| 水浸し |
| 「どわわわわっっ!!」 キッチンからハボックの叫び声が聞こえた。どうしたのかとロイはキッチンに入ろうとして慌てて体を引く。ロイが思わず入るのを踏みとどまったキッチンは物凄い勢いで水に侵食されていた。 「たいさっ!元栓止めてっっ!元栓っっ!!!」 ハボックが喚く声にハッとするとロイは慌てて元栓を閉めに走る。とはいえ、キッチンに入るのは流石に躊躇われたのでロイは家の外へと回った。めったに回すことのない元栓はかなり硬くなっていたが、それでもなんとか栓を回すとロイは家の中へと戻る。恐る恐るキッチンを覗けば、ハボックが水道の水栓を握り締めたまま呆けたように立っていた。 「一体どうしたんだ、これは」 ロイがそう聞けばハボックはゆっくりとロイを振り向く。 「水出そうとして捻ったらいきなり抜けちゃって…」 ハボックがそう言って手の中の見せたそれに、ロイは思い切り眉を顰めた。 「バカ力にもほどがあるぞ」 「力なんて入れてないっスよ」 ハボックは唇を尖らせてそう言うと、キッチンを見回す。その惨状にがっくりと肩を落とすとため息をついた。 「久し振りにフルーツケーキでも焼こうと思ったんスけど…」 カウンターに出してあった材料は水を被って悲惨なことになっている。床も壁もそこいらじゅうが水浸しで、それを片付けなくてはならないのかとハボックは情けなく顔を歪めた。とはいえ、この家のもう一人の住人が何か手伝ってくれるとも思えず、ハボックは嫌な事はさっさと片付けてしまうに限ると濡れた髪をかき上げる。そうやって初めてハボックは自分も全身ずぶ濡れになっていることに気がついた。 「うわ、オレもかなり悲惨じゃん」 そう呟いて見下ろせばシャツはべっとりと体に貼り付き、ハーフパンツも脚に絡みついている。先に着替えるか、でもどうせここを片付けていれば又汚れるしなどと考えながら足を踏み出した途端、ずるりと滑ってハボックは見事に尻餅をついてしまった。 「あいたたた…」 泣き面にハチと言うのはこういうことを言うのだろうかなどと思って、ふと顔を上げれば食い入るように自分を見つめている黒い瞳と目が合う。ハボックはきょとんとしてロイを見返すと首をかしげた。 「たいさ?」 そう言えばロイがスッと目を細める。さっきは入るのを躊躇った水浸しのそこへ足を踏み入れてくるロイにハボックは思わず尻で後ずさった。 「あのっ…入ってくると濡れるから…すぐ掃除するんでっ」 「手伝ってやろうか?」 「結構ですっ!!」 ハボックはそう言うと更に後ろへと尻を進める。背中がカウンターの下の扉に当たってもう逃げ場がないことに気がついた。 「たいさっ、ホント、手伝いはいらないっスからっ、向こうで待っててくださいっっ」 ひっくり返った声でそう叫ぶハボックを見下ろしてロイは思う。ロイの様子に何かヤバイと思っているのは野性か、はたまた軍人としての勘か。だが、相変わらず己のなにがロイをこうさせるのかは気づいていないのだ。 「相変わらず自覚のないヤツだな」 「え?」 ぼそりと呟いたロイの言葉を聞き損ねて戸惑うハボックの前に片膝をつくとロイはハボックの顎を掬う。見開かれる空色の瞳を食ってしまいたいと思う自分にロイは思わず苦笑した。 「たいさ?」 不思議そうに呼ぶその自分を信じきったハボックの様子を嬉しいと思う反面苦々しくも思い、ロイはハボックに顔を近づけると囁いた。 「フルーツケーキか、確かに旨そうだ」 そういい終わると同時に噛み付くように口付ける。きつく舌を絡ませればハボックの唇からくぐもった声が零れた。 「んんっ…ン―――ッ!!」 ロイを押し返そうとその肩に置いた手が小刻みに震えるにいたってようやく唇を離せばハボックの瞳はすっかりと潤んでいる。ロイは濡れてべったりと体に貼りついたシャツの中から覗く乳首をシャツの上からキュッと摘まんだ。 「アッ」 びくんと震える体を押さえつけてくりくりと捏ね回せばハボックが逃れようと身を捩る。ロイはそうさせまいと投げ出したハボックの脚の間に己の体を割り入れた。片手で乳首を玩びながら濡れたハーフパンツの裾から手を入れて腿を撫で上げる。暫くそうしてロイはハボックの肌の感触を楽しんでいたが、パンツの裾から手を抜くとジッパーに手をかけた。 「たいさっ…やめ…っ…アンタ、なに突然サカって…っ」 「自分に聞け」 「な…訳わかんないっスよっ…あっっ」 忍び込んできた手にキュッと中心を掴まれて、ハボックは喉を仰け反らせる。ロイは曝け出されたそこに思い切り噛み付いた。 「ひぃ…っ」 いきなり急所に噛み付かれてハボックは悲鳴をあげる。走る痛みにロイに縋り付く手が震えた。 「あ…たいさ…」 それでもロイを突き飛ばそうとはしないハボックに無言の信頼を見て取ってロイは血の滲むそこに舌を這わせる。ぴくんと震えるハボックの体から一度身を離すと、ロイはハボックに言った。 「立つんだ」 ハボックは言われてゆっくりと立ち上がるとカウンターに背をつけたままロイを見下ろす。ハボックの前にしゃがんだままのロイを思い切り蹴りを入れれば逃げられるのにそうしないハボックを、ロイはうっとりと見上げた。それからすぅっと立ち上がるとハボックの喉の傷に指を這わせた。 「ハボック…」 低く囁く声にハボックの体が震える。ロイはシャツの上から浮かび上がる乳首をカリと噛んだ。 「ぅうっっ」 カウンターに手をついてハボックは背を仰け反らせる。片方の乳首を唇と舌で、もう片方を指で玩んでやれば、ハボックは熱い吐息を零した。濡れたシャツ越しに与えられる愛撫ははっきりとせずハボックを苛立たせる。ハボックはロイを押し返すと震える声で言った。 「それ、まどろっこしいっス…」 責めるように見つめてくる濡れた瞳にロイはくすりと笑うと言う。 「どうしたいんだ?」 笑みとともに囁かれてハボックは不満げに唇を歪めた。 「意地悪っスね、アンタ」 そう言ってロイを睨んでくる瞳にロイは低く笑うとハボックのシャツに手をかける。グイと引き上げて頭まで抜いて、だが腕は抜かずにそのまま背の方にシャツを回した。 「な…ちょっと、これ…っ」 濡れたシャツに腕を拘束された形になったハボックが不満の声を上げるのに構わず、ロイはハボックの乳首に舌を這わせる。びくりと震える体に構わず露わになったそこを舌と指で散々に嬲った。 「あ…ああっ…た、いさっ」 散々に弄られたそこは紅く膨れ上がりもう快感よりも痛みが先にくるくらいだ。緩く首を振るハボックにロイは囁いた。 「旨いフルーツだな。真っ赤にうれてとても甘いぞ」 「バカ…っ…何言ってっ…ああっっ」 カリと歯を立てられてハボックは悲鳴をあげて背を仰け反らせる。 「も…やめ…っ」 涙を零して呟くように言うハボックをうっとりと見つめたロイは、カウンターに置いたままのケーキの材料に目を向ける。ボウルに入った砂糖とバターをすり合わせたものを手に取るとハボックに言った。 「ケーキか、たまには私が作ってやろう」 そう言うとロイはボウルの中身を指で掬ってハボックの胸に塗りたくる。ベトリと塗られるその感触にハボックは慌てて身を捩った。 「ヤダっ…なにして…っ」 「ケーキを作るんだろう?」 「やっ…やだっ!」 ハボックはぬるぬるしたそれを塗りつけるロイの手から逃れようとするが脚の間にはロイの体があり、その体とカウンターに己の身を挟まれた状態では逃れようにも逃れられなかった。 「こんなものか?」 ロイはハボックの胸に塗ったそれを満足そうに見るとボウルと置く。指についたそれをロイはハボックの口元に持って行くと、口の中に指をねじ入れた。 「んんっっ」 強引に入ってきたそれに、だがハボックは従順に舌を這わせる。涙を滲ませてそれでも必死にロイの指の汚れを舐め取る姿にロイはゾクゾクと身を震わせた。綺麗になった指をハボックの口から引き抜けば唇からとろりと唾液が零れ落ちる。それを舌で拭ってやると伏せた金色の睫が震えた。ロイはバターと砂糖とでぬらぬらと光るハボックの胸に舌を這わせる。ゆっくりと味わうように舌を這わせ時折きつく吸い上げてはその鍛えられた体に所有の印を残していった。 「んっ…あ…は…」 ぴくぴくと震える体から塗りつけたものをすべて舐め取ってしまった頃にはハボックの体からは力が抜け、脚の間にあるロイの体に身を預けてやっと立っているような状態だった。そうしてロイの体に押し付けられているハボックの中心が熱く漲っていることに気づいてロイはにんまりと笑う。 「どうした?」 意地悪く聞けばハボックが悔しそうにロイを睨んだ。その空色の瞳を快楽に歪ませてやりたくて、ロイはハボックのハーフパンツに手を掛けると下着ごと引き摺り下ろす。ぎくりと強張る体の中心で、高々とそそり立つそれの先端をくにくにと捏ね回しながらロイはハボックに聞いた。 「ここにも塗ってやろうか?塗って食べて欲しい…?」 囁く声にハボックはギュっと瞳を閉じて、それでも微かに頷く。ロイはクククと笑うともう一度ボウルを手に取った。ボウルの中身を指で掬ってそそり立つ中心に塗りつける。とろりと蜜を零すハボックにロイは言った。 「おい、いくら旨そうだからって涎を垂らすな」 「バカ…っ!」 そう言われてハボックは真っ赤になった顔を胸に押し付ける。わざとゆっくりと塗りつける指に快感を高められてハボックは喘いだ。 「た、いさっ」 「なんだ、もう食って欲しいのか?」 がくがくと頷くハボックの中心はとろとろと蜜を零している。ハボックはうっすらと目を開けるとロイに言った。 「たいさ…はやく…っ」 食ってください、そう囁く声にロイはじゅぶと中心を咥え込む。蜜で重く膨れ上がった袋を玩びながら唇で竿を擦りあげればハボックは背を仰け反らせて喘いだ。 「ここにあるのは胡桃か?なら、割らないとケーキには使えないな」 ロイはそう言うと手の中のそれをぐっと握り締める。痛みと握り潰される恐怖にハボックの唇から悲鳴が上がった。 「ひいっっ…やめっっ」 「どうして?ケーキを作るんだろう?」 ロイはそう囁くと握る手に更に力を込める。 「ひゃああっっ…つぶれるっっ」 ぼろぼろと涙を零してハボックは叫んだ。逃れようにも急所を握りこまれて身動き一つ出来ない。ハボックは嗚咽を零しながらロイに乞うた。 「おねが…も、やめ…」 必死の思いでそう言うハボックの中心は、だが相変わらず高々とそそり立ったままだった。ロイは天を指すそれを指で弾くと意地悪く言う。 「お前のここはやめて欲しいとは言ってないが?」 「あ…そ、んな…っ」 ハボックは小さく首を振ると震える声で言った。 「も、やめ…たいさ…おねが…いっ」 「ウソをつくな」 ロイは低くそう言うとハボックの袋を握り締める。それと同時にそそり立つ中心をきつく扱いた。 「ひいいいっっ…ああっ…ひああああっっっ!!!」 ハボックは痛みと握りつぶされる恐怖と、だがそれを上回る快感に支配されて熱を迸らせる。びゅるびゅると白濁を撒き散らして荒い息を零すハボックの唇をロイは己のそれで塞いだ。 「ん…ふ…」 ロイにされるまま口内を嬲られてハボックは力なくその身をロイに預ける。ロイは唇を離すとハボックの耳元に囁いた。 「悦かったようだな」 「ひど…たいさ…」 嗚咽を零す唇にもう一度口づけてロイはハボックの体を反す。ハボックの熱で塗れた指を双丘の間に差し込むとぐちゅぐちゅとかき回した。 「ああ…」 もう、身動くこともままならない体をハボックはロイに差し出したままはらはらと涙を零す。その綺麗な涙を背後から見つめながらハボックの蕾を玩んでいたロイは指を引き抜くと滾る己を取り出した。 「挿れるぞ」 そう囁けばハボックの体が大きく震える。ロイはハボックの腰を持つと一気にずぶずぶと己を沈めていった。 「アッアア―――――ッッ!!」 後ろ手に拘束された体を仰け反らせてハボックが嬌声を上げる。ズリュッズリュッといやらしい水音を立てながらきつく突き上げればハボックは瞬く間に熱を吐き出した。 「ひああっっ…ああっっ」 ロイの手がハボックの胸に回りギュッと抓る。紅く膨れ上がったそこから走る痛みとも快感ともつかぬ物に、ハボックの唇から熱い吐息が零れた。 「ああ…た、いさぁ」 感じ入ったその声にハボックを犯す牡が膨れ上がる。そうして更に中を押し広げられる苦痛に、ハボックはくぐもった声を上げた。 「んんっ…くふ…」 熱く滾った塊が奥深くまで埋め込まれたと思うと一気に入り口まで引き抜かれる。その乱暴な動きに揺さぶられながら湧き上がるたとえ様のない快感にハボックは喘いだ。 「ど…して…っ」 「なんだ?」 「…どして…こ、んな…」 イイの、ため息のような言葉はロイの耳に確かに届いてロイの熱を怒張させる。 「ああっ…おっき…っっ…ひゃああんっ」 「ったく、お前は…っ」 こうしてハボックを喘がせ乱しながら、いつも翻弄されるのは自分だとロイは思った。誰にも渡したくなくて誰の目にも触れさせるのすら耐えがたくて、ハボックの目がいつも自分を見ているのだと知った今でさえ不安で仕方ない。 「ああっっ…た、いさぁぁっっ」 ロイの名を呼びながらハボックが何度目かの熱を放つ。ロイは快感に震えるその体を繋がったまま強引に反すとハボックの唇から悲鳴が上がった。 「ひいいいっっ」 きゅうと締め付けるそこにロイは眉を顰めて耐える。そうして熱をやり過ごすとロイはハボックの両脚を抱え上げてしまった。ずぶぶと自重で更に奥深くまでロイを飲み込んでハボックが喘ぐ。涙と情欲で色濃く塗れた瞳を舐めてロイは更にきつくハボックを穿った。 「あああっっ…ひああっっ」 突き破られるほど奥を突かれてハボックは身を仰け反らせる。倒れそうになる体をカウンターで支えて、ロイは快感に震えるその体を乱暴に揺さぶった。 「ひうっ…ああっっ…ああんんっっ」 汗と水で濡れた金髪を振り乱して喘ぐ恋人をじっと見つめてロイは囁く。 「お前は私のものだ…いいな…っ」 そう言えば涙で濡れた瞳が僅かに開かれてそれから嬉しそうに細められた。 「もう…ずっと…そうで、しょ…っ」 そう呟く唇を乱暴に塞いで。 「んっ…―――――ッッ!!!」 ロイはハボックの最奥に熱を叩きつけていった。 ようやく拘束を解かれて、ハボックは力なくカウンターにもたれかかる。ボンヤリとした目でキッチンの惨状を見渡してハボックはろくに身動きすることすらままならない己の身を考えるとため息を零した。 「ここ、やっぱりオレが片付けるんスか?」 「お前が水浸しにしたんだろうが」 平然とそう言ってブランデーに浸したドライフルーツをつまみ食いするロイをハボックは恨めしげに睨み付ける。 「アンタってホント鬼っスよね…」 人の気力と体力を根こそぎ奪っておきながら当然のように言う男にそう言えばロイがニヤリと笑った。 「なんだ、まだ判ってなかったのか?だったらもう一度その体にじっくりと教えて――」 「もう、充分判りましたっっ!!」 慌ててそう答えるハボックに近づくとロイはその顎を掴む。 「も、ほんと、ムリっスから…っ」 にんまりと笑う黒い瞳にハボックは無駄だと判っていてもそう呟いた。 「遠慮するな」 案の定楽しそうに言って唇を重ねてくるロイに、ハボックは今日ここを片付けるのを諦めるのだった。 2007/08/20 「機会があれば水浸しロイハボを再び」と言うコメントを頂きまして…書き足りなかったんですね、私(←え?)どうにも書きたくなってしまってまたまた書いて しまいました。同じようなネタが続いてますがお楽しみ頂ければと〜。 |