名前 その後


「ジャン…」
真っ赤になって嫌がるハボックの様子があまりに楽しくて、ロイはハボックに圧し掛かるようにしてその耳元に囁く。
ロイは浮かれるあまりハボックの瞳が剣呑な色をたたえている事にに気がつかなかった。
「アンタねぇ…っ」
ギロリと睨まれてもロイはまだ身の危険を露ほども感じてはおらず、その黒い瞳をキラキラと楽しげに輝かせている。
ハボックは甘ったるく呼ばれる名にゾクゾクと体の奥から湧き上がってくる欲情を抑えるのがいい加減面倒くさくなって、
自分に身を寄せるロイの肩をグイと掴んだ。
「えっ?」
突然の事にロイは抵抗することも出来ずにハボックに引かれるままに倒れこむ。気がついたときには見開いた瞳の先
に、ハボックの顔と執務室の天井があった。
「え?」
自分の置かれた状況が理解できずにポカンとするロイをソファーに押さえつけてハボックはにんまりと笑う。
「散々人のこと煽ってくれちゃって、あれだけやめろって言ったのにやめないアンタが悪いんスからね。」
ハボックはそう言うとロイの耳元に唇を寄せた。そうして甘くかすれた声で囁く。
「ロイ…」
「…っっ!!」
鼓膜を震わせる声にロイの背筋を甘い痺れが駆け上がる。ビクッと体を震わせるロイの耳にハボックはねちゃと舌を
差し入れた。
「やっ…やめ…っ」
「もう、遅いっスよ。」
押し返そうとする手を容易く払いのけてハボックはロイの軍服を寛げていく。
「しっ、仕事中だろうっ!」
「…それ、オレがさっき言いましたよね。」
でも、アンタが聞かなかったんでしょ、とハボックは言ってロイの乳首をシャツの上からカリと噛んだ。
「あっ!」
ぴくんと跳ねる体を押さえつけてもう一方を指の腹でぐりぐりとこねる。シャツ越しに加えられるまどろっこしい愛撫にロイ
は身を捩った。
「ん…あ…それ、いや…」
「直接触って欲しいっスか?」
「ん…」
喘ぎとも返事ともつかぬ声を出すロイにハボックはくすりと笑って言った。
「可愛いっスよ、ロイ…」
ハスキーな声で囁かれる名前は酷く淫猥な響きを伴ってロイの官能を揺さぶる。ロイは目尻を紅く染めていやいやと首
を振った。
「呼ぶな…っ」
「どうして?さっきは散々オレの名前呼んでくれたじゃないっスか。」
呼んで欲しかったんでしょ、と囁かれてロイは真っ赤になって首を竦める。ハボックはシャツの中に手を滑り込ませると
ぷくりと膨れ上がった乳首をキュッと摘みあげて囁いた。
「ロイ…ロ、イ。」
一文字ずつ区切って吹き込むように囁く。そのたびビクビクと震えるロイにハボックは楽しそうに笑った。
「いいな、これ。クセになりそうっスよ。」
「ばかっ」
「バカはないでしょ、ロイ…」
「…っっ」
ワザとらしくハボックは何度もその名を囁く。ハボックは胸を弄っていた手をロイの中心へと滑らせた。
「名前呼ばれて、胸弄られただけでもうこんなにして…。」
ハボックの手が布越しに触れるそこはもうすっかり勃ち上がって窮屈そうに布を押し上げている。
「イヤラシイっスね、ロイ…。」
「…ふ…んっ」
ビクッと震えてロイの瞳に涙が滲んだ。ハボックはやわやわと布越しにロイ自身に触れながらロイの耳を甘く噛んだり
舌を差し入れたりしている。耳元に響く濡れた音にロイは堪らずハボックを呼んだ。
「ハボ…っ」
だが、ハボックは答えずに相変わらず同じ行為を繰り返すだけだ。早くハボックにちゃんと触れて欲しくて、ロイは涙に
掠れた声でもう一度ハボックを呼んだ。
「ハボック…っ」
切羽詰ったようなロイの声にハボックは低く笑って舌とともに声を耳に吹き込んだ。
「ジャン、でしょ。ロイ。」
「…あ」
微かに目を瞠るロイの唇に殆んど触れそうなほど己のそれを寄せてハボックは言う。
「さっきみたいに呼んで…。そしたらちゃんとシテあげますよ、ロイ。」
普段はそんなに自分のことを呼びながら抱いたりしないくせに、なんて意地の悪い男なんだろうと、ロイは思い切り
ハボックを睨みあげた。その紺青に染まった瞳が楽しそうに自分を見下ろしているのを見て、ロイはぷいとそっぽを向く。
「うわ、素直じゃないっスね。」
ハボックは呆れたように言ってくすくすと笑った。
「まあ、オレはそのほうが楽しいっスけど。」
そう言ってハボックは厚い軍服のズボン越しにロイの中心を嬲る。シャツの中に忍び込ませていた手も引き出すと、わざ
わざシャツの上からロイの乳首を弄んだ。
「い、やっ…いやっ」
焦らすような愛撫は体の奥底をジリジリと焼いてロイを苦しめる。ハボックはシャツの上から乳首を舐めたり噛んだり
しながら片手でロイの中心を弄り、もう片方の手で双丘の間をぐいぐいと指で押しやった。
「あっ…ハボ…っ」
まだるっこい愛撫に焦れて涙を零すロイにハボックが言う。
「このままだと軍服、悲惨なことになっちゃうんじゃないっスか?」
もう結構湿っぽいし、と言われてロイはギョッとした。そんなことになったら外に出られなくなってしまう。
「ハボっ!やめろっ!」
「じゃあ素直に名前呼べばいいでしょ。」
そう言われてロイはグッと言葉を飲み込む。さっきハボックが嫌がるのをからかい半分に呼んだ時はなんでもなかった
それが、情事の合間に呼ぶのは酷く恥ずかしい気がしてロイはハボックの名を口にすることが出来なかった。ギュッと
口を引き結んでジタバタと暴れるロイにハボックは呆れたため息をつく。
「アンタもほんと強情なんだから。」
ハボックはそう呟くとロイのベルトを緩めズボンを引き抜いた。そうして下着は下ろさずにその上から愛撫を加える。
「ああ、下着はもうベトベトっスね。」
「ばかぁっ!」
「強情張るからでしょうが。」
ハボックは零れた蜜で濡れそぼった下着の上からぐりぐりとロイを嬲った。ロイがびくびくと体を震わせて限界を伝えて
くる。
「も、でる…っ、でちゃうっ…!」
「いっスよ…ほら、イって…ロイ」
「――っっ!!」
甘い囁きが鼓膜を揺さぶり、ロイは下着の中に熱を吐き出してしまった。涙を零して荒い息を吐くロイをじっと見下ろして
いたハボックは脚の付け根から下着の中に手を入れると、戦慄く蕾に指を突き入れる。
「ひっ…」
そうして下着の中で吐き出した熱を塗りこめながら手早く解していった。
「いっ…あっ…やめ…っ」
「ごめん…オレも限界…」
ハボックはそう呟くと指を引き抜き、己を取り出す。ロイの下着の脚の部分の布を無理矢理引き伸ばすと、そこから
覗いた蕾へと滾る己を突きたてた。
「ひゃああああっっ!!」
まだ幾分硬いそこは押し入ってくる牡にひどい圧迫感を覚える。それでも何度も受け入れさせられ、形を覚えこまされた
そこは瞬く間に解けてハボックを押し包んだ。
「ひあっ…ああんっ…あっあっ」
「ん…下着がすれて…」
たまんねぇ、と囁かれてロイは今自分がどれ程淫らな姿で男を受け入れているのかを想像してしまい、恥ずかしさに
唇を噛み締める。それと同時に咥えるハボックをも締め付けてしまい、思わず高い悲鳴を上げた。
「ひっ…ああっ…ふあっ」
「カワイイっスよ、ロイ…」
「んああっっ」
グイと捻じ込まれてロイは再び熱を吐き出す。ねっとりと自身を濡らす熱を感じて、ロイはかああっと顔を赤らめた。
「すげ…中、きゅんきゅんしてる…パンツの中に出すの、気持ちいいんスね…」
からかうような声にロイの瞳からポロポロと涙が零れる。それでも快楽に溺れる体はもうどうにもならなかった。
「ああん…ハボぉ…っ」
「ジャンって呼んで…ロイ…」
そういう声に薄っすらと瞼を開ければ強請るように自分を見下ろすハボックの顔が見える。ロイはハボックの首に手を
まわすと囁くようにその名を呼んだ。
「…ジャン。」
途端にロイの中のハボックが嵩を増し、ロイは悲鳴を上げる。ガツガツと突き上げられてロイはブルブルと身を震わせた。
ロイが射精感に身を任せてしまおうとした時、ハボック自身がビクビクと蠢いたかと思うと、熱を吐き出す瞬間ハボックは
ロイの中から己を引き抜いてしまう。
「あ…」
乱暴に引き抜かれて喪失感を味わうより先に、ロイは己の双丘が熱い液体で濡らされたのを感じ取った。どろりと双丘
を熱が流れるのを感じた途端、ロイの体をぞくんと快感が走りぬけ、ロイは堪らず熱を吐き出してしまう。そうしてロイは
自分とそしてハボックの熱とで下着の中をぐちゃぐちゃに濡らされたまま、呆然と宙を見上げていたのだった。

「ちょっ…蹴んないでくださいよ。」
「うるさいっ!このヘンタイ野郎っ!!」
ロイはソファーの上でベタベタに汚れてしまった下肢を清めてもらいながらハボックに蹴りをいれる。達する前に脱が
されたズボンはともかく、下着は目も当てられないような状況になっており、散々舐めたり噛まれたりされたシャツも
人前には曝せないような状態だった。
「どうしてくれるんだっ!!」
「着替え、ロッカーに入れてないんスか?」
「下着なんて置いてあるもんかっ!」
「えー、オレは置いてますっケド」
不服そうに言うハボックの頭にロイは思い切り踵を落とす。
「ってぇぇっっ!何するんスかっ!」
「やかましいっ!人の下着の中に出して喜ぶヘンタイにはこれ位してあたりまえだっ!」
「…それに興奮してイッちゃったくせに。」
ぼそりと言われてロイは真っ赤になるとメチャクチャに脚を振り回した。振り回した脚が思い切りハボックの顎を蹴り上げ、
ハボックは痛みで声も上げられずに顎を押さえて蹲る。
「あ…ハボ…」
本当に蹴るつもりはなかったものの謝る気にもなれず、どうしようかと逡巡するロイをハボックが顎を押さえたまま睨み
つけた。
「…アンタね。」
その物騒な空色にロイは慌てて逃げようとする。だが、足首を掴まれてグイと引き戻され、ソファーに押さえ込まれた。
「ホントのヘンタイってどう言うのか、やってみましょうか。」
「いいっ!やらなくていいっ!!」
そう返したロイの言葉はハボックには聞き入れてもらえず、ロイはその後たっぷりとその身に教え込まれる事になった
のだった。


2007/9/28


「からかって楽しかったロイはうっかりそのまま押し倒されてしまえ、と。そんなつもりはなかったのに、その気になったハボックに襲われてしまえば良いv
そう思いませんか?」って聞かれたから思わず、思いますーーーっっ!!って叫んじゃいました(苦笑)
しかし、お前ら仕事をしろ、仕事を!と言いたくなるような…。あー、多分中尉は出張中ってことで(汗)