キスまでの距離 つづき


 ハボックはロイをギュッと抱きしめようとして二人の間でガサガサ音がするのに気がついて、少し体を離すと音の元を
見下ろした。
「あれ?これ昼間買ったチョコっスか?」
 頭がかっかして全く目に入っていなかったのだが、ロイがしっかり胸元に抱えているのは、ロイご執心の本日発売新作
チョコレートだった。
「ああ、うん。お前も食べるか?」
 とロイは思わず言ってから、ああそうだったと言葉を続ける。
「あ、お前は甘いものは食べないんだったな」
 そう言ってちょっと残念そうな顔をするロイにくすりと笑うとハボックは言った。
「たいさが食べさせてくれるなら食べますけど」
「え?」
 ポカンとするロイの手から袋を取るとハボックはチョコを一つ取り出す。それをロイの口元に持っていくとにっこりと笑った。
「はい、あーん」
「えっ、あ…」
 わけが判らず思わずあけてしまったロイの口の中にハボックはチョコを放り込む。それからロイの肩を掴むとそっと唇を合わせた。
「んっ?!」
 舌を差し入れ、ロイの口中にあるチョコをぺろりと舐める。
「んっ…んぅ…」
 お互いの舌の上で柔らかく溶かしたチョコをハボックは器用に舌先で自分の口の中に引き入れると唇を離した。
「おいしい…。」
 そう言ってにっこり笑うハボックにロイの顔がみるみる内に真っ赤になる。
「ばっ…おま…っ」
 しどろもどろになるロイの耳元にハボックは囁いた。
「もう一個食べたいんスけど」
 食べさせて、と囁かれてロイは首まで真っ赤になって俯く。だが、ちらりとハボックを見ると袋の中からチョコを取り出し自分の口に放り込んだ。
 そんなロイにハボックは幸せそうに微笑んで。
「いただきます…」
 そっと唇をあわせていったのだった。


2007/06/07