| 究極神話2 |
| 戦いに疲れきって、誰もが横になった途端眠りに落ちていく。ハボックも皆と同じように冷たい地面に体を横たえながら、だが眠ってはいなかった。少しして微かな寝息だけが辺りを支配する頃になると、ハボックの背後で誰かが起きあがる気配がする。その誰かがゆっくりと歩き出す足音を聞いて、ハボックはキュッと唇を噛み締めた。別について行かなくてはいけない義理はないし、約束しているわけでもない。それでもハボックはゆっくりと起きあがると、長いコートを着た男の後をついていった。 五分ほども歩いたろうか、男はパルスの廃棄物が積み上げられた中にできた小さな隙間に入っていく。男が大きく背中を屈めて入っていった隙間にほんの少しだけ頭を下げて中に入ると、ハボックは先に入った男を見た。 「疲れてないか?」 ロイは打ち捨てられた機械を見上げながらそう尋ねる。 「平気っス」 ハボックがそう短く答えれば、振り向いたロイにグイと引き寄せられた。 「は……ぅんっ…ンッ」 いつものようにボトムだけを脱ぎ捨てて交わりあう。機械に寄りかかって座り込んだ男の上に跨がされたハボックは、小刻みに揺すられて湿度の高い吐息を零した。 「んんっ……んああっ」 攻め立てられ薄く涙の膜が張った瞳でハボックはロイを見る。同じように自分を見つめている黒い瞳を見返してぼんやりと考えた。 (どうして……どうしてこんな事してるんだろ……) この男は母の死の原因を作った、決して赦せない相手であるはずだ。いつか思い知らせてやりたくて、そのためだけについてきた筈なのに。 『どう償うつもりっスかっ?』 『償える訳がないだろうっ?……償う方法を見つけるまで、生き延びるだけだ』 初めてロイに抱かれたのは、詰る言葉にロイがそう答えた日の夜だった。その日以来、野営のたびにこうして交わる行為を続けている。別に強要されたわけでもない。拒めばロイはそれ以上なにもいわないだろう。それなのに、何故。 「……いつか、思い知らせてやる…」 熱い吐息の合間にそう呟けばロイが一つ瞬いてハボックを見る。ハボックは黒曜石の瞳を見つめたまま続けた。 「強くなって……いつか…ライトさんに貰ったあのナイフで……そしたらオレは、アンタから自由になって……ひとりで…っ」 自分に言い聞かせるように言葉を続ければ、黙って聞いていたロイがゆっくりと口を開く。 「そうだな、ひとりもいいかもしれない……出逢う前はひとりだった……」 ロイはそう言ってハボックをじっと見つめた。 「でも、出逢ってしまった……今更一人は絶対無理だ」 「……ッッ」 ロイの言葉にハボックは目を見開いて息を飲む。その瞬間、ガツンと突き上げられて、ハボックは高い悲鳴を上げた。 「アアッ!ヤアあっっ!!」 今までの緩い突き上げが嘘のように激しく揺さぶられて、ハボックは必死に男に縋りつく。その途端噛みつくように唇を塞がれてハボックは大きく目を見開いた。 「ンンッ!!……ん─────ッッ!!」 悲鳴さえ飲み込まれてハボックは苦しさに涙を零す。意識する間もなく熱を吐き出して震える体を乱暴に突き上げられて、ハボックは背を仰け反らせた。 「アアアッッ!!」 仰け反る細い体を引き戻してロイは再び口づける。口内を嬲る舌先に答えて舌を差し出しながら、ハボックはいつしかロイの体を抱き締めていた。 「ん……んふ……ぅん」 男の黒髪に指を差し入れて引き寄せればロイもまた細い体をかき抱く。グウッと己の体を深く穿つ楔が膨れ上がったと思うと。 「ンッ……アッ……す……ッ」 最奥を熱く焼かれながら、ハボックは小さく呟いて意識を失ったのだった。 2010/01/22 |