びっちょり その後


 ハボックはロイを浴室へと連れてくると浴槽に湯を張り始める。眉を顰めて立ち尽くしているロイに向き直ればロイが不機嫌そうに言った。
「後は自分でやるから出て行け」
 そう言うロイにハボックはにっこりと笑う。
「や、オレがちゃんと天気予報見てなかったから大佐、びしょ濡れにしちゃったし、ここは一つお詫びにお世話させてもらいますから」
 そう言って伸びてくる手をピシリと払いのけてロイが言った。
「いらん。お世話なぞして貰わんでも結構だ」
 そうしてシャツのボタンを外そうとするが、濡れてきつくなったボタンホールはすんなりとボタンをくぐらせてはくれなかった。
「ほらほら、そんなぐずぐずしてたら体が冷えちゃいますって」
 くすりと笑って伸びてきた手がボタンを下から外し始める。ロイが一番上のボタンを外すことも出来ないでいるうちに次々とボタンを外したハボックは、ロイのベルトへと手をかけた。
「おいっ」
「いいから、一番上、外さないとシャツ脱げないっスよ」
 そう言われて意識がボタンへと逸れた瞬間、ズボンを下着ごとずり下げられてロイはぎくりとして後ずさる。
「あっ!」
「おっと」
 膝の辺りに纏わり着くズボンに足を取られて倒れそうになったロイをハボックの腕が支えた。
「なにやってるんスか、アンタ」
「だっていきなり脱がすから…っ」
「いきなりも何もさっきから脱がせてるじゃないっスか」
 ハボックはそう言うと露わになったロイの腿をするりと撫でた。
「ひ…っ」
「ああ、冷たくなっちゃって」
 ハボックはそう言うと片手でロイのズボンを剥ぎ取ってしまう。
「ハボックっ!」
「なんスか?」
 平然と返されてグッと言葉に詰まるロイにクスッと笑うとハボックはロイを椅子に腰掛けさせた。ロイに抵抗する間を与えず最後まで嵌ったままだったボタンを外すとシャツを落とす。
「ハボっ、も、いいから――ぶわっ!」
 ハボックを浴室から追い出そうと拒絶の言葉を吐き出そうとした矢先、頭からシャワーをかけられてロイは仕方なしに口を閉じた。温かい湯に体が弛緩していくのを感じて、チッと舌打ちするとハボックを振り仰ぐ。
「後はもう自分でやるからっ」
「ハイ、いいからじっとしててくださいね」
 ロイの言葉を無視してハボックはシャンプーを取るとロイの頭に振り掛ける。大きな手でわしわしと髪を泡立てられて、思いのほか気持ちのよいそれにロイはいい加減ハボックを追い出す努力の空しさを感じて大人しく座りなおした。気持ちよさそうに目をつぶって髪を洗われているロイに、ハボックは微笑むと丁寧に髪を洗っていく。
「目、つぶっててくださいね」
 ハボックはそう言うと、緩く出したシャワーで泡を流していった。シャワーをフックに戻すとスポンジを取りボディソープを泡立てる。細かな泡をいっぱいに含んだスポンジをロイの首筋に当てればぴくりとロイの体が震えた。それに構わずゆっくりとロイの体を洗っていく。目を閉じたままのロイがキュッと唇を噛み締めたのを目を細めて見つめながら、ハボックはスポンジを滑らせていった。足の指まで丁寧に洗ってやった頃には、ロイは顎が胸に着くほど俯いて手を握り締めていた。ハボックはスポンジを置くと直に手のひらにソープを泡立てると、ロイの背後から股間へと手を差し入れる。
「ハボっ…!!」
 悲鳴のような声を上げるロイに覆いかぶさるようにしてハボックはその耳元で囁くように言った。
「なんスか?洗ってるだけっスよ?」
 そう言いながらハボックはゆっくりとロイの棹に手を滑らせる。ゆるりと立ち上がっているそれに笑みを浮かべながら、ハボックは殊更丁寧に洗っていった。
「たいさ…ちょっとオレに寄りかかって」
「え?」
 中心を嬲られてぼんやりしていたロイは言われるままハボックの胸に背を預けてしまう。途端にハボックの指がいつの間にか大きく広げられていた脚の間の奥まった箇所へ、するりと滑り込んできた。くち、と音を立ててロイの蕾を割り開くと、泡のついた指が中へと入ってくる。
「ひあっ?!」
 グッと押し入ってくる指にロイは預けた背を仰け反らせた。
「やあっ…やっ…ハボっ」
「奥まで綺麗にしてあげます…」
「やっあっ…そ、んなっ」
 長い指に奥までかき回されてロイはしどけなく開いた脚をびくびくと震わせる。今ではすっかりと立ち上がった中心がとろりと蜜を零していやらしく震えた。ハボックは沈める指の数を徐々に増やしていく。3本の指を根元まで咥えこんだままハボックに背を預けて荒い息を零しているロイを見つめていたハボックは、シャワーに手を伸ばしてロイの前の鏡に向けて湯を注いだ。
「ね、たいさ、たいさも確認してくださいよ。奥までちゃんと洗えてるか…」
 見て、と言われてロイはぼんやりと宙に注いでいた視線を正面の鏡へと移す。途端にしどけなく開いた脚の奥にハボックの指を咥えこんだ自身の姿が飛び込んできて、ぎくりと体を強張らせた。
「ちゃんと洗えてるっスかね、たいさ…」
 背後からロイの体を抱え込んでハボックはロイの耳元に囁く。それと同時に沈めた指をぐるりとかき混ぜぐちゅぐちゅと出し入れした。
「ひっああっ…ハボッ…いやっ」
 はしたない己の姿にロイは顔を真っ赤に染めて身を捩る。だが深々と指を差し入れられたソコから沸き上がる快感にそれは大した意味を持たなかった。
「ああ、もっと奥を洗ってほしいんスか?」
 ハボックはそう言うとグイと指を奥へと突き入れる。
「ひああっっ」
 入ってきた指がロイのいいところを突いて、ロイは耐え切れずに熱を吐き出してしまった。
「いやああっっ」
 鏡の中の自分が白濁を迸らせる所をばっちりと見てしまったロイは、居た堪れずに悲鳴を上げる。飛び散った熱が鏡の自分を汚すのにロイは羞恥を覚えると同時に異様な興奮を覚えてしまった。はあはあと荒い息を零しながら食い入るように自分の姿を見ているロイにハボックはくすりと笑うと指を引き抜く。
「あっあ」
 その衝撃にびくびくと体を震わせるロイから一度体を離すと、ハボックはすっかり濡れてしまった服を脱ぎ捨てた。それからくたりと椅子に座ったままだったロイの腕を引くと立ち上がらせる。等身大の鏡に手をつかせ、背後からロイの腰を抱え込んだ。
「今度はもっと奥まで綺麗にしてあげますね」
 耳元に囁かれてぴくりと震えるロイの双丘を掴むと、ハボックはグイと自身を突き入れる。熱い塊りが入ってくる衝撃にロイは目の前の鏡に縋りついた。
「あっあああっっ」
「たいさ…」
 ずちゅっずちゅっといやらしい水音が響きロイは鏡に爪を立てる。ふとあげた視線の先に快楽に融ける自分の顔と、背後から覆い被さるハボックの男くさい顔が鏡に映し出されているのを捉えて息を飲んだ。
「あ…」
 捉えた光景から目を逸らせず、ロイは凍りついたようにそれを見つめ続ける。ロイを突き上げていたハボックは、ロイが貫かれる自身の姿に見入っている事に気づいて薄く笑った。
「いい顔してるでしょ、アンタ…」
 後ろから囁く声にロイはぴくりと震える。
「うっとりしてヤラシイ顔…。オレにこんなことされて気持ちイイんスね…」
「あ…」
「後ろ、締め付けてきてますよ…興奮してるんスか?」
 ヤラシイ、と忍び笑いと共に囁かれてガツンと突き上げられる。鏡の中のハボックの情欲で紺青に染まった瞳に射抜かれて、ロイは目を逸らすことも出来ずに熱を鏡に向けてぶちまけた。
「あああっっ」
 追いかけるように己の中に叩きつけられるハボックの熱に、ロイは内と外から快感に染め上げられてびくびくと震えると鏡に頬を寄せた。快感に全身が粟立ってもう立っていることすら覚束ない。鏡に向かって縫いとめられていた体を支える楔をずるりと抜かれて、ロイは鏡に縋ったままずるずると座り込んだ。
「そんな調子じゃ一人で湯船に浸かれそうにないっスね」
 しょうがないなぁと、さも仕方がない様に言うとハボックはシャワーを出してロイの体に残った泡を流す。
「ひっ…あっああっ」
 達した余韻で敏感になった肌を打つ細かい滴に、ロイは背を仰け反らせて喘いだ。その中心がとろりと蜜を零すのを目にしてハボックはにんまりと笑う。
「ヤラシイ体…」
 からかうような声にもロイは反応して体を小刻みに揺らした。力なく鏡に寄りかかったままハボックを見上げれば紺青に濡れる雄の目がロイを見下ろしている。
「あ…」
 その瞳が細められ、色の薄い唇を舌先が舐めるのをロイは魅入られたように見つめていた。唇の端が緩やかに持ち上がり自分の名を形作るのを見つめながらロイは、喰われる自分を実感する。伸びてきた力強い手に腕を取られて引きずりあげられると、ふわりと抱きかかえられた。うっとりと頭を胸に持たれかけてくるロイを抱いたままハボックは湯船に入ると身を沈める。胸によりかかるロイの顎を掴むとハボックはゆっくりと口付けていった。
「ん…んふ…」
 ぴちゃぴちゃと音を立てて舌を絡める。ハボックの頭に手を回して夢中で口付けて来るロイを、ハボックは軽く押しやると唇を離した。
「あ…」
 不満げな顔をするロイに苦笑すると、ハボックは横抱きにしていたロイの体を自分と向き合うように己の脚を跨がせる。
「そんな顔しないで…今もっといいもんあげますから…」
 ハボックはそう言うとロイの体を持ち上げ双丘を割り開いた。そそり立つ自身をひくつく蕾に宛がい一気に突き上げる。
「アッアア――――ッッ!!」
 柔らかい肉を押し分けて入ってくる塊りにロイは溜まらず悲鳴を上げた。ざぶざぶと湯を揺らしながら抜きさしされてロイは背を仰け反らせて悶える。
「やっああっ…んああっっ…ハボっ…あんっハボォ…っ」
「ふふ…気持ちイイっスか?」
「あんっ…イイっ…やっ…深い…っっ」
 自重で奥まで犯されたかと思うと浮力でふわりと浮き上がる体に、いつもとは違う快感を呼び覚まされてロイはあられもない声を上げた。ぞくぞくと駆け上がってくる射精感にロイはハボックにしがみ付く。
「あっも…でるっ…イっちゃうっ…イっちゃう、ハボっっ」
「いっスよ、イって…。」
「ひっ…ひあああああっっ」
 一際奥を突かれてロイは湯の中に熱を吐き出す。堪らない開放感に震えるロイの体の中にハボックの熱が広がるのを感じて、ロイはだらしなく唇を開くと背を仰け反らせた。髪の毛の1本1本までもが快感に支配されて声を出すこともできずに、ロイの意識は深い水底へと沈んでいった。


 合わさった唇から流し込まれる冷たい水に、ロイは閉じていた目を開ける。目の前の空色の瞳をぼんやりと見つめていたロイは、はっきりとしてきた意識に己の醜態を思い出して顔を紅くするとハボックの頬を両手で思い切り引っ張った。
「いててててっっ」
 体を起こしたハボックは引っ張られて紅くなった頬を両手で押さえて涙目でロイを見下ろす。
「ひどいっスよ、たいさぁ」
「うるさいっ!この、ヘンタイっっ!!」
 真っ赤になってブランケットを握り締めるロイにハボックは唇を尖らせた。
「アンアン言って喜んでたくせに…」
 ぼそりと呟かれた言葉にロイはハボックの顔に思い切り枕を叩きつける。
「バカっ!!エロ大王っ!!」
 バシバシと叩きつけられる枕を腕でよけていたハボックは、いい加減な所でヒョイと枕を掴むとロイの手から簡単にそれを取り上げてしまった。何か叩くものはないかと探すロイの腕を取るとベッドに縫いとめる。
「ハボックっ!!」
「でも、その大王が好きデショ、アンタ…」
 低く囁く声にぴくりと震えるロイにハボックは囁いた。
「また一緒にお風呂入りましょうね」
「誰が入るかっ!!」
「そう言わず、奥まで洗ってあげますから…」
 耳に吹き込まれるように囁かれるハスキーな声に、ロイは拒絶の言葉を取り上げられて黙り込む。頬を染めて見上げてくる濡れた黒い瞳に満足げに笑うと、ハボックはゆっくりとロイに口付けていった。


2007/7/31

いやもう、すみません…ただヤってるだけな話で(汗)でも、結構ラブラブかなぁなんて思ったり…。ダメ?(笑)