淫猥な彼ら


 執務室に入った途端、後ろ手に扉に鍵をかけたハボックに腕を引き寄せられてロイは乱暴に唇を塞がれていた。
「ふ…ぅん…」
 深く貪るような口付けにロイは怯えて思わずハボックを押し返した。そんなロイの様子にハボックがムッとして囁く。
「なんスか、たいさ」
「誰か入ってきたら…」
「鍵かけました」
「中尉が来るかもしれない」
「小一時間ほど打ち合わせするから入って来ないでくれって言ってあります」
 尚も言い募ろうとするロイにハボックはロイの顎を掴んで空色の瞳を眇めた。
「何日ぶりだと思ってるんです?あんまり焦らすと優しく出来ませんよ?」
 そう言ってハボックは再び口付けてくる。口中に忍び入ってくるハボックの舌と己のそれを絡ませあいながらロイは考えた。確かにここのところ忙しくてすれ違ってばかりいた。ロイが出張から帰ってくるのと入れ違いにハボックが出張に出かけ、かれこれ2週間もまともに話す時間すら持てずにいたのだ。ロイだっていい加減ハボックに触れたいと思っていた。今朝久しぶりにハボックの顔をまともに見た時から全身の神経がハボックへと向かっていて、自分がこんなにハボックに飢えていたのだと思い知らされて驚いていたのだ。ただ、扉一枚隔てた所で通常の勤務が行われているこんな場所でハボックに触れられるのは正直避けたかった。あまりにも飢えが激しすぎて、自分がどうなってしまうか判らない。あられもない声を上げてハボックを強請ってしまいそうで、怖くて仕方がなかった。
「…っつ…っ」
 そんなことを考えながらキスを交わしていると、いきなりハボックがロイの舌に歯を立ててきた。思わず唇を離してハボックを見上げると空色の瞳が不愉快そうに歪められている。
「アンタね、何考えてるんです?オレとキスしながら他のこと考えてるなんて許せないっスね」
 何も考えられなくしてあげますよ、とハボックにソファに押し倒されてロイは慌てた。
「お前を…っ」
 必死に言葉を紡ごうとするロイをハボックが見下ろしてくる。
「お前のことを考えていたんだ…っ」
 ハボックの眉が訝しげに寄せられるのを見て、ロイは言葉を続けた。
「ずっとお前に触れたかったけど、でもっ…」
「でも?」
「…ここじゃイヤだ…」
 泣きそうな顔で見上げてくるロイにハボックは数度瞬いてロイの髪を優しくかき上げた。
「なんで?」
 そう聞かれてロイは扉へと視線を向ける。
「誰も入ってきませんよ」
「そうじゃなくて…」
 よく判らないという顔をするハボックにロイは真っ赤になって目を伏せると囁いた。
「声…っ、我慢できない…っ」
 そう言ったまま瞳を伏せてしまったロイを見つめるハボックの顔が見る見るうちに嬉しそうに輝いてくる。ハボックはうっとりと微笑むとロイに囁いた。
「大丈夫っスよ」
 ロイはその言葉に目を開く。
「その根拠のない自信はなんだ…っ」
「大丈夫だから大丈夫なんです」
「お前…っ」
「もうこれ以上、待てません…っ」
 ハボックはそう言うとロイの唇を塞ぎ舌を絡ませる。甘い口中を楽しみながらロイの上着をはだけ、シャツのボタンを外していった。滑らかな肌に手を滑らせると淡く色づいた乳首を捻り上げる。
「んっ、んんっ」
 ロイの喘ぎを飲み込んで両手の指でロイの二つの乳首をこね回した。堅く尖ったそれは指先に心地よい弾力を持って押し返してくる。いつもならそのぷくりと膨らんだ乳首を眺めながら舌を這わすのだが、今日はロイの唇を塞いでいるので目で見ることは出来ない。だがむしろその紅く膨らんでいるであろうそれを想像しながらこね回すのは考えていた以上にハボックの気持ちを昂らせた。散々乳首を玩んだ後、今度はゆっくりとロイの中心へと手を滑らせる。すっかり立ち上がって蜜を零しているソコを握り締めてゆっくりと上下に扱いてやった。
「ふ…んっ…んーっ」
 長く交わす口付けに飲みきれない唾液がロイの唇の端からとろとろと零れる。ロイは声を出せないことでむしろ体に籠る熱を逃がす術をも封じられて、体を駆け巡る快感に身悶えた。零れる蜜を棹に塗りたくられ、最初はゆっくりだった愛撫がだんだん激しさを増してくる。びくびくと震える体に急速に射精感がこみ上げてきてロイはハボックを押し返そうとした。それに構わず、ハボックはロイの柔らかい先端にぐいと爪を立てる。
「…っっ!!」
 背を逸らしてビクビクと震えたロイの中心からびゅくびゅくと熱い液体が迸った。ズボンも脱がされずになされた行為にズボンの中をべっとりと濡らされてロイは不快感に身を捩った。その時、やっと唇が解放され、冷たい空気が口中になだれ込んで来る。
「はっ、はぁ…は…」
 大きく胸を弾ませるロイをうっとりと見下ろして、ハボックはロイのズボンを剥ぎ取った。ズボンのポケットからハンカチを取り出すとロイの口へ押し込んでしまう。不安げに見上げてくるロイの額にキスを落としてハボックはロイの脚を大きく開かせた。そうしてひくひくと蠢く蕾に舌を這わせていく。
「ぅんっ…ん…んんっ」
 ハンカチに喘ぎ声を吸い取られてロイは苦しげに首を振った。恥ずかしい場所を這い回るハボックの舌先を妙にリアルに感じて、逃れようと身を捩る。ハボックはそんなロイを押さえつけて更に脚を広げさせると蕾の中へ尖らせた舌を潜り込ませていった。
「んっ…んんーっっ」
 ロイの手がハボックを引き剥がそうと金髪を掴む。だが、与えられる刺激に力が入らず、寧ろその仕草は行為を強請るようにしか見えなかった。たっぷりと濡らしたソコへハボックは取り出した自身を宛がう。びくりと体を竦ませるロイの頬を撫でてハボックはゆっくりと体を沈めていった。ぼろぼろと涙を零しながら自分を受け入れるロイを見るうち、ハボックの頭に血が上っていく。ハボックはロイの脚を高く抱え上げると激しく抽送を始めた。
「ん…んんっ、んっ」
 ロイはいやいやと頭を振りながら視線で苦しいと訴える。だがそれを無視してハボックはガンガンと突き上げていった。あまりに激しい突き上げにロイは体を突き抜ける快感に気が狂いそうになる。声を出せない分その黒い瞳からは止め処もなく涙が零れ落ちていった。大きく下肢を広げられて最奥を突き上げられてロイの中心からどくりと熱が零れた。びくびくと震える体にハボックはロイが達したのを感じうっすらと微笑む。繋がったままで強引にロイの体を俯せに反した。
「―――っっ!!」
 ロイが身を仰け反らせ、ハボックを含んだ部分がぎゅっと締まる。その刺激を眉を顰めてやり過ごすとハボックはロイの腰を高く抱え上げ、激しく抜き差しを始めた。熱い襞がハボックの動きに合わせて絡みついてくる。その心地よさにハボックは夢中になってロイを突き上げた。ソファーに顔を埋めたロイはハボックに揺さぶられるままに涙を零しながら与えられる快感に溺れていく。ロイを激しく揺さぶっていたハボックが小さく呻いてロイの中に熱を叩きつけるのとほぼ同時にロイもびゅると熱を吐き出していた。ずるりとハボックが抜け出ていくのにロイは首を振る。高められた体はもっとハボックに犯して欲しくて疼いていた。ハボックがロイの口から唾液にまみれたハンカチを取り出すとそっと口づけてくる。ロイはそんなハボックを押し返すと欲に濡れた瞳でハボックを見上げた。
「ハボ…っ、もっと欲しい…っ」
 そう言って縋り付いて来るロイを抱きしめてハボックはくすくすと笑う。
「アンタって、ほんと、ヤラシイ体してるっスね…」
 そう言われてロイが搾り出すように言った。
「お前が…っ」
「オレが?」
「私をこんなにしたんだ…っ」
 軍服の上着を乱して下肢を剥き出しにしたままうな垂れるロイの姿にハボックはにんまりと笑う。散々熱を吐き出したはずの中心は既にゆるりと立ち上がって刺激を与えられるのを待っているようだった。
「そこに腰掛けてください。」
 ハボックはそう言ってロイの執務机を指差した。ロイは言われるまま腰をかける。ハボックはロイの脚を大きく開かせると物欲しげにひくつく蕾に指を差し入れた。
「ぅん…っ」
 ハボックが指をうごめかせばさっき注ぎいれたものがとろとろと零れてくる。
「ふふ…たくさん入ってますね…まだ足りないんスか?」
 ロイは腰を揺らめかせながらがくがくと頷いた。
「あ…っ、もっとホシイ…っ」
「ヤラシイ…」
 くくくと笑いながらハボックに囁かれてロイの頬が赤く染まる。だが、疼く体を収めることが出来るのは目の前の男の熱だけだと覚えこまされたロイは、ただハボックに縋るしかなかった。
「さっきまではここではしたくないとか言ってたのに」
 仕方ないっスね、と囁いてハボックはロイを机に押し倒すと脚を抱え上げて自身を押し当てた。じわりと入ってくる熱い塊にロイの心が期待と歓喜に震える。ハボックはロイの唇を自分のそれで塞ぐと一気にロイを貫いた。びくびくと震える体を押さえ込んで乱暴に突き上げる。ロイの腕がハボックの背をかき抱いてもっと自分に引き寄せようとするのを感じてハボックはうっとりと微笑んだ。普段は傲慢な態度を崩さないロイを縋りつかせているのだと思うと押さえようのない支配欲がこみ上げてくる。もっともっと自分のことだけでロイをいっぱいにしたくて、ハボックは乱暴にロイを突き上げた。ふと革張りのソファーを見やるとそれはさっきロイが放ったもので汚れている。ハボックはニヤリと笑うとずるりとロイの中から己を引き出した。
「あ、あ、な、んでっ」
 ハボックに貫かれて喘いでいたロイは突然体を離されて不満げに腰を揺らす。そんなロイの耳元にハボックは囁いた。
「入れてホシイ…?」
 必死に頷くロイににんまりと笑うとハボックはソファーを指差した。
「じゃあ、あれ、舐めて綺麗にしてくれます?」
 ハボックが指差す先を見てロイが目を見開く。
「アンタが汚したんでしょ?綺麗にして下さいよ」
 さあ、と肩を押されてロイは不安げにハボックを見上げる。深く染まった空色の瞳に欲望を見出してロイはごくりと唾を飲み込むとソファーの前に跪いた。少し戸惑ってそれでも舌を差し出すと、ソファーに飛び散ったものを舐め取っていく。そんなロイの様子を楽しげに見下ろしていたハボックはゆっくりとロイに近づくとその腰を抱えた。双丘を割り開くようにするとずぶずぶと蕾へ己を沈めていく。衝撃に悲鳴を上げそうになるロイの口を手で押さえると、ロイの背に圧し掛かる
ようにして囁いた。
「ほら、ちゃんと綺麗にして。中尉にばれちゃいますよ…?」
 そういいながらぐいとロイを突き上げる。ロイは唇を噛み締めて声を押し殺すと必死にソファーに舌を這わせた。
「いい格好ですね、たいさ…」
 激しく突き上げながらくすくすと笑いを漏らすハボックにロイはぽろぽろと涙を零した。それでもハボックに与えられる快感に気が狂いそうになる悦びを感じてロイは舌を這わせ続けた。ハボックの突き上げに達しそうになるロイの中心をハボックはぎゅっと指で戒める。そうしてロイの奥深くまで突き入れると熱を叩き込んだ。
「くぅ…っ」
 身のうちを焦がす熱い液体にロイがぶるぶると体を震わせる。だが、自身の熱を解放することは許されなかった。ずるりと抜け出ていくハボックにロイはがっくりとソファーへと倒れこむ。そんなロイを見下ろしながら身支度を整えるとハボックはロイのズボンを拾い上げた。ズボンの内を濡らす液体に眉を顰めるが構わずロイに履かせると軍服の前をあわせてやる。ロイが殆んど舐め取ったソファーの汚れをティッシュで綺麗にふき取ってしまうと、落ちていた唾液まみれのハンカチと共にゴミ箱に放り込んだ。
「ハボック…っ」
「時間切れっスね」
 熱い視線で見上げてくるロイにそう言うと、ハボックはロイに軽く口付ける。
「頑張って仕事してください」
 続きは夜に、と囁いて執務室を出て行くハボックをロイはソファーに体を沈めて見送った。


2006/7/28


書いた当初はハボロイはわりと温いのが多かったので、これでもかーなーりエッチを頑張ったんですよ、確か。でも今となってはタイトル負けしてますか〜?一応、続きで「2」とヘンタイちっくな「3」へと続いとります。