eternal green prelude


「ああ、ほら。しっかりしてくださいよ」
 ハボックは車から降りると酔ってぐらぐらしているヒューズを支える。そのまま目の前のホテルに入るとヒューズをソファーに座らせ、フロントから鍵を受け取った。それからまたヒューズに肩を貸すようにして立たせるとエレベーターに乗り込み5階のボタンを押す。
「珍しいっスね、アンタがこんなに酔うの」
 初めて見ましたよ、というハボックの声を遠くに聞きながらヒューズはさっきまでいた酒場でのことを思い出していた。
 自分の親友であるロイと上司部下の垣根を越えて笑いあう二人に軽い嫉妬を感じたヒューズは、ハボックを見つめるロイの視線の中にある想いが芽生え始めているのに気づいてしまう。おそらくまだロイ自身も気づいていないそれに、ヒューズは酷く動揺し、そしてそれと同時に湧き上がってきた想いを押さえきれないでいた。今までも何度もその気持ちが湧きあがってこようとするたび必死に蓋をしてきた。自分には愛する妻と可愛い子供がいるのだ。それ以上何を望むのだ、と。絶対に望んではいけないと必死に自分に言い聞かせてきたヒューズだったが、今夜ロイとハボックの様子を見て、一気に蓋が吹き飛んでしまった。
「ほら、つきましたよ」
 ハボックはそう言って部屋のドアを開けるとヒューズを中へと通し、後ろ手に扉を閉めた。そのままヒューズを抱きかかえるように続きの寝室へと連れて行くとヒューズの体をベッドに下ろす。ヒューズの上着を脱がせると背を向けてハンガーにかけようとするハボックの腕をヒューズはグイと引いた。
「えっ?うわ…っ」
 突然ベッドに押さえつけられて驚きに目を見開いて見上げてくるハボックのその空色の瞳に、ヒューズは自分の姿を映し出すと囁く。
「オレのもんだ。ロイにも誰にも渡さねぇ…」
「え?」
 無防備にヒューズを見つめるハボックのTシャツを力任せに引き裂いて。
「ちゅうさっ?!」
 曝される素肌にむしゃぶりつくように唇を寄せた。抵抗するハボックの体を強引に組み敷いてヒューズはハボックを犯していく。
「やめてくださ…っ」
「お前を手に入れるのが罪だと言うなら…」
(どんな罰も受け入れるから)
 そんな考えがヒューズの頭を過ぎって。たった一言の愛の言葉を囁くことも出来ずに、ヒューズはハボックの体の奥深くに想いを叩きつけた。


2007/06/27