melba
 
 
「はい、どうぞ。」
ハボックがそう言ってロイの前に差し出したのは、アイスクリームとなにやら薄紅色の果物にソースがかかっている
デザートだった。
「なんだ、これは。」
ロイが受け取ったそれをスプーンでつつきながら聞く。ハボックは向かいのソファーに腰を下ろすと答えた。
「ピーチメルバ。食ったこと、ありません?」
「残念ながらないな。ピーチってことはコレは桃か?」
ロイはそう言うと薄紅色の物体をスプーンで掬う。一口食べれば口中に広がる柔らかい甘さにロイの目尻が下がった。
「美味いな。」
にっこりと笑ってロイが言えばハボックも嬉しそうに笑う。
「よかった。なんか急に食いたくなって作ったんスけど、気に入ってもらえてよかったっス。」
ハボックはそう言うと自分も桃を口に運んだ。
「シーズンだったら生の桃使うんスけど、今日は缶詰。でも結構いけますよね。」
「白桃だろう、これ。なんでこんな色なんだ?」
「グレナデン・シロップで色づけしてるんスよ。」
「ぐれなでん・しろっぷ?」
おうむ返しに聞き返してくるロイにハボックは立ち上がるとキッチンへと行く。鮮やかな真紅の液体が入ったボトルを
持ってくるとロイに見せた。
「これ。シュガー・シロップにザクロの風味をつけたシロップなんスけど、色が綺麗なんで菓子作る時に使ったり、あと
 カクテルに入れたりするんスよ。」
「ふうん。」
ロイは手を伸ばしてハボックからボトルを受け取るとしげしげと見つめる。ハボックは再び腰を下ろすと言った。
「シロップとワインで桃を煮て、冷めたらバニラアイスと盛り付けてラズベリーソースをかける。色が綺麗でいいでしょ。」
デザートを口に運びながらニコニコと言うハボックに向けてロイは手にしたボトルを掲げる。真紅のシロップと並んだ
ハボックの白い肌と空色の瞳に、ロイの瞳がスッと細められた。

ハボックがシャワーを浴びて出てきた時には寝室の灯りはおとされて枕元の小さなランプだけになっていた。ベッド
に仰向けに横たわって目を閉じているロイの顔を覗き込んでハボックが囁く。
「寝ちゃったんスか…?」
返ってきたのは柔らかな寝息でハボックはホッと息を吐いた。
「よかった、明日は演習あるし…。」
ハボックとて健康な成人男性だ。当然そういう欲求はあるし、好きな相手が傍にいればシたくもなる。だが、限度を
越えたセックスは流石に体に負担だったし翌日に演習など控えた日には正直遠慮願いたいと言う気持ちもあった。
しかし一度始めてしまえばロイには限度という言葉は存在しなかったし、ハボックにしてもついつい流されてしまう。
そうならない為にもわざとゆっくりシャワーを浴びたりぐずぐずして寝室に来なかったのが功を奏したらしい。待ちくた
びれたロイが先に眠ってしまったことでハボックはホッと安堵のため息をついた。
「大体大佐だって疲れてるに決まってんだからさ。」
ハボックはそう呟くと額にかかるロイの前髪を指で払う。
「寝た方がいいに決まってるんだから。」
そう言いながらもロイが先に眠ってしまったことがほんの少し淋しい。考えてみればロイの方が自分より先に寝る
なんてことは滅多にないことだった。いつだって自分は散々に啼かされて気絶同然に眠りに落ちてしまうのだから。
「大佐って睫なげぇ…。」
ハボックはそう呟くとロイの顔に唇を寄せる。二人の唇が触れたと思った瞬間、グイと腕を引かれてハボックが気が
ついた時にはロイの顔を見上げていた。
「まったく、待ちくたびれただろうが。」
「なっ…アンタっ、狸寝入りっっ」
「そんなことはしてないぞ。」
「返事しなかったじゃないっスかっ!」
「寝たという返事をしなかったろう。」
澄ました顔でそう言うロイにハボックは開いた口が塞がらない。そうこうしている内にロイの手がハボックの体を
這い始めて、ハボックは慌てて身を捩った。
「たいさっ、オレ、明日演習が…っ」
「キスしてきたのはお前だろう。」
「だって寝てると思って…アッ…」
きっちりと前をあわせてあったはずのバスローブが肌蹴られ、ロイの指がハボックの乳首をこねる。キュッときつく
摘まれてハボックは悲鳴を上げて背を仰け反らせた。
「や…っ、あんっ」
甘い声を洩らしながらもハボックはなんとか逃れようとする。ロイはずり上がろうとするハボックの体を引き戻すと
言った。
「往生際が悪いぞ、ハボック。」
「んな事言ったって…あした、ツライの、は、オレ…っ」
「こんなにしておいて、今更だろう。」
ロイはそう言うとバスローブを押し上げているハボックの中心をやんわりと握る。
「んあっ!」
びくんと跳ねる体にロイはくすりと笑った。
「諦めろ、ハボック。」
「やだっ」
中心を扱かれて涙目になりながらも睨んでくるハボックにロイは顔を顰める。
「強情なヤツだな。素直にシたいと言えないなら言わせてやる。」
ロイはそう言うとバスローブを剥ぎ取りハボックを俯せに押さえつけた。抜き取ったローブの紐でハボックの腕を後ろ手
に縛り上げるとにんまりと笑う。
「せっかくだから美味しく頂こうか?」
「ちょっ…ほどけっ、このエロオヤジっ!ヘンたいさっ!」
諦め悪くジタバタと暴れながら暴言を吐くハボックにロイはムッとすると言った。
「さっきは可愛らしくキスしてきたくせに、どうしてそう素直にホシイと言えないんだ、お前は。」
「だから明日は…っ…ヒャッ!」
いきなり腰を高く掲げられてハボックは悲鳴を上げる。腕が縛られている為、肩と膝で四つに這わされる姿勢を取ら
されて、肩越しにロイを睨みつけたハボックはロイが手にしたものを見てギクリと体を強張らせた。
「ア、ンタ、それ…っ」
「さっき桃にかけて食ったら美味かっただろう?」
ロイはそう言うと真紅の液体が入ったボトルにチュッと口付ける。
「この桃にかけて食ったらさぞ美味いだろうと思ってな。」
そう言うとロイはハボックの双丘をぞろりと撫で上げた。ビクンと震えてハボックは逃れようと必死に身を捩る。
「それは桃じゃねぇっ!何考えてんスかっ、アンタっ!」
そう怒鳴り散らしながらハボックは身を捩った。だがそれはまるで尻を振りたてているようにしか見えず、ロイはくすくす
と笑う。
「強請ってるみたいな動きだぞ。」
ロイの言葉にハボックは思わず動きを止めた。だがそうすれば今度は待ち望んでいるように思えてハボックは泣きそう
になってロイに言う。
「お願いだから、やめて、たいさっ」
「じゃあ素直にホシイと言ってみろ。」
そう言われてハボックはギュッと唇を噛み締めた。シーツに顔を擦り付けると泣き出しそうな声で言う。
「ホ、シイ…っス。」
「ホントに?」
そう念を押されてハボックはコクコクと頷いた。羞恥に目元を染めて頷くハボックにロイはニンマリと笑って言う。
「じゃあ望みどおりにしてやろう。」
ロイはそう言うと手にしたボトルのキャップを片手で器用に開けた。ぽとりと鼻先に落ちてきたキャップにハボックは
驚いてロイを見上げる。
「欲しいんだろう?」
「ちが…っ」
ハボックが否定の言葉を言い終わる前にとろりとシロップがハボックの双丘に零れた。
「ひゃ…っ」
冷たい液体にハボックの体がビクンと跳ねる。とろりと肌を伝う感覚にハボックはシーツに顔を押し付けて悲鳴をあげた。
「やだぁっ!」
だが、ロイは構わずとろとろとシロップを垂らし続ける。細い糸となってボトルの口から零れた真紅の液体は辿り着いた
ハボックの双丘でいくつもの流れに分かれて白い肌を流れていった。
「あ、あ、あ…」
分かれた流れのいくつかが双丘のはざまへと流れ込む感触にハボックは空色の瞳を見開く。ゾクゾクと肌を粟立たせる
その感触にハボックの瞳から涙が零れた。
「い、や…あ、やだ…っ」
はざまに流れ込んだ真紅の流れは戦慄くハボックの蕾を濡らし、更に前へと流れていく。腹につくほどそそり立った棹
を紅い液体が伝ってとろとろと零れ出ていた蜜と混じってシーツに落ちた。
「あ…ん…ぅん…」
ハボックの唇から喘ぎ声が零れ、涙の滴を湛えた金色の睫が震える。ロイは荒い息を吐くハボックを見つめながらボトル
をベッドサイドのテーブルに置いた。ロイはハボックの双丘を手のひらで鷲掴む様に持つと舌を這わせていく。ビクビク
と震えるハボックにロイはくすくすと笑った。
「甘いな…」
「バカ…っ」
「さっきのデザートよりずっと美味いぞ。」
ロイはそう言うとカリと歯を立てる。
「ヒッ」
敏感な箇所に走った痛みにハボックの体が跳ね、そそり立った先端からとろりとピンクに染まった蜜が零れた。ロイ
は楽しそうに笑いながらシロップの流れを舌で拭い、時折歯を立てる。それに答えるようにビクビクと跳ねていた
ハボックの体が何度目かに歯を立てられた時、大きく震えてびゅるりと熱を吐き出した。
「あああっっ」
シーツに顔をこすりつけながら熱を放ったハボックはその白い飛沫に己の胸や顔を汚して喘ぐ。そのいやらしい様に
ロイはごくりと喉を鳴らすと、シロップで濡れた蕾に指を差し入れた。
「いやっ!」
真紅の液体を塗り込められるように中を擦られてハボックが悲鳴を上げる。だが、それに構わずロイがグチグチとかき
回せばハボックが涙を零しながら喘いだ。
「やっ…んなの、中に…入れな…でっ」
「キュウキュウ締め付けといて何を言ってる。」
「ちがう…っ」
だがそう言いながらもハボックは中に沈められたロイの指を締め付けてしまう。気がついたときにはロイの指を3本も
咥え込んで、ハボックは無意識に尻を揺らしていた。
「あ…うんっ…んあっ…はぁん…」
「いいのか…?」
耳元でそう囁かれてハボックは頷く。涙に滲んだ空色の目元を紅く染めて、だらしなく開いた唇から熱い喘ぎを零す
ハボックはたまらなくいやらしかった。
「ハボック…言って。」
そう耳元に囁けば熱にうかされた空色の瞳がロイを見る。
「言わないとずっとこのままだぞ。」
そう言われてハボックはいやいやと首を振った。何度も喉を鳴らして涙を零すとロイを呼ぶ。
「た、いさぁ…っ」
「なんだ?」
意地悪く聞き返すロイをハボックは悔しそうに睨んだが、それでも唾を飲み込むと言った。
「挿れて…っ、指じゃ足りな…」
「何を?いつも言ってるだろう、おねだりははっきり言えって。」
笑いを含んだロイの声にハボックは唇を噛み締める。恥らうように目を伏せると消えそうな声で言った。
「たいさの…挿れて…っ、ぐちゃぐちゃにして…奥ま、で、突いて…っ」
そう言った途端、ハボックの瞳から新たに涙が零れる。それでも誘うようにロイを見たハボックは舌先をチラリと覗か
せて唇を舐めた。
「まったく…。」
ロイは苦笑すると己を取り出しハボックの蕾に押し当てる。期待に震える体を一息に貫いた。
「アア―――ッッ!!」
弓なりに背を仰け反らせて悶えるハボックの体を、最奥まで一気に突き入れると今度は強引に入口まで引き戻す。
ズルズルと内臓をかき回される感触にハボックがビクビクと体を震わせた。何度目かに突き入れられるのと同時に
びゅるびゅると熱を吐き出したハボックは荒い息を吐きながらロイを呼ぶ。
「…いさっ…たいさ…っ」
「な、んだっ」
ぐちゅぐちゅとハボックの蕾をかき乱しながらロイが答えた。ハボックは必死に肩越しにロイを見上げると言う。
「腕…ッ、…ほど…てっ」
そう言われてロイは初めてまだハボックの腕を縛めたままだったのを思い出した。意外と余裕のない己に苦笑すると
ロイはハボックの腕を縛る紐を解いてやる。ホッと僅かに力の抜ける体を、ロイはグイと引き起こすとベッドの上に
座り込んだ。
「ヤアアアアッッ」
ずぶずぶと自重で深々と貫かれてハボックが悲鳴を上げる。ロイはハボックを後ろから抱え込むようにして片手で
立ち上がった乳首を捏ね、もう片手でハボック自身を扱いた。
「ひゃあんっ…アッ…た、いさぁっ」
「ハボック…っ」
「もっと…っ」
ハボックはそう言ってロイの首に腕を伸ばすとその耳元を噛む。自ら腰を揺らすハボックにロイは低く笑うとハボック
の脚を両手で押し開き乱暴に突き上げた。
「んあああっっ」
びゅくびゅくとハボックが熱を吐き出して喘ぐ。快感に震える体を更に突き上げればハボックが悲鳴を上げた。
「いやあっ…やめっ…あっヤダっ…また…っ」
ハボックは信じられないとばかりに涙に濡れた空色の瞳を見開く。その体が小刻みに震えてハボックは続けざまに熱
を吐き出した。
「アアアッッ」
「可愛いよ…ハボック。」
「…いさ…。凄…キモチイイッッ」
下肢を己の吐き出した熱とシロップの紅で染めてハボックが悶える。その淫らな様にロイはハボックの首筋に噛み
付くと、その最奥に熱を叩きつけた。

ぼす。
ぼすぼすっ。
ぼすぼすぼすっ。
「ハボックっ、いい加減にやめろ!」
そう言ってロイはハボックの手から枕を奪い取る。顔を真っ赤に染めてハボックはベッドに座り込んでロイを睨み
つけた。
「シロップをあんな事に使うなんて…っ」
「お前だって喜んでたじゃな――」
そう言った途端、ベッドサイドのテーブルに置いてあったシロップのボトルが飛んできて、ロイは一瞬ギョッとする。
幸いにも蓋が閉まっていた事にホッとして、ベッドに落ちたそれを拾うとハボックを見た。ムスッとしてそっぽを向いて
いるハボックにくすりと笑うとロイはハボックに手を差し伸べる。
「美味かったな、また食べさせてくれ。」
「…どっちのこと言ってるんスか?」
そう言って睨んでくるハボックにロイはうっとりと笑うと言った。
「決まってるだろう、どっちもだ。」
そう言えば呆れたような顔をするハボックをロイは引き寄せる。
「愛してるよ…お前は?」
そう尋ねればハボックが悔しそうに顔を歪めた。
「…オレも。」
ムカツク、と呟く唇を、ロイは笑って塞いだのだった。


2008/02/20
 
 
そういえば昔、蜂蜜でおんなじ様なネタを書いたなぁとふと思い出してしまいました。まあ、それはそれ、コレはコレで(苦笑)。やっぱりエロ大佐はいいなぁと
思ってしまうあたり、終わってますね。でも、何となくコレがうちの大佐!って気がするのは果たしていいのか、悪いのか(苦笑)
ともあれ、お楽しみいただければ幸いです。