技能五輪 その後のその後 ロイハボ版


「絶対にやってくれると思っていたんだがな…」
技能五輪の報告に執務室にやってきたフュリーとハボックを前にロイが言う。残念そうなロイの言葉にハボックは顔を
あげると口を開こうとした。だが、フュリーにグイと袖を引かれて口を噤むとチラリとフュリーを見る。罪悪感に揺れる
空色の瞳にフュリーは小さく笑うとロイを見て言った。
「はい、せっかく代表にと推していただいたのに、自分の力不足でご期待に添えなくて申し訳ありませんでした。」
「今回は残念だったが是非この経験をこれから先、生かしてくれたまえ。」
「はいっ、頑張りますっ」
そう言って敬礼するフュリーを見るハボックの瞳がもの言いたげなのに気付いてロイは目を細める。ロイの前を辞して
執務室を出て行くとき、フュリーがハボックの腕を軽く叩いたのが見えて、ロイの眉間に皺が刻まれた。

「お、でてきた。」
ハボックとフュリーが執務室から出てくるとブレダたちから即座に声がかかった。「残念だったな」と一通り慰めの言葉
を交わした後、ブレダがフュリーを見て言う。
「フュリー、お前、メガネ変えたんだな。」
「ええ、セントラルでいいお店があったんでせっかくだしと思って。」
「いいじゃないか、それ。」
そう言われてフュリーの顔がパッと明るくなった。
「そうですか?」
「ああ、前のより似合ってるぜ。」
「私もそう思います。」
絶賛する2人にフュリーが嬉しそうにハボックを仰ぎ見る。同じように嬉しそうに笑うハボックを細く明けた扉の隙間から
見ていたロイの眉間の皺がますます深くなっていった。

何かあればロイの揚げ足を取ろうとする連中とのウンザリする会議をようやく終えて司令室へと戻ろうとしていたロイ
の耳に聞きなれた声が飛び込んできて、ロイはたった今行き過ぎた廊下の角に戻るとそっと伺い見る。午後の明るい
光が差し込む窓辺で話をしているハボックとフュリーの姿が目に入り、ロイは眉を顰めた。
「なあ、やっぱり本当のこと言った方がいいんじゃないか?」
ハボックが陽の光を金髪に弾かせてそう言えばフュリーが答える。
「でも、言ったところで何か変わるわけじゃありませんし、もう気にしないでください。」
そう言われてうな垂れるハボックにフュリーが苦笑した。
「少尉にそんな顔されると僕、困っちゃいますよ。もうあの話はナシ!ね、少尉?」
フュリーはそう言うとハボックの金髪を撫でてやる。そうされて自分より背の低いフュリーを上目遣いに見るハボックに
フュリーが言った。
「そうだ、このメガネ、評判よかったですよね。」
「あ、うんっ。ブレダもファルマンも凄く似合うって言ってたな。」
フュリーの言葉にパッと顔を明るくするハボックに、それを見ていたロイに胸がざわりと蠢く。
「少尉に選んでもらってよかったです。大事にしますねっ。」
そう言って笑うフュリーにハボックが照れくさそうに眦を染めた。楽しそうな2人の様子を見つめながら、ロイは胸が
ざわめくのを止められなかった。

「大佐、サインお願いします。」
そう言って書類を差し出すハボックをロイは黙ったまま見上げる。書類を受け取るとざっと目を通し、サラサラとサインを
したためた。そのまま書類を返さずにハボックを見つめると言う。
「ハボック、扉に鍵をかけてきてくれ。内密の話がある。」
そう言われてハボックは目を見開くと困ったように首を傾げた。
「内密の、っスか?それ、今でないと拙いっスかね?オレ、これから演習入ってるんですよ。出張行ってたからスケ
 ジュール押してるし、できれば後にしてもらえると嬉しいんですけど。」
普通ならとても上司には言えないことを平気で言ってのけるハボックにロイはもう一度繰り返す。
「鍵をかけてきたまえ、ハボック少尉。」
あまり階級で呼ぶことのないロイにそう呼ばれて、ハボックは口を噤むと扉に向かった。カチリと鍵をかけると机の所
まで戻ってきて直立不動の姿勢を取る。不安そうに見下ろしてくる空色の瞳にロイは苛立ちを隠さずに言った。
「出張中はフュリー曹長と随分親睦を深めたようだな。」
「え?」
「いろんな話をした?」
「ええ、そりゃまぁ、2人きりでしたし。」
その言葉にピクリと唇の端を震わせてロイはハボックを見る。
「2人きり。そうだな、朝から晩まで2人っきりだ。」
そう言うロイが不機嫌なの事に流石に気付いてハボックは不安そうに言った。
「たいさ?もしかしてなんか怒ってます?」
「どうしてそう思うんだ?」
「え?だって、ワケわかんないこと言ってるし…。」
「そう思うのは何かやましいことがあるからじゃないのか?」
そう言われてハボックは目を見開く。2、3度瞬きすると言った。
「やましいことなんて何もないっス。」
「ハボック。お前、自分の癖って知ってるか?」
突然そんなことを言われてハボックは話について行けずに口を噤む。ロイはそんな黙り込むハボックに苛々を募らせて
言った。
「お前が嘘をつくとき、必ずそうやって何度も瞬きするんだ。」
「っ?!オレ、嘘なんてついてませんっ」
「やましいことがあるのかと聞かれて瞬きしてたろうっ!私に言えないことがあったんだなっ!」
ガタンと椅子を蹴立てて立ち上がると机を挟んで立つハボックの襟元に手を伸ばす。咄嗟に身を引いてロイの手から
逃れたハボックにロイはカッとなると伸ばした指をそのまま擦り合わせた。
「アッ?!」
顔の前で突然燃え上がった焔にハボックは両手をあげて顔を庇う。ロイは机に手をついて飛び越えると、よろめく
ハボックの腕を掴みそのまま床に引き倒した。
「たいさっ?!」
床に押さえ込まれたハボックは驚いてロイを見上げる。その黒曜石の瞳が嫉妬の焔を浮かべている事にやっと気付い
てハボックは息を飲んだ。
「フュリー曹長と随分仲がよくなっていたようだな。メガネまでプレゼントして、似合うと言われて浮かれていた。」
「ちょ…待って、たいさ、違いますっ!」
「本当のことは私には言えないんだろう?それは、あれか?フュリー曹長と一線を越えたということか?」
低い声でそう言われてハボックは驚きに目を瞠る。慌てて首を振るとロイに言った。
「違いますっ!たいさ、それ、誤解っスよっ!オレとフュリーの間には何にもありませんっ!!」
「嬉しそうに目配せして笑いあって、さっきも廊下で随分と仲がよさそうだったじゃないか。あれで何もなかったとっ?!」
「だから誤解…っ!たいさっ、オレの話聞いてっ!」
そう言ってロイを押しのけようとするハボックの喉元をダンッと押さえつけるとロイは呻くように言う。
「フュリー曹長に挿れてもらったのか?淫乱なお前が3日も我慢できる筈ないからな。」
「ちが…たいさ、はなしきいて…」
グイグイと喉を押されてハボックは苦しげにもがいた。ロイの手を外そうと弱々しく縋る指がロイの手の甲を引っ掻き、
ロイはその痛みにカッとしてハボックの頬を思い切り張る。2度、3度と張ればハボックの体から力が抜けて、ロイは
ハボックの喉から手を離すと悔しそうに言った。
「どれだけヤったのか調べてやる…っ」
ロイはそう言うとハボックのズボンに手をかけ下着ごと引き摺り下ろす。膝を折り曲げるようにして大きく下肢を開か
せると堅く閉ざされた蕾に指を這わせた。
「ここに挿れさせたんだな、曹長の味はどうだった?」
「ちがう…してな…アアッッ!!」
グイと乱暴に指を突き入れられてハボックは悲鳴を上げる。潤いのないそこは引きつれて鋭い痛みをハボックにもた
らした。
「イッ…アッ…いったぁ…っ」
普段ならしっかりと濡らされた上で優しく解されていくところを、なんの下準備もないまま乱暴にかき回されてハボック
は痛みに喘ぐ。ロイは強引に指の数を増やすとぐちぐちと抜きさしした。
「どうやって強請った?どうやってあのフュリー曹長を誘惑した?言ってみろっ」
「してませ…たいさ、おねが…オレのはなし、きいて…」
弱々しく首を振ってそう言い続けるハボックにロイは唇を噛み締める。乱暴に指を引き抜くと己を取り出しハボックの脚
を高く抱え上げた。
「強情なヤツめっ、どうしても言わないと言うなら体に聞いてやるっ!」
「っ?!やっ…やめっ…たいさっっ」
逃げようとする体を引き戻して、ロイは怒りのままにハボックの体を貫く。
「ヒッ…アアアッッ!!」
ロイの怒張を受け入れるにはまだ十分に解しきれていないソコはきつくて、ハボックにもロイにも苦痛を与えた。それ
でもロイはハボックの脚を押し開くと強引に体を進める。
「イッ…いた…やめ…っ」
「く…っ…力を抜けッ」
あまりの締め付けにロイが堪らずそう言ったが、ハボックは涙を零しながら苦しげに喘ぐだけだ。ロイは舌を鳴らすと
萎えているハボックの前に手を添えた。ゆっくりと扱き始めればハボックの体がぴくんと震える。直接の刺激で徐々
に硬度を増していくそれに答えるように僅かに力の抜けた体を、ロイは一気に貫いた。
「アア―――ッッ!!」
ガツンと最奥を突かれてハボックが背を仰け反らせて悲鳴を上げる。涙の滴が飛び散ってその美しさに息を飲むと
共に、フュリーもまたそれを見たのかもしれないという考えにロイは怒りに任せてハボックの体を乱暴に揺さぶった。
「ヒッアアッ…んああっ…やあっ…も、やめ…っっ、ゆるし…」
「正直に言えっ!そうしたら赦してやるっ!」
「フュリーと、は…なにも…なにもな、い…っ」
「まだ言うか…っ、この、恥知らずが…っ!」
ガツガツと突き上げられてハボックは泣きながら熱を放つ。弱々しく「ちがう」と言い続けるハボックを、ロイは乱暴に
犯しつづけた。

ズルリと引き抜けば、ロイが散々に注ぎ込んだものがとろりと零れでる。乱暴に嬲られて泣き濡れたハボックの頬を
ロイがそっと撫でた時、机の上の電話が鳴った。ロイは手早く身支度を整えると鳴り響く電話を取る。受話器を耳に
押し当てれば間延びした親友の声が聞こえてきた。
『よぉ、ロイー。元気してっか?』
「ヒューズか。何の用だ。」
素っ気ないロイの返事に受話器の向こうで苦笑する気配がする。
『相変わらず冷たいねぇ、わざわざ電話してきた親友にもうちょっと優しい言葉をかけられないのかよ。』
「用がないなら切るぞ。」
苛々とそう言えばヒューズが慌てて言った。
『いやさ、技能五輪の件でお前がフュリー曹長虐めてないか気になってな。』
「…どういうことだ?」
まさかハボックとフュリーの間にあったことを知っているのかとロイが低い声で尋ねればヒューズが答える。
『あ、やっぱ聞いてないのか。競技会の朝、少尉が曹長のメガネ壊しちまったらしくてなぁ。競技の前に買い替えに
 行く時間もなくて、結局フレームはひん曲がってるわ、レンズはヒビだらけだわっていうメガネで出たらしいんだよ。』
「…へ?」
『ま、そんなメガネじゃ実力発揮できるわけもないわなぁ。結果はお前さんも知っての通り酷いもんで、だから少尉が
 申し訳なかったってかなりしょぼくれてて、曹長の方は全然気にしてる感じじゃなかったんだが。』
「おい、それじゃ…」
『2人が帰る前に俺のお勧めのメガネ店教えてやったから、洒落たメガネして帰っただろ?ま、そんなわけだから
 あんまり結果のこと言いなさんな。じゃな。』
ヒューズはそれだけ言うとロイの返事を待たずに電話を切ってしまう。ロイはツーツーとなる電話を握り締めたまま
ハボックをそっと振り返った。いつの間にか身支度を整えたハボックにロイは引きつった笑いを浮かべる。
「あー、ハボック。今ヒューズから電話で事情を…。」
「…ちがうって言ったのに。」
「ハ、ハボック。」
「話聞いてくれって言ったのに。」
「いや、だからそのっ」
ハボックは泣きすぎて紅くなった瞳でロイをギロリと睨んだ。
「オレとフュリーの間でなんかあるわけがないでしょうっ!それを疑った上によくも散々…っっ!!」
「悪かったっ!!私が悪かったっ!!だから、ハボ――」
「たいさなんてだいっっっキライですっっ!!!」
ハボックはそう怒鳴ると扉を開けて執務室を出て行ってしまう。ロイはハボックを引きとめようとした手を空しく伸ばした
まま呆然として立ち尽くしていたのだった。


2007/11/15


ロイハボ版です〜。相変わらず独占欲丸出しのヤキモチ妬きで人の話を聞かねぇっていう、はた迷惑な大佐の話(笑)溺愛されているとはいえ
いつも酷い目に会わされるハボは堪ったもんじゃないですね(苦笑)