究極神話4


「ジャン!」
 なんとか巨大な怪物を倒してハアハアと肩で息をするハボックにホークアイ達が駆け寄ってくる。ハボックがにっこり笑って頷けばホークアイは自分より頭半分小さい少年の体を抱き締めた。
「よかった」
 思いがけず連れてきてしまった少年を守ると誓った。少しでも生き延びる確率の高い方へと男に預けたその先で、激しい戦いの焔が上がっているのを見た時はどうなるかと思ったが。
「オレなら大丈夫っス」
 そう言って笑う顔は随分と大人びた。その笑顔に僅かな痛みを感じながらホークアイは尋ねる。
「怖くないの?」
 そう聞けばハボックは恥ずかしそうに少し俯いて答えた。
「平気っス。オレなんてまだまだだけど、リザさんもロイもブレダさんもいるし……。だから怖くないっス。オレも出来ることならリザさんを守れたらなぁって思います」
 守られるばかりだった少年のそんな言葉にホークアイは僅かに目を見張る。それから嬉しそうに目を細めて少年の額を指でつついた。


 その夜。
 いつものように皆が寝静まってから野営地を抜け出したハボックは前を歩く男の背が、何やら不機嫌を纏っている事に気づく。男の後について灌木の茂みに入っていきながらハボックは尋ねた。
「なに怒ってるんスか?」
「昼間」
「え?」
 そう聞かれて男は短く答える。キョトンとする少年に舌打ちすると振り返り、木の幹に背を預けて言った。
「どうして私だけ呼び捨てなんだ」
「え?」
「“リザさん、ブレダさん”で、何故私だけ“ロイ”?それに」
 と、ロイは眉を顰めて続ける。
「随分リザと仲がいい」
 ボソリといかにも気に入らなそうに言う男を目を丸くして見つめていたハボックはプッと吹き出した。
「ヤキモチ?」
「誰が」
 楽しそうに言う少年をロイは手を伸ばして引き寄せる。彼が纏う短い上着に手をかける男にハボックは言った。
「全部脱ぐんスか?」
「全部見たい。お前は私のものだろう?」
 いつも繋がる場所だけを寛げていた男のそんな言葉にハボックは笑みを浮かべた。
「アンタはロイだからロイでいいんだ」
 ハボックはそう言って剥き出しの細い腕をロイに伸ばす。
「訳が判らんぞ」
 しかめ面しく言いながら、ロイは少年の体を抱き締めると唇を重ねていったのだった。


10/02/03