がなくなりついに一時的に犬耳とシッポが生える薬を錬成したロイは見事その薬をハボックに
飲ませたまではよかったが。
どうしてこうなるんだ。」
ロイは憮然としてソファーに座り込んでいた。その組んだ脚にハボックが纏わり付いている。チラリとハボック
を見ればその空色の瞳が嬉しそうに輝いて。
「ワンッ」
髪と同じ色合いの犬耳とふさふさのシッポを生やしたハボックの唇から零れるのはさっきから犬の声ばかりだ。
最初はふざけているのかと思ったが、どうもそうではないようだとハボックの様子をよく見ていれば、その仕草
はまるで犬そのもの。
「人のままシッポが生えるはずだったのに。」
一体どこで錬成を間違えたのだろう。焔の錬金術師のふたつ名を持つ自分が何たる失態。情けなくてため息
をつけばハボックが心配そうにクゥンと鳴いてロイの脚に頬を擦り付ける。
「これはこれで可愛いんだが。」
ふさふさのシッポを生やしたハボックにあーんなことやらこーんなことやら不埒なことをしてやろうと目論んで
いたロイは、思惑が外れてがっくりと肩を落としたのだった。


2008/3/12