| ちゃちゃ |
| 「ブレダ少尉、ちょっと悪いのだけど大佐を捜してきて貰えるかしら」 急ぎの書類があるの、と言う上司の言葉に俺は首だけ回して声の主の方を向いた。 「ハボのヤツはどうしたんです?」 「二人とも見当たらないのよ」 そういいながら微笑む中尉の目は笑っていない。俺は慌てて席を立つと司令室を後にした。 (ったく、ハボが付いてんならちゃんと昼休みが終わったら帰ってこいっての) そう思いながら近くの休憩所や会議室を覗いて回る。だがそのどこにも二人の姿はなかった。 (まさかどこかにしけ込んで、なんてことはいっくらなんでもないよな) 今日は天気もいいし、結構どっかで日向ぼっこをしながら転寝でもしてるのかもしれないと考えて、俺は扉を抜けて外へと歩き出す。 暑くも無く寒くも無いこの季節、緑は綺麗だし吹く風も爽やかで散歩にはうってつけだ。これが手間のかかる上司捜してのことでなければ実に楽しいだろうになどと思いつつ、俺は中庭の方へ向かった。前にハボックが中庭の先に昼寝にうってつけの場所があると言っていたのを思い出したからだ。ただあの辺は結構枝葉の伸びた木が多いからちょっとやそっと覗いたくらいじゃ判りにくいってのもあるのだが。だからこそ、休憩を取るには最高の場所なのだろう。 俺は木々の間に顔を突っ込む手間を惜しんで大声を張り上げることにした。 「大佐〜?」 そう言ってからしばし耳を澄ますが誰もでてくる気配はない。 「んっとにどこ行っちまったのかなぁ。ハボのヤツもいねぇし」 独り言のように呟いた俺の耳に微かな悲鳴のようなものが聞こえて俺は思わず木々の間を透かし見た。 そして。 次の瞬間、俺は踏み出した足をそのままに、その場に凍り付いてしまった。 俺の目に飛び込んできたのは軍服のズボンを寛げて膝立ちになっている大佐と、その前にかがんで恐らくは大佐のソコにナニしているであろう同僚の姿。 動けずにいる俺の視線の先で、大佐が何か囁いているのがわかる。その言葉に従うように体を離したハボックはだが、次の瞬間大佐の後ろに手を回した。仰け反る大佐を抱きしめて口付けながらも後ろに回した手をイヤラシ気にうごめかしている。 (お、おまえら〜〜〜っっ) まさかほんとにナニしてようとはっ!頭に血が上ったことで俺は凍りついた体が動かせるようになり、慌ててその場から離れることにする。大体、あれ、絶対俺に気がついてた。あの気配に聡い二人が俺が近くにいるのに気がつかない訳がない。大佐はともかくハボのヤツ、わざとやめなかったな、信じらんねぇ! 頭にカッカと血が上りながらも、それでも俺はわが身の保身を忘れなかった。 「大佐〜?ハボ〜?…たく、この辺りじゃないのかな」 とわざとらしく大声で言いながら、そそくさとその場を後にする。俺が見ちまったのがばれでもしたら消し炭確実だ。中尉も怖いが消し炭はもっとイヤだ。俺は疲れた足を引きずって司令室に戻った。 「あら、二人は?」 のろのろと席に着こうとする俺に中尉が聞いてくる。 「多分、もう少ししたら戻ってきますよ」 がっくりと疲れた様子の俺に中尉が不思議そうに瞬きする。だが俺はそれ以上しゃべる気力がわかず、自分の机に突っ伏した。 2006/6/11 |
毎度はた迷惑な二人に振り回されるブレダの話。なんでタイトルが「ちゃちゃ」かといえば、「木漏れ日」を呼んだ友人が「ブレダがじつは気がついてたら面白いのに〜。…はっ、ゴメン、ちゃちゃいれちゃって」といわれたもので、タイトルは「ちゃちゃ」になった次第です〜(笑) |