| 7.心配性 |
| (キス……ハボックが私に……?) (それってもしかして私の事を……?) (好き……?いや、そんな事がある訳ない!大体ハボックはボンッキュッボンッの可愛い女性が好きな筈で……) 熱で熱せられた頭の中を思考がぐるぐると回っている。考えれば考えるだけ訳が判らなくなってなんだか目まで回ってきたとロイが思った時。 「熱、下がんないな」 間近でそう声がしたと思うとひんやりとした手のひらが額に触れる。ロイが思わずびくうッと飛び上がれば頭上から「わっ」と声が降ってきた。 「すんません、起こしちゃいました?」 反射的に目を開ければハボックが心配そうに覗き込んでいる。ロイはドギマギしながら顔の前で両手を振った。 「い、いや!半分目、覚めてたからッ!」 そう答えればハボックが目を見開く。一瞬決まり悪そうに視線を泳がせたハボックは、ロイを見て言った。 「熱、下がんないっスね。苦しくないっスか?」 「……大丈夫だ、ちょっとドキドキするだけで」 「えっ?」 ロイの答えにハボックが驚く。ベッドに手をつくと容態を確認するかのようにロイに顔を近づけて言った。 「ドキドキするって、胸が苦しいってことっスか?」 「いや!違う、そうじゃないッ!胸が苦しいって訳じゃないッ!」 「でも今ドキドキするって」 ハボックは言ってロイの額に手のひらを当てる。 (近いッ!!近すぎだッッ!!) ハボックの煙草の匂いが急に強くなったような気がして、ロイは背中をベッドにめり込ませようとするように体をベッドに押しつけた。 「顔、さっきより赤くなってないっスか?また熱が上がって来たのかな」 ハボックは心配そうに眉を顰めて言う。 (お前のせいだッ!離れろッ!頼むから離れてくれッッ!!) ロイはそう思いながらもひきつった笑顔を浮かべながら言った。 「大丈夫だ、熱は上がってない。心配性だな、お前っ」 「でも、ほんとに顔、真っ赤っスよ?」 ロイの言葉にハボックが首を傾げて言う。ロイは熱で沸騰した頭で必死に考えて言った。 「だったら薬を飲んでおこう。ハボック、薬をくれッ」 「えっ?!」 そう言えばハボックがギクリと身を強張らせる。次の瞬間、カアッと顔を赤くするハボックをロイは不思議そうに見上げた。 「ハボック、どうかしたのか?」 「やっ!な、何でもないっスッ!!」 真っ赤な顔でぶんぶんと首を振るハボックにロイはキョトンとする。それからハッとして肘をついて少し体を起こして言った。 「もしかして具合が悪いのか?私の風邪が移ったんじゃないか?」 「違います!ぜってー違いますッッ!!」 「だが、顔が真っ赤だぞ」 ぶんぶんと首と一緒に手も振るハボックにロイが手を伸ばす。その手から逃げるように飛びすさってハボックは言った。 「ほんと違いますッ!大佐こそ心配性っスよ!もうぜんっぜんっ大丈夫っスから!!」 よくもここまで振れるものだと言うくらいの勢いで手を振るハボックをロイは目を丸くして見つめる。 「本当に大丈夫なのか?」 「大丈夫っス!」 コクコクと頷くハボックを見て、ロイは起こしていた体をベッドに戻した。 「……それならいいが…」 「大丈夫です、ホント」 ハボックは言って乱れたブランケットをかけてやる。ロイの顔に視線をやれば熱に潤んだ黒曜石がハボックを見上げていた。 「……たいさ」 「ハボック……」 互いに言葉を見つけられず、二人はただ互いに見つめあっていたのだった。 2010/12/11 |