光神王国 御側付


「え?私が王子の?」
「そうだ。王直々のお達しだ。御年2つになられたばかりの王子の御側付にお前が選ばれたのだ。これは本当に名誉な事だぞ、ティワズ」
 まさか我が一族から選ばれるとはだの、皆に知らせねばだの興奮して騒ぎ立てる伯父をティワズは呆然と見つめる。突然そんな事を言われても正直ピンと来ないというのが実感だった。そもそもティワズとてまだ8つ。王子の御側付というものがどういうものかもよく判らない。ただそれが酷く重大な役目だという事がぼんやりと判るだけだ。
 ティワズはポスンとクッションに座り込むと膝を抱える。ティワズの家は現王家の遠戚筋にあたる家系ではあったが、これまで幼いティワズが王家の人間と直接接する事は殆んどなかった。
(王子ってどんな子だったっけ)
 いつかパーティで見かけた幼い王子のことをティワズは思い浮かべる。蜂蜜色の髪にまあるい大きな空色の瞳をした子供が、同じ金色の髪を高く結い上げた王妃のドレスの裾をギュッと握り締めて居並ぶ臣下達を物珍しそうに見ていた姿が目に浮かんだ。
(私が王子の御側付……
 ティワズがそれがどういうものなのか考えようとした時、興奮しきった伯父が戻って来てティワズの腕を取った。
「さあ、これから忙しくなるぞ、ティワズ。覚悟しておけよ」
「えっ、うわ
 そのままグイと引き起こされて、ティワズは訳も判らないまま運命の渦の中へと放り込まれたのだった。


2008/10/22