アフ・チュイ・カックその後
「ロイ、今日のお昼は外で食べませんか?」
「外で?」
「天気もいいし、風も爽やかだし、サンドイッチ作ったんスよ。」
ね?と言って笑うハボックにロイも笑って頷く。ロイはお昼の入ったバスケットを持ったハボックに続いて家を出た。
扉を出たところでハボックがバスケットを持っていないほうの手を差し出す。ロイは一瞬目を見開いたが、ほんの少し
目尻を染めてその手を取った。家の裏手の坂道を手を繋いだまま上っていく。
「どこまで行くんだ?」
とロイが聞けば
「もうちょっとっスから。」
とハボックが答えた。15分ほど上ると小さな高台のようなところに出た。手を引かれるまま歩いていき、ハボックが
立ち止まったところで下を見下ろせば緑に囲まれた村の全容が見て取れた。
「いい眺めだな。」
「でしょ?」
オレの取っておき、そう言ってハボックはシートを広げると四隅を石で止める。手招かれてその隣りに腰を下ろし、
二人して眼下の景色を眺めた。半年前にこの村を襲った厄災の痕はもうどこにも見られず、村はただ静かにそこに
佇んでいる。傍らのハボックを見上げれば、その空色の瞳は愛しそうに村を見つめていた。
「なんスか?」
ロイの視線を感じたのだろう、振り向くハボックにロイは小さく首を振る。
「なんでも…。」
そう言って俯くロイの肩をハボックが引き寄せた。
「ロイ、愛してます…。」
抱きしめてくる温もりを失わずに済んだことを心の底から感謝して。
「私も…。」
ロイは降ってくる口付けを喜びと共に受け止めたのだった。
2007/8/25