eternal green prologue


 微かに埃臭いひんやりとした空気の中で、そこには不釣合いな熱い息遣いが流れていく。誰も見ることのない古い事件を収めたファイルが立ち並ぶ資料室の一番奥まった一角で、ハボックはズボンを剥ぎ取られ、その体の奥深くに男を受け入れていた。
「んあ…っ」
 椅子に腰かけた男に跨るようにして貫かれたハボックは、乱暴に揺すりあげられて背を仰け反らせて喘ぐ。荒い息を零しながらハボックは自分を犯す男の端正な顔を見つめた。メガネの奥の常磐色の瞳に情欲の焔を揺らめかせて、男はハボックをみると唇の端を僅かに持ち上げる。
「どうした…足りなそうだな」
 男はそう囁くとハボックの腰を抱えて僅かに持ち上げると、すっと手を離す。重力に引かれて落ちる体を下から思い切り突き上げられて、ハボックは悲鳴を上げた。空色の瞳に涙を滲ませて、酷いことをやってのける男を睨みつける。
「アンタねぇ…っ、少しは加減ってもんを…」
「加減なんてして欲しくないんだろう?」
 勝気に睨みつけてくる瞳を楽しそうに見上げて、ヒューズは薄く笑った。その男くさい表情にぞくりと体を震わせて、ハボックは悔しそうにヒューズを見る。だが、続けざまにきつく突き上げられて、その瞳は苦しげに伏せられた。
 一体いつからだったろうか、こうしてヒューズと関係を持つようになったのは。俺の女神といって妻を褒め称え、天使だといって娘のことを愛しげに語る唇で、自分を嬲り悶えさせる男をハボックはいつも拒めないでいた。
(どうして?どうしてオレを抱くんだ?)
 妻を、娘を、誰よりも愛しているくせにそれなのに。
 こんな関係は間違っているのだと頭の冷めた部分では思いながらも、ヒューズに強く惹かれる自分がいる。恥じらいもなく脚を開きヒューズに犯されたいと願う自分がいる。
(大嫌いだ、アンタなんて)
 こんなにも心を乱しておきながら平然としているヒューズを、好きだと思うのと同じ強さで罵りながらハボックは乱れていく。
 はらはらと涙を零しながら、だが、ハボックは自分を貫く男の瞳に自分と同じ想いが宿っている事に気づきはしなかった。


2007/06/14