写真屋ケンちゃん その後のその後 Roy×Havoc ver.


 カッカッカッ。
 ピシッと背筋を伸ばして歩くその妙に迫力のある姿に誰もが道を譲る。彼、ロイ・マスタングが目指すその先には東方司令部広報部の分室があった。ロイはたどり着いた扉の前でピタリと止まると貼ってある紙を見つめた。
「関係者以外立入禁止」
 そこに並んだ文字を読んだロイは器用に片眉を跳ね上げる。
「ふんっ」
 何でもないように鼻を鳴らすとロイはノブに手をかけゆっくりと扉を開いた。


 その日ダドリーは朝から落ち着かなかった。彼は東方司令部の広報部で部下を数人を抱える身だ。その中の一人、ケン・グラント准尉は士官学校時代の後輩であり、またその確かな写真技術で広報部の大きな戦力となっている。ダドリーはその後輩が趣味と実益を兼ねた副業を持っていることをかねてから知っていた。かれが昨今出版した
「ロイ・マスタング官能写真集」が空前絶後の売れ行きだったことも知っていたが、正直ダドリーはそんな写真集を買うヤツの気が知れないと思っていた。だから今度また新たな写真集を作るため1ヶ月もの間ある人物に密着取材したいとグラントが言い出した時は一蹴するつもりだったのだ。 ところが。
「先輩、却下する前に聞いてくださいよ。俺が密着取材したいって言ってるのハボック少尉なんですから」
 そう聞いた途端、ダドリーの目の色が変わる。実は、周囲には秘密にしているがダドリーはロイ・マスタングの護衛官であるジャン・ハボック少尉の大ファンだった。ファンクラブにも入っていて毎月の愛読書はファンクラブの会報誌「月間ラブリージャン」だ。密かに出回っているブロマイドだって集めている。ファンクラブの会員番号は勿論一桁だ。グラントはブロマイド販売のお得意先であるダドリーに言った。
「前にマスタング大佐の写真集作ったでしょ?あれ、女性には人気だったんですけど男にはイマイチだったんですよね」
 力作なのにとちょっと不満そうな顔をするグラントにダドリーは内心当たり前だと思う。ハボックファンのダドリーにとってロイ・マスタングは天敵ともいえる存在だ。護衛官という立場上、ハボックはどうしてもマスタングと一緒にいる時間が多い。それだけでも腹が立つというのに何かにつけてベタベタとハボックに触ったり、たまに、そう、ほんとにごくたまにダドリーがハボックと話す機会に恵まれた時でさえ、すぐ間に割って入ってくるのだ。ファンクラブでは毎月その月の目標が掲げられるが、「ハボック少尉と一日一言」なんていう目標と並んでいつもあげられるのが「打倒・マスタング」だったりする。だが、その目標を達成しようとして今までどれ程の会員が返り討ちにあっているか、そんな諸悪の根源ロイ・マスタングの写真集など壁に貼って五寸釘で打ち抜く以外、何の役に立つというのだ。鬱々とそんなことを考えていたダドリーの耳にグラントの声が聞こえた。
「で、今度は男にもウケる写真集ってことでハボック少尉の写真集を作ろうと思ってるんですよ」
「ハボック少尉の写真集っ?」
「そう。で、写真が足りないんでこの間から色々撮ろうとしてるんですが、ここでひとつ問題が」
「問題?」
 まさか。
「先輩もわかってるでしょ、マスタング大佐ですよ」
 またアイツかっっ!!
 クワッと怒りに目を見開くダドリーにグラントが言う。
「ハボック少尉の写真を撮ろうとするといっつもマスタング大佐が間に写っちゃうんですよね。で、ちっともいい写真が撮れないんでちょっと集中して写真を撮りたいんですよ」
 確かにダドリーが持っているブロマイドの中にもマスタングの影が写っているものが随分ある。というより写っていない物を探す方が大変なくらいだ。
「集中して撮ればマスタング大佐の写ってないハボック少尉の写真が撮れるのか」
「俺の写真屋としての全てをかけて撮って見せます」
 自信満々に言うグラントの言葉にしばし考え込む様子のダドリーにグラントは言った。
「先輩。集中して写真集めて、無事写真集が出来た暁には先輩に1冊進呈しますよ」
「密着取材を許可する」
「ありがとうございますっ!」
 そうして密着取材を許可して今日で1ヵ月と10日。昨夜グラントから写真集が出来上がったとの連絡があった。
「命削って撮っただけあって最高の出来ですからっ!」
 楽しみにしていて下さい、と言っていたグラントが今日、ついにその写真集を持ってきてくれるのだ。
「ついに、マスタング大佐の影のないハボック少尉の写真をこの手に出来るんだ…っ」
 期待に打ち震えてダドリーは、今か今かとグラントが来るのを待ちわびていたのだった。


「よし、これで全部オッケーだな」
 グラントは積み上げた写真集の一番上をポンと叩いて頷く。後はこれを予約している連中に配ればいいだけだ。思えばこの1ヶ月、本当に大変だった。ハボックセンサー内臓のマスタングの監視をかいくぐり、うっとうしいハボック隊の部下たちの妨害をはね退け、うっかり撮ってしまったデブのヌードにゲロを吐き、気がつけば5キロも体重が落ちていた。
 だが、その苦労も今日で終わりだ。後はマスタングに見つからないよう、この写真集を配ればいい。グラントが予約者リストを手にどこから配るのが効率的かと考えていると、部屋の扉がゆっくりと開いた。グラントは突然の侵入者に舌うちして振り向きながら言う。
「おい、ここは関係者以外立入禁止だ」
 振り向いたグラントがふと視線を上げたその先には。
 スラリと立つ黒髪黒目の男の姿。
「マ、マスタング大佐…」
 よろりと後ずさったグラントは本の山に背をぶつけてハッとする。
(これだけは死守しなければっっ)
 本を庇うようにして立つグラントにロイはにっこりと笑うと言った。
「グラント准尉。その本の山は何かね?」
 にこやかに笑っているくせに冷たい黒い瞳にグラントは挫けそうになる心を必死に奮い立たせる。
「これはそのっ、広報の関係の書類でしてっ」
「ほう、それは興味深い。1冊見せてくれるか?」
「うっ」
 スッと差し出される手にグラントは思わず後ずさった。それでもなんとか言い返そうとするあたり、彼の勇気を褒めてやりたい。
「た、大佐殿にお見せするほどのものではありませんのでっ」
 そう言ったら諦めてくれないだろうかと一縷の望みをかけて言った言葉はロイの一言であっけなく一蹴された。
「広報がどのような活動をしているのか知ることも上の役目だろう」
 ダラダラと汗を流すグラントにロイはスッと目を細める。
「グラント准尉。本を見せたまえ」
 そう言われたらグラントにはもう抗う術はない。うな垂れて一番上の一冊をロイに差し出した。ロイはそれを受け取るとビニールのラッピングを剥がしパラパラと中身を見る。無表情で目を通したロイはじろりとグラントを見ると言った。
「データはどうした。それも出せ」
「データはここには――」
「出したまえ、准尉」
 ビシリと言われてグラントはのろのろと机の中からメモリーカードを取り出す。グラントの手からひったくるようにカードを取り上げたロイは、グラントの視線が心配そうに壁のキャビネットをちらちらと見ている事に気がついた。靴音高く棚に近づくロイの前にグラントが割って入る。
「ここに入っているのはガラクタばっかりですっっ」
 必死に立ちはだかるグラントを、だがロイはいとも簡単に押しのけると引き出しをあけた。ザッと見回して立てて入れてあるファイルを引き抜くと、はたしてその下には薄い箱が隠してあった。
「あっ、それはっっ」
 奪い取ろうとするグラントの手を難なくかわすとロイは箱を開ける。中から出てきた数え切れないハボックの写真にロイの手がピクリと震えた。ロイは写真の山の中からディスクを見つけ出すとそれを懐にしまい込む。それから棚の中の写真を全て取り出すと中から数枚選んで懐にしまい、残りは写真集の上に載せた。そうしてポケットの中から発火布を取り出すロイに、グラントが悲鳴を上げて写真集の上に身を投げ出した。
「やめてくださいっ!!コイツは俺が心血注いで作り上げたものなんだっ!いくら大佐とは言っても――」
「どきたまえ、グラント准尉」
「どきませんっ!いくら大佐の命令でもどきませんッッ!!」
 両腕で写真集の山を抱え込むようにしているグラントにロイはチッと舌を鳴らすと指をすり合わせる。途端に喉を押さえて目を回したグラントのぐったりした体を写真集の山から引き剥がすと、ぽいと床に投げ捨てた。そして写真集に向けて腕を伸ばすとパチンと指を鳴らす。すると瞬間的に燃え上がった焔がいっぺんに写真集の山を飲みこんだ。
「…あ?…う、わああああっっ!!おっ、俺の写真集がっっ!!」
 軽い酸欠状態から意識をとりもどしたグラントが悲鳴を上げて写真集に近づこうとする。だが、燃え上がる焔に近づくことなどできもせず、焔が写真集を焼き尽くすのを見ているしかなかった。暫くして鳴ったパチンと言う音に、さっきとは逆にあっという間に焔が消える。黒い灰の山となった写真集を前にがっくりと蹲るグラントを残して、ロイは部屋を後にしたのだった。


 ロイは執務室に戻ってくるとグラントから取り上げた写真集を改めて見る。ページを捲るごとに眉間の皺を深めながら写真集を見ていたロイはパタンと本を閉じると執務室の扉を開けて顔を出した。
「ハボックはどこに行った?」
 そう問いかければフュリーが書類から顔を上げて答える。
「今演習中です。あと三十分もすれば戻ってこられると思いますが」
「戻ったら私のところへ来るように言ってくれ」
 ロイはそれだけ言うとまた執務室へ引っ込んだ。机の上の本に手を滑らせて顔を顰める。
「全く、あれほど気をつけろと言っているのにアイツときたら…っ!」
 もし自分が気づかなければこの本が司令部中の男どもの手に渡っていたのかと思うと、ロイは怒りに腸が煮えくり返った。
「ここはきっちり躾け直さんといかんな」
 今日は幸いホークアイは出張で不在だ。ロイはどさりと椅子に腰を下ろすとハボックを待つ間、写真集を隅から隅までじっくりと目を通したのだった。


「あーっ、つっかれたー…」
 うーんと伸びをしながら司令室に戻ってくるとハボックはドサリと椅子に腰を下ろす。書類と向き合っていたフュリーが顔を上げるとハボックに向かって言った。
「あ、少尉。大佐が呼んでましたけど」
「大佐が?なんだって?」
「さあ、戻ってきたら大佐のところに行くよう言ってくれって言われただけなんで」
 そう言うフュリーに首を捻りながらハボックは立ち上がる。
「なんだろうな」
 とりあえず呼んでいると言うなら行かないと拙いだろう。ハボックは咥えていた煙草を灰皿に押し付けると、執務室のドアを叩いた。
「たいさ?呼んでるって聞いたんスけど」
 ハボックはいつものようにロイの返事を待たずに扉を開ける。するとロイがにへらと崩していた顔を慌てて引き締めるのが目に入った。
(何見てたんだろ)
 パタンとロイが閉じた本にちらりと視線を投げてロイを見ればじっと自分を見つめている。その視線が何となく不機嫌そうで、ハボックは小首をかしげた。
「たいさ?」
 何か拙いことをしただろうか、ハボックは懸命に頭をめぐらせるが特に何も思い浮かばない。仕方なしにハボックはへらりと笑うと言った。
「大佐が呼んでるって聞いたんスけど…」
 そう言えばロイがゆらりと立ち上がって机を回ってハボックの前に立つ。自分より少し背の低いロイの顔を、ハボックは上目遣いに見つめた。そんなハボックにロイは1つため息をつくと言う。
「ハボック。私は常日頃からお前に気をつけるように口を酸っぱくして言ってきたな」
「へ?」
「それなのにお前ときたら気をつけるどころかあんな写真まで撮られるなんて」
「え?写真?なんのことっスか?」
 まるでワケがわからないと言う顔をするハボックにロイは僅かに目を見開いた。
「お前、まさかまるっきり気がついてなかったとか言うんじゃないだろうな」
「だから何がっスか?全然話が見えないんスけど」
 心底判らないと言う顔をするハボックにロイは机の上から本を取り上げる。黙ってそれを突き出せばハボックが恐る恐る本に手を伸ばした。
「…ジャン・ハボック写真集〜Blue Sky Eyes〜…はいっ?!」
 渡された本のタイトルを読み上げたハボックは思わず素っ頓狂な声を上げる。表紙を飾るのはシャツを脱ぎ捨てる瞬間の自分の姿だ。少し伏せ目がちなその写真の胸元は何故か赤く色づいて見ている自分が恥ずかしくなる。ハボックは本についている帯に書いてあるあおり文句にもっと恥ずかしくなって顔を紅くした。
「な、なんスか、これっっ?!」
 震える声でそう聞けばロイがぶっきらぼうに言う。
「中を見てみろ」
「え?中?」
 ハボックは言われてぱらりと本を開いた。パラパラとページを捲っていたハボックは最後の数ページを開いたまま固まってしまう。
「こっこっこんなのいつのまにっっっ?!」
 そこに写っているのはシャワールームでシャワーを浴びる自分の姿だ。湯を浴びながら目を細めて気持ちよさそうな表情とか、両手で髪をかき上げる妙に色気のある仕草とか、これでもかこれでもかと言うほどに隠し撮りされた写真が並んでいる。しかも最後の数枚はあろうことか湯気の殆んど消えたブースの中でハボックの全身が撮られたものだった。当然フツウならひと目に曝さないようなイチモツもはっきりと写っている。
「〜〜〜っっ!!」
 声もなく震えるハボックの手から写真集を取り上げるとロイは言った。
「この写真集、今日発行される事になっていた」
「えええっっ?!ちょっと待って!冗談じゃないっスよっっ!!」
 やめさせなきゃ、と部屋を飛び出そうとするハボックの腕をロイはむんずと掴むと言う。
「おちつけ。なっていた、と言ったろう」
「え?それじゃ…」
「私が先に気づいて全部燃やした」
 ロイの言葉にハボックはへなへなと床に座り込んでしまう。
「燃やし…よ、よかった…」
 こんな写真集が出回ったら恥ずかしくて外を歩けなくなってしまう。ハボックは床に手をついてホッと息をつくと、とりあえず危機を回避してくれた礼を言おうとロイを見上げた。だが。
「た、いさ?」
 自分を見下ろすロイの瞳が怒りに燃えている事に気がついて、ハボックは息を飲む。思わず床の上を後ずさろうとしたハボックは肩をぐいと掴まれて痛みに顔を歪めた。
「お前、これだけ隠し撮りされていて全く気がつかなかったのか?」
「え?だってそんな…こんなこと考えたことなかったし…」
「もし、これがカメラのファインダーでなくて銃口だったらどうするつもりだったんだ」
「えっ?!で、でも」
 相手に敵意があったならきっとハボックも気づいたろう。だが、向けられた視線に悪意はなく、ましてや仕掛けられたカメラの視線など気づきようもない。
「全く、危機意識が足りんのだ。少し躾け直さないといかんな」
 そう言って見下ろしてくるロイの瞳が物騒に光って、ハボックはロイの手を振り払うと慌てて部屋を飛び出そうとする。だが、立ち上がる間もなく四つに這った体を背後から押さえつけられた。
「ヤダッ、たいさっ!」
 腕を後ろに捻り上げられ、膝で床に押さえ込まれる。身動き出来ないハボックのベルトを引き抜くと、ロイはハボックを後ろ手に縛り上げた。
「たいさっ!」
「少し体に教えてやる。お前は口で言っても判らんようだからな」
 ロイはそう言うとハボックのズボンを下着ごと引き摺り下ろしてしまう。双丘を両手で押し開くと奥まった蕾へと舌を這わせた。
「や、やだぁっ」
 ぴちゃぴちゃと這い回る舌にハボックは体を震わせて床に頭を擦り付ける。ぬめりと舌が入り込んでぬちゃぬちゃと中をかき回されてハボックの唇から熱い吐息が零れた。
「ん…ふぅ…あ…ああっ」
 ロイの手が後ろからハボックの袋を掴み柔らかく揉みしだく。ハボックの中心は既に堅くそそり立ってとろとろと蜜を零し始めていた。
「んうっ…あ…やあっ…」
 袋を弄っていた手がハボック自身に触れて、ハボックはびくりと体を震わせる。くちゅと音を立てて零れる蜜ごと扱かれればハボックは無意識に腰を揺らめかせた。
「あ、あ…ん…」
「あの本がもし出回っていたらどうなっていたと思ってるんだ…?」
「あっ…そこでしゃべんないでっ」
 秘所に舌を這わせながら話すロイの息が敏感な箇所にかかって、ハボックは背を仰け反らせて喘ぐ。ロイは指をつぷりと差し入れながら囁いた。
「あの写真を見たヤツらがお前のここに自分のイチモツを突っ込む想像をするんだぞ」
「そ、んなこと…っ」
「想像だけじゃなくて、ホントに突っ込みたくなるヤツがいるかもしれない」
 沈めた指をぐちゅぐちゅとかき回しながらロイが言う。
「あっあっ…ヤダッ…やあっ」
「そうしたらお前はどうするつもりだったんだ…っ」
「そんなこと…オレ…知らな…」
 前と後ろを同時に責められてハボックは身悶えた。こみ上げてくる射精感にハボックはふるふると首を振る。
「ひあ…っ…も、ダメっ…イくっ…あっ、イくぅぅっっ…っ!!」
 びゅるびゅると白濁を吐き出したハボックは床に頬を押し付けて荒い息を零した。ロイはハボックの体を反すと脚を大きく広げる。熱を吐き出して震える中心を乱暴に扱きながらハボックに言った。
「お前は私のものだ…はっきり判らせてやる」
「あっああっ…やっ…ひああっっ」
 瞬く間に追い上げられてハボックは再び熱を吐き出してしまう。ロイはハボックのシャツを捲り上げるとぷくりと立ち上がる乳首にしゃぶりついた。
「ああっ!」
 片方を舌で舐め、甘く噛みながらもう片方を指で押しつぶすように愛撫する。ハボックは涙を零しながら熱い息を零した。
「あんっ…ああ…たいさぁ」
 きつく摘み上げればハボックの悲鳴が高くなる。ロイはくッと歯を立てると楽しそうに囁いた。
「ここを虐められるのが好きだな、お前は…」
「ちが…っ」
「違わないだろう。こんなにして…」
 ロイはそう言うとハボックの中心を指で弾く。止めどなく蜜を零すそれがとろんと蜜を飛ばして揺れた。
「んあっ…あふ…」
「今度ここにピアスをしてやろうか、ハボック…」
 きゅうと乳首を引っ張られてハボックは啼きながら喘ぐ。胸から湧き上がる快感が下肢に集まって、溢れる蜜がハボックの蕾を濡らした。
「あ…たいさっ」
「なんだ…?」
「挿れて…たいさの…」
「ダメだ」
 冷たい答えにハボックは目を見開く。ぽろぽろと涙を零すハボックにロイは言った。
「そんなに何か喰いたいならいいものをやろう」
 ロイはそう言うと立ち上がり机の引出しから箱を取り出す。その中からチョコレートを1つ取り出すとポンと口に放りこんだ。そうしてハボックのところへ戻ってくると脚を大きく開かせる。ひくりと震える蕾を露わにすると唇を近づけ口に含んだチョコレートを舌で押し込んだ。
「いっ、いやぁっ!!」
「腹が減ってるんだろう?」
「やだっ…取ってぇっ」
 がくがくと震えるハボックを見下ろしてロイは笑うと箱からもう1つチョコレートを摘み上げる。そうしてそれを今度は直接蕾に押し込んだ。
「ひいいっっ」
 あまりの事に小刻みに体を震わせるハボックの頬を伝う涙を唇で拭ってロイはハボックに囁く。
「わかってるのか、お前は私のものなんだ…二度とあんな写真撮らせてみろ、殺すぞ」
「も、しない…だからとって…」
 隠し撮りなのだからと言い返すことも出来ず、ハボックはただロイに頷いた。ロイはそんなハボックの脚を抱えあげると滾る己を押し当てる。
「え…やだ…さきにとって…」
 押し込まれたものを先にとって欲しくてハボックはそう言ったが、だが、ロイはお構いなしに己をずぶずぶと沈めていった。
「やだぁぁぁっっ!!」
 ぐちゅぐちゅとイヤラシイ水音が響き甘い香りが立ち込める。ロイが激しく突き上げれば突き上げるほど、甘い香りは強くなってハボックはぼろぼろと涙を零した。
「ひうっ…ヤダ…こ、んなの…ヒドい…っ」
「嫌なわけじゃないだろう…こんなにしておいて…」
 そう言ってロイが掴んだハボック自身は堅く立ち上がって蜜を零している。ロイにガツンと突き上げられてハボックは嬌声を上げると熱を吐き出した。
「たいさ…たいさぁ…」
 甘く名前を呼びながら悶える体をロイは抱きしめる。
「私のものだ…ハボック」
 ロイはそう囁くとハボックの中に熱い飛沫を叩きつけた。


 いつまで待ってもやってこないグラントに痺れを切らして、ダドリーはグラントがいつも作業をしている広報部の分室へと足を運んだ。「関係者以外立入禁止」と書かれた紙の貼ってある扉を乱暴に叩くが返事がない。
「グラント?おい、いないのか?」
 そう言ってノブに手をかければ抵抗なく開く扉にダドリーは中へと足を踏み入れ、そして。
 灰の山を前に蹲ってブツブツと呟くグラントの姿にダドリーは凍りついた。そのまま暫く固まっていたダドリーは遠くでバタンと扉が閉まった音で我に返り、グラントに駆け寄る。
「おいっ、どうしたっ、一体何があったんだっ?!」
「マ、マスタング大佐が…」
「来たのかっ?あの悪魔がっ?!じゃあまさかこれは…っ!」
「燃やされた…写真集もブロマイドも…」
「なっ…」
 ダドリーはよろよろと灰の山に近づくとそれを手で掬う。綺麗な灰になったそれが、かつてハボックの姿を納めていたものだったとはとても信じられなかった。
「そうだっ、メモリーがあるだろうっ?それでもう一度作り直せば…っ」
「ダメだ、全部持っていかれた…。」
「なんだって…っ?!」
「写真集用のもブロマイド用のも1つ残らずマスタング大佐が…」
 がっくりとうな垂れてそう言うグラントにダドリーはブルブルと震える。
「あっ、あの悪魔め…っっ!!」
 ガクッと崩れ落ちたダドリーは床に爪を立てて囁いた。
「いつかきっと目に物見せてやる…っっ!!」
 その後のファンクラブの目標がロイ・マスタング抹殺になったとかならなかったとか。


2007/09/18


「その後」の最後では写真集が完成したものの、まだ発行されていないことを指摘されまして「発売直前で積み上げた本を目の前に絶対大佐にばれそうな気がするのは気のせいでしょうか?あげく、自分の分を残して燃やされた上、ハボはハボで隠し撮りとは言え、そんな写真を撮られた事を理由にお仕置きされてしまいそう…」って。鋭いなぁ、ハボセンサー内臓のロイだもの。絶対発行前に気がつきますよね!ってわけで美味しくネタを頂きました。
しかし、勿体無い!せめて数枚でいいからハボの写真、分けてくれないかなぁって切に願う私です(笑)