商品目録その後 前編


「さて、ハボック。どれから試したい?」
 ロイはそう言ってテーブルの上にガチャガチャと数え切れないほどの玩具を広げる。どれもこれもみるからにアヤシげでイヤラシイものばかりで、ハボックはふるふると首を振った。
「どれも試したくねぇっス。そんなのつけんの、絶対嫌っスからっ」
「嘘をつけ」
 一応尋ねはするものの耳を傾ける気のない男は一言でハボックの言葉を一蹴すると、革製の首輪を手に取る。
「やはり最初はこれだろう、きっとお前によく似合う」
 ロイはそう言ってハボックを見る。ソファーの背に張り付くようにして見上げてくる空色の瞳を見てにんまりと笑った。
「服を脱げ、ハボック」
「ヤダ」
 闇に沈んだベッドの上でさえ自分から服を脱ぐのは抵抗があるのに、こんな明るいリビングのソファーの上なら尚更だ。ましてや脱げばなにをされるのかが判っているのにホイホイ脱げる筈などなかった。だが。
「ハボック、服を脱げと言っているんだ」
「ッッ」
 黒曜石にじっと見つめられ低い声で囁かれれば逆らうことが出来ない。ロイがもう一度低く名を呼べば、ハボックは震える手でシャツのボタンを外し始めた。
「イイコだ」
 ハボックが座るソファーに片膝をついて、ロイはボタンが外されたシャツの中に手を滑り込ませる。滑らかな肌をするりと撫でると肩からシャツを落とした。
「つけてやろうな、私の可愛い狗だ」
「大───」
 ハボックが何か言おうとする前に、ロイは手にした首輪をハボックの首に回し首の後ろでパチンと止める。小さな鍵穴に鍵を差し込んで回すと、ハボックの頬に口づけた。
「ふふ……鍵をかけたからな、簡単には外せんよ。大事な狗が逃げ出したりしたら困るからな」
「あ……」
 頬に触れてくる唇にハボックはピクリと震える。苦しくはないものの首にぴったりと張り付く首輪の感触に、ハボックは顔を赤らめた。
「次はこれかな」
 ロイはそう言いながら革製のバンドに革の輪っかが二つついているものを取り上げる。ハボックを振り向き、まだハボックがボトムを付けたままなのに気づいた。
「おっと、先に脱がないとな」
 言ってロイはボトムに手をかける。カチャと金属のぶつかる音がして、ハボックがロイの手を押さえた。
「ハボック」
「ここじゃヤダ……せめてベッドに行かせて……ッ」
 首輪をつけた首まで真っ赤になって言うハボックにロイは目を細める。ロイはテーブルの上の玩具の内から幾つか取り上げるとハボックに手渡した。困りきった顔で玩具を抱えるハボックをそのままヒョイと抱き上げる。上げかけた悲鳴を飲み込んで小さく身を縮めるハボックにロイはクスリと笑ってリビングを出ると階段を上がり寝室に向かった。午後になり陽の向きが変わって直接部屋に陽射しが入らないとはいえ、寝室の中はまだ十分に明るい。ベッドに下ろしたハボックが訴えるようにロイを見たが、ロイは気づかぬふりでハボックの手から玩具を取り上げ、ベッドサイドのテーブルに置いた。
「お前が言ったとおりベッドにつれてきてやったぞ」
 そう言われてハボックがビクリと震える。灯りを灯したリビングよりは暗いとはいえ、まだまだ昼の明るさに包まれた寝室にハボックはロイを見上げて言った。
「大佐、カーテン引い───」
「脱げ、ハボック」
 ピシリと鞭のような声で言われてハボックは目を見開く。それでもおずおずとボトムに手をかけると言われるままに下肢を覆うものを脱ぎ去った。
「よし、それじゃあこれをつけてやろうな」
「なんスか、それ……?」
 不安そうにハボックがロイを見上げて言う。内心の怯えを表すようにうっすらと涙の滲む瞳に、ロイは優しくキスを落とした。
「大丈夫だ、心配するな」
 ロイはそう言ってハボックの胸の上辺りに革ベルトをグルリと巻き付けて止める。肩紐にあたる細いベルトを付けて胸に回したベルトがずれてしまわないように止めると、ハボックの長い脚をグイと押し上げた。
「たいさッ」
「じっとしていろ」
 両脚を大きく開かれて羞恥の悲鳴を上げるハボックを押さえつけ、ロイはベルトの脇辺りについている五センチほどの鎖の先についた革ベルトをハボックの腿に巻き付けて、脚を大きくM字に開いた状態で固定してしまった。
「やっ、ヤダッッ!!」
 恥部を曝け出す格好に顔を真っ赤に染めてもがくハボックの両腕をロイは背後に捻り上げ、背中の真ん中で拘束する。ベッドの上で隠すことも出来ず開いた両脚の中心を晒して、ハボックは必死に首を振った。
「やだ、大佐ッ!!これ、外してッッ!!」
 あまりの羞恥に息が止まりそうだ。脚を閉じようにも両脚は胸のベルトに引きつけられるようにして固定され、どうすることも出来なかった。
「嫌というばかりじゃないだろう?ハボック。興奮しているじゃないか」
 ロイは楽しそうに言いながらハボックの中心を指で弾く。そこは既に頭をもたげて先端にイヤラシイ蜜を滲ませていた。
「アッ!違……ッ」
「違わないだろう?こんなにして」
 ロイは言いながらハボックの楔を扱く。そうすれば楔は瞬く間に硬度を増してたらたらと蜜を垂れ流した。
「や、あ……ッ」
 ビクビクと震えてハボックが喉を仰け反らせる。今ではすっかりと感じ始めているハボックにロイはうっすらと笑って言った。
「嬉しいんだろう?こんな恥ずかしい格好をさせられて」
「違うッ、そんなこと……ッッ」
 ロイの言うとおり確かに興奮していることはハボックにも判ってはいたが、流石にそうですとは頷けず、ふるふると首を振る。その間にもロイの手の中で楔は嵩を増して腹につくほどになっていた。
「嫌だッ、外してッ!!」
 躯は明らかに興奮しているのに強情にもそういい続けるハボックにロイは目を細める。手を伸ばしてテーブルの上の細い金属の棒とゼリーのチューブを引き寄せると、チューブの蓋を開け金属の棒に塗り込めた。
「強情だな。少し素直になれるようにこれを使おう」
 低い声で言うロイをハボックは目を見開いて見つめる。ロイはハボックに見せつけるように一端に小さなリングがついた金属の棒をハボックの目の前に翳した。
「たいさ……?」
「興奮してないんだろう?ということは射精もしたくないよな。だったら使わない孔はこれで塞いでやろう」
 ロイはそう言ってハボックの楔に手を添える。金属の棒が近づいてくるのを見て、ロイがやろうとしていることに気づいたハボックが悲鳴混じりの声を上げた。
「やめてッ!!そんなの、挿れないでッッ!!」
 懇願して激しく首を振るハボックに構わずロイは蜜を垂れ流す先端に金属の棒を押し当てる。そうして蜜を零す小さな孔にグイと棒を押し込んだ。
「ヒィッ!!」
 楔の中に入り込んでくる冷たい金属の感触にハボックは身を強張らせる。恐怖のあまり震えることも出来ないハボックを見つめて、ロイは尿道プラグをゆっくりと押し込んでいった。
「ア……ア……」
 大きく目を見開いたままハボックは硬直する。プラグを全部押し込んでしまえば先端についたリングが楔の先っぽから覗いて、まるでピアスを付けているかのようだった。
「ふふ……よく似合う、可愛いよ、ハボック」
「や、あ……ッ」
 ロイは涙に濡れたハボックの頬を優しく撫でる。そうすればピクリと震えてハボックがロイを見た。
「抜いて……抜いてくださ……」
「どうして?よく似合ってる……ふふ、一度やってみたかったんだ」
 楽しそうに言ってロイはテーブルの上から小さなカード式のリモコンを取り上げる。にっこりと笑ってロイは言った。
「振動機能もついてるんだ。動かしてやろうな」
「ッ?!やめ───」
 綺麗な、だが凶悪な笑みにハボックが制止の言葉を叫ぶより早く、ロイはリモコンのスイッチを入れる。その途端、楔に埋め込んだプラグが低い音と共に震え始めた。
「ヒィッッ!!ヒィィィッッ!!」
 楔の中で震える凶器にハボックが胸を仰け反らせて喘ぐ。見開いた空色から涙を零し、全身を震わせたハボックが一際高い悲鳴と共にビクンビクンと大きく躯を跳ね上げた。
「んあああああッッ!!」
 一瞬硬直した躯からガックリと力が抜ける。ロイはそんなハボックを見て笑みを浮かべると、汗に濡れた躯に手を伸ばした。
「イったか」
 プラグのせいで吐き出せないまま達したハボックが、荒れ狂う熱に躯を内から焼かれて呆然と宙を見つめる。ロイは伸ばした手でハボックを抱き締めるとねっとりと口づけた。
「あ……ふ、……ぅん」
 熱い口づけに意識を引き戻されてハボックがロイをぼんやりと見る。ロイは汗で張り付いた金髪をかき上げてこめかみにキスをした。
「善かったか?」
「……たいさァ」
 問われてハボックが涙に掠れた声でロイを呼ぶ。
「抜いてぇ、これ、嫌……ヘンになる……ッ」
 ヒクッヒクッと泣きじゃくるハボックをロイは宥めるように抱き締めてやる。やれやれとため息をついてハボックに言った。
「素直にならないからだ。これからは私の質問に素直に答えろ、いいな?」
 そう言われてハボックがコクコクと頷く。ロイはハボックの頬に口づけると開いた脚の付け根に手を伸ばし、そそり立った楔の先を飾る小さなリングに手をかけた。
「抜くぞ、力を抜いていろ」
 ロイはそう言うと同時にリングをグイと引っ張る。ゆっくりと引いていけば楔に埋め込まれていたプラグが少しずつ抜けていった。
「ヒ、ィ……ヒィィ……」
 おぞましいようなゾクゾクするような感覚にハボックは目を見開いて背を仰け反らせる。イヤラシイ玩具が抜けた途端、ハボックの楔からだらだらと白濁が溢れだした。
「ヒ、───ッ」
 ハボックの唇から零れる悲鳴を、ロイが己のそれを重ね合わせて飲み込んでしまう。ロイの腕の中でビクビクと震えながら、ハボックは長い絶頂に意識を手放した。