光神王国 邂逅編


「今日からお前の側付になるティワズだ」
 王は目の前の少年を示しながらまだ幼い王子に言う。そうすれば少年が一歩前に進み出て膝を折った。
「ティワズです。誠心誠意お仕えさせて頂きます」
 そう言って頭を垂れる少年を王子は空色の瞳をまん丸に見開いて見つめる。それから手を伸ばすと少年の紅い髪に恐る恐る近づけた。指先でチョンと触れ、ビックリしたように一度引っ込めると今度は小さい手のひらでそっと触れる。それから次に手のひらいっぱいに紅い髪を掴むとギューーッと引っ張った。
「痛い痛い痛いッッッ!!!」
「こらっ」
 突然力任せに引っ張られてティワズは両手で頭を押さえながら叫ぶ。王が慌てて王子の手を掴むと離させた。
「なんてことをするんだ、お前は!」
 思いもしない行為に王も驚いて言う。ティワズは紅い瞳に涙を滲ませて王子を見上げた。王子は小さな手のひらの中に残った数本の紅い毛を驚いたように見つめる。
「熱くない」
「え?」
「真っ赤なのに、焔みたいに紅いのに熱くないっ」
 どうしてー、と王子はティワズの頭をぽすぽすと叩いた。
「やめんか」
 王はゲンナリした顔をすると王子の手を取る。それからティワズを見て言った。
「大丈夫か?ティワズ」
「平気です」
「まだこんなもんだがよろしく頼むぞ」
「はいっ」
 ティワズはそう言って王に御辞儀をすると一度立ち上がりハボックのすぐ傍へと歩み寄る。見上げてくる空色の瞳に微笑むとその前に跪きハボックの手を取った。
「若の髪が金色でも黄金で出来ていないように、私の髪も焔で出来ているわけではないのですよ」
「そうなの?」
「はい」
 ハボックはティワズの紅い瞳を見つめながら聞く。
「若ってオレのこと?」
「そうです」
 そう答えるティワズの顔をじっと見つめていたハボックは聞いたばかりの名を呼んだ。
「ティワズ」
「はい」
 呼べば答える少年に王子はにっこりと笑って言う。
「ティ」
「はい、若」
 返る答えにハボックは嬉しそうにティワズの首に抱きついた。



2008/10/27