看病


「全くどうしてあんなに自分の事には無頓着なんだ…っ」
 ロイは氷を取り出すとガラガラとボウルにそれを入れる。アイスピックで小さく砕くとゴム製の枕の中へと入れた。
 ハボックの様子がおかしい事に気付いたのは朝食の準備をしている頃だった。普段は白い頬が桜色に上気し、少し息を弾ませて、潤んだ瞳で見つめられてドギマギしたロイは、突然ふらりと傾いだ体を慌てて支えてその体が酷く熱い事に気付いたのだった。
「熱があるじゃないか、お前っ」
「へ?熱?そっスか?」
 ハボックはとぼけたように言うと己の額に手を当てる。
「別に熱くないっすよ?」
 へらりと笑って言うハボックの額にロイがゴツンと額を押し当てればハボックが「つめてぇっ」と騒いだ。
「たいさ、体温低い〜」
「お前が高いんだっ!熱があるだろうがっ!」
「えー」
 不服そうに言うハボックの腕を引くとロイは無理矢理寝室へと連れて行く。
「とにかく今すぐ休めっ!」
 ロイはそう言うとハボックをベッドに押し込んだ。最初のうちは文句を言っていたハボックも瞬く間に病状を悪化させてベッドの中で唸っている。
「ったく!」
 人のことには酷く気が回るくせに自分の事にはまるで無頓着なハボックに酷く腹が立つ。
 それでもひとつため息をつくとロイは少しでも早くハボックが治る様、看病をすべく寝室へと向かったのだった。


2008/3/20