着せ替え その後


「ホントにオレ、そんなこと言ったんスか?」
「勿論だとも。私の言ってる事を疑うのか、ハボック。」
「や、そういうわけじゃ…」
ハボックはモゴモゴとそう答えるとテーブルに置かれたそれを見つめる。きらびやかな糸で刺繍が施された布地は
あまりにゴージャスでとてもじゃないが触る気になれなかった。
「でもオレ、全然覚えがないんスけど…。そんなこと賭けの対象にしたなんて。」
「今更何を言うんだ。男に二言はないだろう?」
「二言もなにも一言すら覚えてないっスよ。」
憮然として言うロイにハボックはそう答える。ハボックに覚えがないからといって一向に諦めてくれる気配のないロイ
にハボックはため息をついた。
長いことかかずらっていた事件が終わって昨日は久々に皆で飲みに出かけた。久しぶりということもあってかなりの
ハイピッチで飲んでいたのは覚えている。いつもどおりの無礼講。ハボックのグラスは飲み干した途端即座に某かの
酒が注がれて、正直空になっている暇がなかったのも覚えている。ロイがやたらと気前よく高い酒を注文してくれて
滅多に飲めない高級品だとみんなでガバガバ飲んだのだ。だが、普段ならいくら酔っても記憶をなくしたことなど
ない自分がさっぱり記憶がないなんて。
(ホントに賭けなんてしたのか?)
ロイが言うにはハボックとロイは賭けをしたらしいのだが、その罰ゲームが負けたほうが勝った方の言うことを聞く
というのだ。賭けはロイの勝ちで、だからその罰ゲームとしてハボックにロイの言うことを聞けというのだが肝心の
ハボックに全くその記憶がないのだ。
「大佐。やっぱ覚えてないのに言うことを聞くって言うの、納得できないんスけど。」
「お前、私の言葉だけじゃ納得できないっていうのか。」
「いや、だって…」
なんだかロイのいい様に嵌められているような気がする。流石にそう言うのははばかられて口には出さずにいた
ものの気持ちが態度に表れていたのだろう。ロイはムスッと唇を歪めると言った。
「お前はそうやって私のことを疑うんだな。私がそんなお前を騙すようなことをすると思っているのか?正々堂々
 賭けに挑んで勝った私にそんなことを言うなんて。」
あんまりじゃないか、と淋しげなため息をつくとロイはスッと視線を逸らす。そのあまりにしょぼくれた様子にハボックは
大きなため息をつくと言った。
「わかりましたよ。大佐がそこまで言うなら賭けをしたってこともオレが負けたってことも信じます。でも…。」
ハボックは改めてテーブルに置かれた布を見つめると言う。
「オレ、ホントにコレを着るって言ったんスか?」
「言ったとも!!“ホントに着てくれるんだな?”と何度も聞いたが“いくらでも着てやる”と豪語してたんだぞ。」
そうまで断言されてしまうと流石にハボックもそれ以上は追求のしようがない。
「ハボック。」
机の上の布地をぐいと押し出してハボックを見つめるロイにハボックは布を引っ掴むと立ち上がった。
「わかりましたよっ!着ればいいんでしょっ、着ればっ!!そのかわり着るだけっスからね。それ着て外に出かけ
 たりはしませんよ?!」
「判っているとも。」
嬉しそうに答えるロイをじっと見つめて、もしかしてやっぱりこれは冗談だといってくれないかと期待したハボックだった
が、とてもそんなことは望めないと悟るとヨロヨロとリビングを出て行く。2階に上がっていった足音がパタンという扉
の閉まる音で途切れるとロイはにんまりと笑った。

「くそーっ、マジでそんな賭けしたのかよ…。」
ベッドに置いたそれを前にハボックは往生際悪くぼやく。それでもここまできたら仕方ないとシャツの裾に手をかけて
一気に脱ぎ捨てた。ベルトを外し靴もズボンも脱ぎ捨てる。ボクサーパンツひとつになったハボックは、恐る恐るベッド
の上のそれに手を伸ばすと、指先で摘んで持ち上げた。
「うっ…!!」
するり、と。ハボックが摘んだ箇所を支点に垂れ下がったそれにハボックは息を飲む。見るからに高級そうなそれは
ボンッ、キュッ、ボンッの美女が着ているならみるのも嬉しいだろうが、だが如何せん、着るのは自分だ。
「チクショウッ!着てやるっ、着てやるぞっ!!」
ハボックはそう怒鳴ると勢いよく服の袖に手を通したのだった。

たっぷり30分もたった頃、ようやく2階から下りてくる足音がしてロイは読んでいた本を脇に置く。カチャリと扉が
開いたそこにはチャイナドレスに身を包んだハボックが立っていた。濃いブルーの布地に金糸銀糸で大輪の牡丹が
刺繍されたそれは長身のハボックにとてもよく似合っていた。
「よかった、サイズ、ピッタリだな。」
そう言うロイをハボックは扉に手をかけて見つめる。
「なんスか、この服。やたらきらびやかで。」
恥ずかしいったら、とぼやくハボックにロイが答えた。
「それは東の国の服でチャイナドレスというんだ。」
「ちゃいなどれす?」
「そう。体にフィットしたデザインだからな、個人に合わせてオーダーメイドで作るんだぞ。」
そう言われてハボックは目を丸くした。
「オーダーメイドって、アンタもしかしてこれ、オレに合わせて作ったんスか?!」
「当たり前だろう。色もサイズもデザインも、お前に合わせて私が全部選んだんだ。」
にっこりと笑ってそう言うロイにハボックは眩暈を覚える。美しい女性にならともかく、ガタイのいい男の自分に合わ
せてドレスを注文するなんて、どういう神経をしているのか理解できない。
「サイズ…よく判りましたね。」
「当然だ。毎日触っているんだからな。」
さらりと言われた言葉にひとり紅くなるハボックにロイが言う。
「近くでもっとよく見せてくれ。」
そう言われてハボックは普段の彼からは考えられないような狭い歩幅で歩いてきた。慣れないヒールを履いている
とはいえ、あまりに不自然な歩き方にロイが眉を顰める。
「なんだ、妙な歩き方して。」
ロイがそう言えばハボックがドレスの脇を押さえるようにして答えた。
「だって、これ。腿の付け根までスリット入ってて…。」
少しでも脚を開けばスカートの中が見えてしまう。恥ずかしそうに服を押さえるハボックの手を、ロイはソファーから
身を乗り出すとグイと引いた。
「あっ?!」
引き倒されそうになって、思わず脚が前に大きく出る。スリットが大きく開いてハボックの長い脚が露わになった。
「ちょっと、何するんスかっ?!」
思わずそう怒鳴ればロイが笑う。
「せっかくスリットが入ってるんだ。使わない手はないだろう?」
「使いたかないですっ」
ハボックはそう言うとやけにスースーする箇所を見た。スリットの間から片脚が見事にはみ出している事に気付いて
ハボックは慌ててドレスを整える。
「もうこれでいいでしょう。着替えてきます。」
「何言ってるんだ、まだ全然見たりないぞ。」
「こんな格好、見てたってつまんないだけです。」
「そんなことない、よく似合っている。」
ロイはそう言うとハボックをグイと引き寄せる。倒れそうになったハボックは慌ててロイの座るソファーに片膝をついて
ロイの肩に手を置いた。
「ちょ…っ、危ないじゃないっスか!」
声を張り上げるハボックの腰辺りに手を添えて、ロイはハボックをうっとりと見上げる。鮮やかなブルーのチャイナドレス
はハボックの瞳の色とよく似合って、金髪のハボックを一層華やかに見せていた。
「やはりこの色にしてよかったな。お前にピッタリだ。」
うっとりと笑ってそう囁けばハボックの頬が紅く染まる。スリットの間から手を差し入れて腿をするりと撫で上げれば、
ハボックの体がビクリと震えた。
「どこ触って…アッ!」
腿を撫で上げた手がハボックの双丘を撫で、下着の隙間から中へと忍び込む。奥まった箇所にいきなり指を沈め
られて、ハボックはかすかな痛みと違和感にロイの肩に置いた手に力を込めた。
「やっ…やめっ」
クッと指を折り曲げられてハボックはびくんと体を震わせる。ゆっくりと中をかき回されて震える吐息を吐いた。
「た、いさ…っ」
「スリットというのもいいものだな。見た目にも実用的にも。」
笑いを含んだ声に自分の姿を見れば、いつの間にか片脚がスリットの間から外に出ている。そのあられもない格好
にハボックは慌てて身を捩った。
「こんな筋肉ばっかの脚見て、何がいいって…アアッ!!」
身を捩った拍子にロイの指がハボックのいいところに当たり、思わず声を上げてしまう。更に指を増やしてくるロイに、
ハボックは小さく首を振った。
「たいさっ…やめ、て…っ」
「どうして?いいんだろう?」
ロイはそう言うとドレスの上からハボックの中心を撫で上げる。そこは後ろへの刺激で熱を持ち、すっかりと勃ち
上がっていた。くちくちと粘着質な音が響き、ハボックの熱い息遣いが部屋に流れていく。ロイは3本に増やした指
でハボックの蕾をぐちゃぐちゃとかき回した。
「んっ…あ…はっ…た、いさぁ…」
ロイの肩に縋る指が力を増し、ギュッと瞳を閉じたハボックの、綺麗な弧を描いた眉が切なげに寄せられる。無意識に
腰を揺らすハボックにロイはくすりと笑うと指を奥へと突き入れた。
「アッ…やあっ!」
クンッと反り返る背のラインを綺麗だと見つめるロイを、ハボックはゆっくりと目を開くと軽く睨む。恨めしそうに見つめて
いたハボックがロイの肩に顔を寄せると悔しそうに言った。
「前も…っ、前も触ってくださ…っ」
「触って欲しいのか?」
意地悪く聞き返せばハボックがコクコクと頷く。ロイはひと混ぜしてから指を引き抜くとハボックに言った。
「下着を脱ぎなさい、ハボック。」
そう言われてハボックは僅かに目を見開いたが、膝をついていた脚をソファーから下ろすとスリットをかき分けるように
して中へと手を入れる。言われたとおり下着を脱ぐと下へと落とした。真っ赤になってロイの前に立つハボックの中心
は押さえるものがなくなってピッタリと体を覆うドレスの布地を押し上げている。
「たいさぁ…っ」
言われたとおりにしたのに何もしてくれないロイをハボックが呼んだ。情欲に濡れて色を増し、ドレスと同じ濃いブルー
に染まった瞳をうっとりと見上げてロイが答える。
「なんだ、ハボック?」
わざと聞き返せばハボックが恨めしそうに上目遣いでロイを睨んだ。その目つきにゾクゾクするロイの手をハボックは
取るとスリットの中へと導く。ロイの手に立ち上がった中心を押し付けるようにするハボックにロイがクククと笑った。
「イヤラシイな、ハボック。」
「アンタのせい…っ」
悔しそうに言いながらもハボックはロイの手に己を擦り付ける。ロイがそっと握り込めばホッとしたように息を漏らした。
ゆっくりと擦り上げればハボックの唇から零れる息も熱を上げる。ハボックはロイの肩に手をつくと唇を震わせた。
「んっ…んうっ…あん…」
瞳を閉じたハボックは自分がどれ程イヤラシイ顔をロイに曝しているかなど思いもしないのだろう。ロイが擦り上げる
手の動きを早めればハボックが悩ましげに眉を寄せた。
「あっ…も、イく…っ」
そう囁くとハボックは身を引こうとする。薄っすらと目を開けると中心を握るロイを見て言った。
「服…汚しちゃ…」
「気にするな。」
そう言って一層きつく擦ればハボックがピクピクと震える。
「あ、あ、あ…」
イく寸前、涙に滲んだ瞳を見開くとハボックは背を仰け反らせた。
「アッアアアッッ…!!」
びゅくびゅくとドレスとロイの手を汚して果てると、ハボックはロイの体にしがみ付く。ハアハアと荒い息を零す唇を
ロイは強引に塞いだ。
「んっ…ぅんっ…」
逃げるハボックの舌を絡めとりきつく吸い上げればハボックの体がビクビクと震える。口内を散々に嬲ってようやく
唇を離せば、ハボックが力の抜けた体をくたりとロイに預けてきた。
「あ…」
脚を伝って流れていく感触にハボックはビクリと体を竦ませる。こんなところでこんな格好で熱を吐き出してしまった
自分にようやく羞恥心が追いついてきて、ハボックは真っ赤になってロイから身を離そうとした。だが、ロイはそれを
赦さず、ハボックのドレスの裾を大きく開く。
「たいさっ!」
熱に汚れた下肢を曝け出されてハボックが羞恥に声を上げた。だが、ロイはそれに構わずハボックと体を入替えると
背後から抱え込むようにしてハボックの両手をソファーにつかせる。スリットの部分から捲り上げるようにドレスを開く
と、ハボックの双丘を割り開くようにして舌を這わせた。
「たいさっ!!」
「まだ全然足りないだろう、ハボック…」
「あ…っ」
感じやすい箇所を舌で嬲りながら囁くロイに、ハボックの背を快感が駆け上がる。さっき熱を吐き出したばかりの筈の
自身は既に堅くそそり立って、ぽたりと蜜を零した。
「んっ…はあっ…ひ、うっ」
ぴちゃぴちゃと這い回る舌に、ハボックは喘ぎながらソファーに爪を立てる。執拗に嘗め回すロイを肩越しに振り返って
ハボックは言った。
「たいさ…も、ダメ…」
「…なにが?」
そう聞き返されてハボックは悔しそうに唇を噛み締める。
「ど、こまで意地悪な…スか、アンタ…っ」
「でも好きだろう?意地悪されるのも、意地悪する」
私も、と囁くロイにハボックが切なげな息を零した。
「…スキっスよっ…だから…はや、く…っ」
腰を揺らめかせて強請るハボックにロイは満足げに笑うと顔を上げる。取り出した己を宛がえばハボックの体が期待
に震えた。焦らすように入口をくちくちと弄ればハボックがいやいやと首を振る。
「た、いさっ!!」
自分を欲しいと強請るハボックにロイはうっとりと笑った。戦慄く蕾にグイと突き入れればドレスをまとったハボックの背
が綺麗にしなる。
「アッアア――――ッッ!!」
ずぶずぶと根元まで一気に押し込んだと思うと一息に入口まで引き戻した。柔らかな肉襞を擦られる強烈な快感に
ハボックは涙を零しながら喘ぐ。
「ヤッ…あんっ…ああっ!」
そそり立った自身からぱたぱたと蜜を滴らせながらハボックはロイの動きに合わせて腰を揺らめかせた。上半身は
ピッタリとしたドレスに包まれたまま下肢を曝け出して、淫らに悶えるハボックにロイはくすくすと笑う。
「かわいいな、ハボック…」
「アッ…ひゃあっ…た、いさぁ…っ」
「イイのか?」
耳元にそう囁けばハボックがガクガクと頷いた。
「イイっ…あ…た…さ、イく…っ」
そう訴えるハボックを一際強く突き上げてやれば悲鳴を上げて熱を放つ。ロイは快感に震える体を容赦なく攻め立てた。
「アアッ…だ、めっ…待って…まっ…」
快感に泡立つように震えている体を攻められて、ハボックは啼きながら悶える。涙に濡れる空色の瞳が見たくて、
ロイはハボックの体を繋がったまま強引に反した。
「ヒャアアアッッ!!」
乱暴な所業にハボックは熱を吐き出す。ロイはハボックの体をソファーに押し付けると長い脚を抱えあげてより深くに
突き入れた。
「アッア―――ッッ」
新たな涙がハボックの瞳を濡らし、その幼い表情にロイはごくりと唾を飲み込む。
「も、やめ…や…いや…」
過ぎる快感に涙を零して喘ぐハボックに攻め立てるロイの熱が嵩を増した。
「ヤダッ…だめ、も…っ」
全身が快楽に染まって僅かな動きでも脳天を突き抜けるような快感が走る。ハボックは自分を犯す男に必死になって
縋りついたがそれは逆にロイを煽る役にしか立たない。
「た、いさ…た…さ…も、ゆるし…」
「悪いな、まだ当分放してやれそうにない…」
そう呟いてロイはハボックを突き上げる。ハボックはロイの背に縋りながら快感に身を振るわせ続けた。

ハボックは綺麗に清められた体をぐったりとベッドに横たえてため息をつく。金色の髪を指に巻きつけて弄んでいる
男を恨めしげに見上げると言った。
「着るだけって言ったのに…。」
「外に出かけたりしないとは言ったがな。」
しれっとしてそう言うとロイはニヤリと笑う。
「触ってくれと強請ったのはお前だろう?」
「言わんで下さい…っ!」
ハボックは呻くようにいうと真っ赤になった顔をブランケットに埋めた。くすくすと笑うロイを睨みながら、もう当分酒も
賭け事もこりごりだと思うハボックだった。


2007/12/9


ハボロイ版で「着せ替え」を書いたのでロイハボ版でも書かなきゃかなーと思いつつそのままにしておりましたら、ありがたい事に読みたいとのお言葉を
頂きましたので書いてみましたー。今回書くに当たってちょっと迷ったというか、最初は酔ったハボが自分から色々着替えて見せてっていうのにしようかなー、
とか。あと、着る服もバニーちゃんにするか、キモノにするか…で結局チャイナ服でこんな話になりました。しかし「着せ替え」というより「コスプレ」のような
気が(汗)しかも相変わらずエロオヤジ全開だし、大佐…。今書いてる連載の大佐がマジメなのでその反動でますます拍車がかかっているような気がします(汗)
でも、こういう大佐も好きなの…。スミマセン(汗)