葉牡丹2


「アンタ、本当にそれ、気に入ってるんスね」
 書類を手に執務室に入ってきたハボックは甲斐甲斐しく葉牡丹の世話をしているロイに向かって言う。飽き性のロイのこと、一週間もすればきっと「後は頼んだ」とか言って払い下げられてくるとばかり思っていた葉牡丹は、ハボックの予想に反して半月以上が過ぎた今になってもロイの寵愛を一身に受けていた。
「そりゃ、私の大事なはぼたんだからな」
 ロイはそう言いながら葉牡丹に霧吹きで水を遣る。このキャベツのような形をした可愛らしい植物の名がハボックの名前に似ていると言うことで大層お気に召したロイが取り寄せて、せっせと世話を焼いているのは知ってはいたが、それでもハボックは内心面白くなかった。
(馬鹿じゃねぇの?たかが鉢植えに名前つけて可愛いとか言ってキスまでして)
 それが所謂嫉妬だと言うことをハボック自身は決して認めたがらなかったが、いつものように霧吹きで出来た葉の上の雫をキスで吸い取ったロイは、ハボックの顔つきを見て言う。
「どうした、ハボック、そんな顔して。お前もキスして欲しいのか?」
「べっ、別にして欲しくなんてないっス!!」
 ハボックはそう怒鳴ると「失礼しましたっ!!」と執務室を飛び出して行ってしまう。そんなハボックの背を見送ってロイはうっそりと笑った。
「可愛いじゃないか。アイツのああいうところが堪らん」
 葉牡丹の世話をするのは勿論好きでやっていることではあったが、わざわざハボックが見ている所でやるのはハボックの反応を楽しむ為であった。
「まだ当分楽しめそうだな」
 ロイは楽しそうに言うと葉牡丹にチュッとキスしたのだった。



09/01/23