犬も食わない その後


「それじゃ、また後でね」
 そう言ってブレダに手を振って廊下の向こうへと消えていくエレンの姿を見たハボックは、エレンに手を振り返すブレダを目を丸くして見つめた。エレンが角を曲がるのを見届けるとブレダに駆け寄って声をかける。
「おいっ!今のどういうことだよっ?」
 ハボックの声にぎくりと肩を震わせたブレダは拙い所を見られたと言う風にハボックを振り返るとぼりぼりと頭をかいた。
「あー。いやまあ、アレだ」
「まさか、つきあってんのか?なんで?」
「なんでって…。ほら、あの時エレンがお前からのプレゼント、持ってうちに来たろ?大佐が飛び出していった後、 そのままさよならってのもなんだからコーヒーでもってどうかって…。んで、色々話してみたら映画の趣味とか好きな本とか、結構趣味があってだな」
 ま、そんなわけだと言うブレダにハボックは思い切り顔を顰めた。
「信じらんねぇっ!オレと大佐が上手くいくかいかないかって時にそんなことしてたのかよっ!」
「いいだろっ、あの展開で悪い方向に行くわけないんだし、それにオレだって散々苦労したんだからなっ」
「何言ってんだよっ、うわー、友達がいのねぇヤツっ!」
「何を廊下でぎゃあぎゃあと騒いでるんだ」
 言い合いを続ける二人の後ろから呆れたような声がかかる。ハボックとブレダが振り返るとロイが目を丸くして立っていた。
「あっ、たいさっ、聞いて下さいよ。ブレダのヤツ、エレンと付き合ってるって言うんですよっ!」
 信じらんないでしょ、と言うハボックにロイはブレダの顔を見ると言った。
「エレンと?そうなのか、ブレダ少尉」
「え、ええまぁ」
 拙い事になった言う表情のブレダにロイはにっこり笑うと言う。
「それじゃ、私に感謝してもらわないとだな」
「「は?」」
 突然そんなことを言い出すロイにブレダだけでなくハボックも訳がわからないという顔をする。
「だって、私がブレダ少尉の家にいなければエレンがあそこに来ることもなかったわけだし、そうなればブレダ少尉があんな美人と知り合う機会もなかったわけだし。私が少尉の家に行っていて良かったろう?」
 だから感謝したまえ、と胸を反らしてエラそうに言うロイにブレダはがっくりと肩を落とすのだった。


2007/2/12