| 薔薇の言葉 ハボックver. 3 |
| もう閉店するという花屋に頼み込んで腕いっぱいのバラの花束を買い込んだ。そうして、ホテルの部屋に一人居るはずのあの人のところへと急ぐ。部屋の前に立ってオレは大きく息を吐いた。扉を叩いて少し待つと、かちゃりと小さく音がして扉が開いた。 「ハボック…?」 部屋の前に大きな花束を持って立つオレを見て、大佐は目を見開いた。 「入ってもいいっスか?」 そう尋ねるオレに気押されたように頷いて、オレを中へと入れてくれる。間接照明だけに照らされた室内はさすが佐官の部屋だけあって、豪華なものだ。部屋のほぼ中央まで行くと大佐はオレの方を向いて立ち止まった。 「どうした、こんな時間に。しかもそんな花束持って。まさかセントラルにいい女性でも見つけたのか?」 そんな風に聞いてくる大佐を、オレは真正面から見つめて口を開いた。 「大佐、この間オレにいいましたよね。バラの話してた時。オレに枯れた白バラくれるって」 大佐の目が僅かに瞠られる。 「最初聞いたとき、オレすごいショックだった。ああ、またからかわれてるって。だって、枯れた花に花言葉があるなんて思わなかったから。でもそうじゃなかったんスよね?」 「…花言葉、調べたのか…?」 呆然とそう呟く。多分、オレなんかが花言葉に興味をもつなんてこれっぽっちも思わなかったに違いない。 「はい。グレイシアさんに教えてもらいました」 そう答えればみるみる耳まで真っ赤になって目をそらした。 「大佐にどんな色のバラが欲しいか聞いたとき、そんなの自分で考えろって言われたっスよね。だから、オレ一生懸命考えたっス。どれを選んでもオレの気持ち全部なんて表せないけど…、でも」 そう言って持っていた花束を差し出した。 「オレの気持ちっス。受け取ってください」 差し出したバラの色は綺麗な紅色。その花言葉は―――。 「アンタに死ぬほど恋焦がれています」 オレの言葉に弾かれるようにしてこちらに向けられた瞳は、いつもの自信に満ちた光がウソのように潜められ、小さな子供のように怯えに震え揺れている。なかなか手を伸ばしてくれないのに焦れて、オレはもう一度花束を差し出した。信じられないものを見るように花束を見つめていた大佐だったが、ゆっくりとそれへ手を伸ばす。その指先が僅かに震えているのを見て、オレは心の底からこの人を愛おしいと思った。 「キスしてもいいっスか?」 やっと花束を受け取ってくれた大佐に優しく問いかければ 「そういう事を聞くからお前はモテないんだ」 と睨んでくる。 そんな大佐に小さく微笑んで、オレはバラごと大佐を抱え込むとゆっくりと唇を重ねた。 「ん…」 初めて触れた唇は思っていたよりずっと柔らかかった。歯列を割って舌を滑り込ませ暖かい口中を思う存分蹂躙する。逃げる舌先を絡めて深く口付ければ、抱きしめた体が小さく震えた。もっと近づきたくて細い体をかき抱こうとすると、大佐は腕を突っ張って体を離そうとした。 「ハボ…花がつぶれる…」 小さく呟くのにすっかり花のことなど忘れていたオレは、苦笑して大佐から花束を取ると近くのテーブルの上に置いた。そうしてもう一度大佐に向き合う。艶やかに濡れる黒い瞳にめまいがしそうだ。 「大佐…」 そう言ってオレは大佐を抱き上げた。 「なっ…」 いきなり横抱きに抱きかかえられ、慌てた大佐がオレを押し留めようとするのを無視して続き扉を開けて寝室へ入った。大きなベッドが目に入ったのだろう、大佐の体がこわばるのが明らかにわかった。それでも、もう、止めることなんてできない。オレはそっと大佐をベッドに下ろすと額にかかる髪をかき上げた。不安に揺れる瞳がオレを見上げてくるのに微笑んで、オレは 「アンタを愛しています」 と囁いた。それを聞いた大佐は泣きそうに顔をゆがめてオレの首にしがみ付いてくる。そんな彼を強く抱きしめて口付けた。角度を変えて深く口付けるたび、甘い吐息がこぼれる。どちらともなく舌を絡めあって、お互いをむさぼった。飲みきれない唾液が唇の端からあふれ、濡れた水音がこぼれる。もっと近くに彼を感じたくてオレは二人の間を邪魔する無粋な布を剥ぎ取っていく。ボタンが幾つか飛んだようだがそんな事にかまっている余裕はなかった。シャツを脱がせてその白い肌に直接触れて、もう、オレは無我夢中だった。喉元に唇を寄せて、強く吸い上げればバラの花びらのような鮮やかな朱が散る。そうしてオレが綺麗な花びらを散らしていくのにあわせて、彼の体が大きくしなった。 「あ…っ」 胸の飾りに舌を這わせ、もう一方を指で強く押しつぶしてやると耐え切れないように切ない声が上がった。もっと声を聞きたくて何度も舌を這わせる。 「やっ…も…ヤダ…」 オレの髪を掴んで引き離そうとするが、その指には全く力が入っておらず、むしろオレを誘い込むようだ。ぷっくりと立ち上がった飾りを弄るのをやめて、今度は下へと手を滑らせる。ズボンに手をかけるとビクリと体を震わせた。 「大丈夫だから…」 優しく囁いて、彼が抵抗する間もなく下着ごと引きずり下ろした。悲鳴のような声を漏らして両腕でかおを覆う彼を優しく抱きしめる。小さく彼がなにか言うのが聞こえて思わず聞き返した。 「私ばかり脱がせて、なんでお前は服を着たままなんだ…っ」 耳まで真っ赤に染めてそんなことを言う大佐はたまらなくかわいかった。慌てて服を脱ぎ捨てると改めてゆっくりと彼を抱きしめる。直に肌と肌が触れ合って、彼の体が大きく震えた。強く抱きしめて口付け、舌を絡めれば彼もそれに答えてくる。たまらなく愛しくて。体中にキスを降らせてゆっくりと唇を滑らせていく。そうして既に頭をもたげていた彼自身に舌を這わせると、大きく体を震わせた。 「あ…っ、や…っ、やだっ…」 身を捩って逃げようとするのを無理やり押さえつけて、深く口中にくわえ込んで舌を使って追い上げていく。強く何度か吸い上げると耐え切れずにその精を放った。 「はあっ…っ、あ…っ」 体を起こして顔を覗き込むとうっすらと目を開いた。ほんのりと目元を染めて見上げてくる瞳に吸い寄せられるように唇を重ねた。暫く唇をむさぼって。そうしてくたりと力の抜けた彼の体を持ち上げ、腰の下に枕を当てがるとひざ裏に手を入れて彼の体を二つに折り曲げた。 「ハボック…?」 何をされるのか不安に思ったのだろう、オレの名前を読んだ彼に「大丈夫だから」と優しく声をかけた。奥まった蕾を目の前にしてオレの中心に急激に熱が集まるのを感じる。でも、焦って彼を傷つけたくはない。ゆっくりと蕾に舌を這わせて唾液を流し込んでいく。彼の体が大きく震えて逃げようとするのにかまわずしっとりと湿らせたそこに指を沈めた。 「ひ…っ、やぁ…っ」 まだ堅く閉ざされたそこは指一本でも拒んでいる。でも、ゆっくりとかき回すようにして慣らしてゆけば蕾が花開くようにほぐれていった。沈める指の数を2本、3本と増やして行き少しでも辛くないように慣らしてやる。オレの指が奥まったある1点を掠めた時、彼の体が大きく跳ねた。 「ひゃぁ…っ、ああっ…、あ…っ」 「ここがいいの…?」 耳元で囁けばいやいやとかぶりを振った。その仕草に流石にもう限界を感じ、指を引き抜くと熱く滾った己をあてがい一気に貫いた。 「ああっ、あ―――っ」 逃げを打つその体を引き戻し一番深いところまで沈めようとしたが、貫かれる痛みに強張った体はそれを許さない。 「大佐、力ぬいて…」 堪らず、そう囁いたオレに 「そ…んなの、ムリだ…っ」 と呟いて、黒い双眸から透明な滴を流した。とにかくこのままではお互い辛いので、オレは彼の前に手を回すとゆっくりと梳きあげた。ビクリと震えた体からわずかに力が抜ける。そこを見計らって己を一番奥まで進めた。そうして、彼の頬をそっとなで上げ、落ち着くのを待つ。 「大佐…愛してます…」 オレの言葉に伏せられた目蓋が上がった。黒く濡れた瞳がオレを映す。 「愛してます…」 彼の腕がそっと背に回されるのを感じて、心の中を暖かいものが満たしていく。 「動きますよ…?」 微かに彼が頷くのにあわせてゆっくりと抽挿を始めた。さっき彼が感じた一点をついてやれば、耐え切れない喘ぎがあがる。そうして段々と彼を追い上げて行き、そんな彼を見るうち自分もどんどん高みに上り詰めていく。 「ああああっっ―――」 耐え切れずに彼が達した後を追うように、オレも彼の中に熱い想いを放った。 何度も求めて求められて彼が気を失うように意識を手放した後、彼の体を清めてやって、そうして優しく腕に抱きながら眠りについた。翌朝、先に目覚めたオレは腕の中で眠る人を静かに見つめた。その視線を感じたのか、長い睫が震えて綺麗な黒い瞳がゆっくりと開かれる。2、3度瞬いてぼんやりとオレの顔を見つめていたが、突然、真っ赤になってオレの腕からぬけだそうとしたが小さく呻いてその身をベッドに沈めた。 「大佐…?」 声をかければ不機嫌そうにオレをみて 「喉が痛い…」 と囁く。その声はものの見事にしわがれていた。オレは慌ててベッドから抜け出すと、冷蔵庫からミネラルウオーターを出しグラスについでベッドまで持ってくる。 「起き上がれない…」 と視線で要求されて、彼を抱え起こすとその口元にグラスをあててやった。こくこくと水をのみこんでホッと一息ついた大佐は恨めしげにオレを睨んだ。 「す、すんません…。手加減できなくて…。」 うろたえたオレがそう言えば目元を染めてぷいと横を向く。 「だって、アンタ、可愛すぎ…」 オレがそう呟いた途端、ぱっとこちらを向いて思い切りオレの耳を引っ張った。 「この、バカ犬っ」 そう言ってオレの耳をぐいぐい引っ張る。真っ赤になってオレの腕から抜け出そうとした人を優しく抱きしめて胸の中が暖かい気持ちがで満たされていくのを感じる。 「大佐、大好きです」 「知るか、バカ犬っ」 「愛してますよ」 「誰がお前なんかっ」 可愛くないことを言う唇をそっと塞いで優しく抱きしめる。 この素直でない人に花を贈り続けようと心に決めて。 2006/04/29 |
| 最初に「薔薇の言葉」を書き始めた段階ではハボverは考えてませんでした(←またかい)どうやって話を纏めようかと悩んだ時に「薔薇といったらやっぱり花言葉よね」とネットで検索したら何かおいしい花言葉が!で、ここまで来たらハボに花言葉の意味を調べさせんと、というわけでハボverが出来た次第です。行き当たりばったりで書いてるのバレバレですね。 |