光神王国 相愛編


「アアッ!!」
 激しい突き上げに熱を吐き出せば、それを追うように内壁を熱い飛沫に濡らされる。熱を吐き出してベッドに沈む込む躯に同じように弛緩して圧し掛かってくる躯の重みすら愛しい。ロイはベッドに力の抜けた四肢を投げ出してハボックの躯を受け止めていたが、汗で額に張り付く金色の髪をかき分けてハボックの顔を愛しそうに見上げた。
「ロイ」
 ハボックは己の髪をかき分ける細い指を取ると何度も口づける。口づけはやがてロイの額にも頬にも降り注ぎ、最後に熱い吐息を零す唇に降ってきた。
「ん……んふ…」
 舌を絡めあい唾液を混ぜ合わせるようにして互いの口内を味わう。長いキスが済んでロイがホッと息を吐いた時、ムクリと体内で嵩を増した塊にギョッとして身を強張らせた。
「おい、もう済んだんだからさっさと抜け」
 ロイは自分に圧し掛かる年若い王子を睨み上げる。だが、ハボックは困ったように笑うとロイに向かって言った。
「ごめん、ロイ。もう少しだけ」
「ばっ、馬鹿言うなッ!もう散々ヤって───」
「だって、ロイ可愛いんだもん。止まんないっス!」
「待てっ!ハボ…ッ、アアッ!!」
 止める間もあらばこそ、ハボックはロイの細い脚を抱え直してガツガツと突き上げ始める。達して感じやすくなっている内壁を乱暴にこすられて、ロイは甘い悲鳴を上げた。
「やめ…ッ!あ、明日はセレモニーなんだぞッ!判ってるのかッッ?!」
 明日でロイがハイムダールに嫁いで丁度一年になる。最初は男の正妻などと反感を抱いていた一部の臣下や国民達も、ロイの統治者としての才を見るうち彼がこの国にとってなくてはならない存在であることを認めるようになっていた。なにより愛し合う若い二人が先頭にたって国の為に尽くそうとする姿は、まだ歴史の浅い新興国を一つにまとめ上げる源ともなり、その象徴でもあるハボックとロイの結婚一周年を国を上げて祝うセレモニーが明日、開催されることになっていた。
「判ってるっスけど…っ」
「判ってるならいい加減に…ッ!これ以上シたらセレモニーで立ってられな……アアアッ!!」
 セレモニーは一日がかりだ。馬で先祖を奉る王家の墓に行く予定もあり、これ以上行為を続ければ明日のセレモニーに響くことは間違いなかった。
「ハボック!」
「無理っ、ごめんなさいっ!」
「あ、謝るくらいなら……ヒャウッ!!」
 一際奥を突かれてロイは突き抜ける快感に背を仰け反らせる。止めて欲しくてハボックの胸を叩いたが、それはかえってハボックを煽るだけだった。
「ロイ…っ、ロイっっ!!」
「アアッ!ヒャアアッッ!!……バカっ、も、いい加減に…ッッ!!」
 容赦なく突き上げられて、ロイは喘ぎながらもハボックを睨む。怒りをたたえてきらきらと光る黒曜石に、ロイを犯す楔が嵩を増した。
「あっ?!……そ、んな…ッ」
 止めるどころか更に激しく犯されて、ロイが嬌声を上げる。ガツガツと突き上げながらハボックがロイの耳元に囁いた。
「セレモニーが大事なのは判るっス、でも…っ!オレはこうして二人きりで記念の時を過ごす方がいい…ッ!!」
「…ッッ!」
 公人でもある二人はどうしてもその立場が優先される。それでも一人の人間であることには変わりなく、ロイは結婚式の時のハボックの言葉を思い出していた。
『オレは王子である前に一人の人間としてロイを愛している』
 国民を前にそう言いきったハボック。それは側室を娶らせようとする父王達を牽制する意味合いも含まれてはいたが、ハボックの本心であることには変わりなく。
「ロイ……オレの生涯の相手がアンタでよかった…アンタがハイムダールに来てくれて、本当によかった……ッ!」
 神よ、感謝します、と激しい突き上げの合間に囁くハボックに、ロイの心を熱いものが満たしていく。
「ハボック…私も…っ、私も第二の故郷がハイムダールでよかった……私の夫がお前で……よかっ…ッ」
「…ッ、ロイっっ!!」
 ハボックの背をかき抱いてロイが囁けば、ハボックがより一層激しく攻め立てる。
「アアッ!!ア───ッッ!!」
 心の内から溢れる愛しさのままに、二人は時を忘れて互いを求めあったのだった。
 そして翌日。
「……ッッ、ぅ……」
 まだ何か含んでいるような違和感が残る下肢から湧き上がる甘い疼きに、ロイは歩きだそうとした足を止める。訝しげな顔をする神官にぎこちない笑みを返しながら、ロイはこのまま部屋に戻ってしまいたい気持ちでいっぱいだった。
(流された私が馬鹿だった……)
 結局あのまま明け方近くまで求めあったおかげで、今日のロイは腰も脚もガクガクだ。
(加減というものを知らんのか、馬鹿ハボ…ッ!)
 この後馬に乗って出かけると思うと気が遠くなりそうだ。ロイが肩を落としてげんなりとため息をつけば目の前に影が射して、ロイは俯いていた顔を上げた。
「あの……大丈夫っスか?」
 そう言って心配そうに見つめるハボックと視線が合う。まるで叱られた犬のようにショボくれた顔をしているハボックをロイはじっと見上げていたが、フィと顔を背けて囁いた。
「セレモニーでそんな顔をしている奴がいるか。しゃんとしろ、しゃんと」
「でも、ロイ、辛いっしょ?これから馬だし」
「そうだな。加減を知らない誰かのおかげで手綱を握るのもしんどそうだ」
「……ッッ」
 チラリと横目で見れば、がっくりと項垂れたハボックの姿が目に入る。ロイはクスリと笑うとハボックを見上げて囁いた。
「急ぐ途でもあるまい。お前が手綱を取って私を前に乗せろ。グルトップなら二人でも訳ないだろう?」
「……はいっ」
 ロイの提案にハボックがパッと顔を輝かせて頷く。
 その日、金色のたてがみの馬に仲睦まじく跨る二人の姿に、ハイムダールの国民達は熱い歓声を送り続けたのだった。


2010/05/15