| 究極神話3 |
| 「償い方を見つけるまで戦って前に進むだけって、そんなの責任から逃げてるだけだろッ!」 そう目の前の男に言葉を叩きつければ秀麗な顔が歪む。 「卑怯だ、そんなのッ!」 責める言葉に押されるように後ずさる男を見つめながら、ハボックは相手を罵る自分もまた卑怯だと本当は気づいていた。 相手に責任をとらせたところで失ったものは帰ってこない。誰かのせいにして憎んで、目的がなければ戦えなくて、だから。 ロイを憎むふりをして。 己の激情に答えて身の内から迸る魔力に煽られて、ロイの体が高台の柵を突き破る。咄嗟に縁を掴んで落下を免れた男の頭上にナイフを振り翳した時。 ドオオンッッ!! 近距離に落ちた爆弾の爆風に煽られて、ハボックの細い体が宙に舞った。腕の力だけで高台の縁に掴まるロイの体を越えて下へ下へと落ちていきながら、ハボックはぼんやりと考える。 このまま地面に叩きつけられて身も心も砕け散ってしまえばいい。そうすれば解放される、哀しみからも、憎しみからも。そして───愛情からも。 「ハボックっ!」 その時自分を呼ぶ声がしたと思うと、ハボックは落下する自分の体が男の腕に抱き締められるのを感じる。涙の滲む目を開ければ目の前に己を守るように抱き締めるロイの胸。落ちる自分を追って一緒に落ちてきたのだと気づいてハボックはくしゃりと顔を歪めた。 「私が守る」 そう囁くロイの声が聞こえて。 「………馬鹿ッ」 ハボックは男の背に腕を回した。 10/01/27 |