写真屋ケンちゃん えくすとら


「そういえば聞きましたか、あの噂!」
フュリーがメガネの奥の目をキラキラと輝かせて言う。書類を捲っていたブレダがその手を止めて答えた。
「あの噂?」
ブレダだけでなくハボックもファルマンも興味を示して顔を上げているのを見回しながらフュリーが頷く。
「ほら、ホークアイ中尉の写真集が出回ってるって話ですよ!」
「中尉の写真集?そうなの?」
ハボックがきょとんとして答えるとファルマンが言った。
「私も聞いたことがあります。以前マスタング大佐の写真集が密かに売られてたことがあったでしょう、あそこと
 同じ出版元らしいんですがね。」
ファルマンの言葉にフュリーが頷きながら言う。
「そうなんです。それがね、マスタング大佐の2万センズより高い2万5千センズだったにもかかわらず、売上は
 更に上をいったらしいんですよ。」
「へぇっ、すげぇな!つか、さすが中尉!」
ブレダが感心して声を上げるとハボックが言った。
「中尉って男だけじゃなく女の子にもモテてるみたいだもんな。」
「そういえばバレンタインの時は随分チョコを抱えてましたよね。」
ファルマンが思い出したように言うと、皆少し複雑な表情になる。その時、ブレダが思いついたように言った。
「それってさ、まさかヌード写真なんかもあったりするわけ?」
「うわ、ブレダその発言、命知らずっ!」
「だって写真集っつったら水着かヌードだろ?」
ブレダの言葉に皆が一斉に遠い目をした時。
「何の話かしら?」
涼やかな声が背後からかかり男どもはギョッとして飛び上がる。
「ちゅっ、ちゅういっ?!」
「いつからそこにっ?!」
「楽しそうね、何の話かしら?」
そう言って顔を見回すホークアイの視線に誰もが凍りついた。
「おしゃべりもいいけど、仕事してちょうだい。」
だが、ホークアイにそう言われて男達がホッと息を吐いた瞬間。
「写真集の目玉は射撃連射のコマ送り写真よ。」
サラリと言ってホークアイは執務室へと入ってしまう。
「写真集…ホントに出てんだ。」
ぼそりと呟いたハボックの言葉を皮切りにそこにいた全員が色めきだったのはいうまでもない。


2007/10./3